ポールアンカール設計の建築物まとめ!アルベール・チャンベルラーニ邸など

ポール・アンカール(Paul Hankar)のサイン ブリュッセル

アール・ヌーヴォー建築の重要人物「ポール・アンカール(Paul Hankar)」が手掛けた建築物を紹介します。

アルゼンチン大使館と利用されている注目の建物とは?アンカール最後の作品の一つと言われる建物の特徴は?こちらの記事を参考にぜひブリュッセルで建築物巡りを楽しんでみてください。

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ポール・アンカールについて

ポール・アンカール(Paul Hankar、1859〜1901年)はベルギー人建築家。家具等も手掛けており、フランス・パリのオルセー美術館にはアンカールが手掛けたダイニングテーブルが展示されています。

ブリュッセル王立美術アカデミーで学んだ後、彫刻家等としてキャリアをスタート。ヴィクトール・オルタ(Victor Horta)の友人でもあり、アール・ヌーヴォー建築の重要人物になります。

1893年に事務所を開設し、同年に建設されたアンカール邸(Maison Hankar)はオルタの手掛けたタッセル邸(Hôtel Tassel)と並び、アール・ヌーヴォー様式最初の建物として考えられています。1897〜1901年にはブリュッセル自由大学(Université Libre de Bruxelles)で建築史を教えるなど、精力的に活動していましたが、41歳の若さで亡くなっています。

今回はブリュッセルにあるポール・アンカール設計の建築物7件を写真付きで紹介します。その他アンカールが手掛けた建築物の住所なども掲載しています。ぜひ、物件巡りの参考にしてください!

ポール・アンカール設計の建築物7件

1.アンカール邸(Maison Hankar)

アンカール邸(Maison Hankar)

1893年に建設されたポール・アンカール自らの邸宅。見所はズグラッフィート(絵画が描かれた壁)。玄関ドア上部には白紫陽花の装飾とともに「1893」のサインがあります。左窓周辺にも動植物が描かれたズグラッフィートがあります。

さらに、建物上部には左からMatin(朝)、Jour(日)、Soir(夕)、Nuit(夜)という4つのメダリオン装飾があり、アール・ヌーヴォーの特徴を随所に見ることができる非常に興味深い建築物です。

住所:Rue Defacqz 48, 1050 Ixelles(地図
アクセス:トラム93、94番線「Defacqz」駅から徒歩3分

2.アルベール・チャンベルラーニ邸(Hôtel Albert Ciamberlani)

アルベール・チャンベルラーニ邸(Hôtel Albert Ciamberlani)

1897年に設計された画家「アルベール・チャンベルラーニ(Albert Ciamberlani)」の邸宅。現在はアルゼンチン大使館として利用されています。馬蹄形の窓、建物上部のズグラッフィートが見所になります。7つのメダリオン装飾ではギリシャ神話のヘラクレスが描かれています。なお、ファサードは2006年に修復されているため、建物の状態はとてもきれいです。

住所:Rue Defacqz 48, 1050 Ixelles(地図
アクセス:トラム93、94番線「Defacqz」駅から徒歩3分
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3.ルネ・ヤンセン邸(Hôtel René Janssens)

ルネ・ヤンセン邸(Hôtel René Janssens)

1898年に建設された画家「ルネ・ヤンセン(René Janssens)」の邸宅。ヤンセンはアンカールの友人。こちらの建物はアルベール・チャンベルラーニ邸の隣に位置しています。ズグラッフィートはありませんが、赤レンガを基調とし、石灰石のアクセントが散りばめられた建物は魅力的です。湾曲した窓もアール・ヌーヴォー様式の特徴で、見応えのある建築物になっています。

住所:Rue Defacqz 50, 1050 Ixelles(地図
アクセス:トラム93、94番線「Defacqz」駅から徒歩3分

4.ジョゼ・チャンベルラーニ邸(Hôtel José Ciamberlani)

ジョゼ・チャンベルラーニ邸(Hôtel José Ciamberlani)

1900年に建設されたアルベール・チャンベルラーニの兄弟「ジョゼ・チャンベルラーニ(José Ciamberlani)」の邸宅。アンカール最後の作品の一つ。ズグラッフィートが印象的な建物とは異なり、こちらはヴィクトール・オルタなどその他アール・ヌーヴォー建築家が設計しているような建物になります。

住所:Rue Paul Emile Janson 23, 1050 Ixelles(地図
アクセス:トラム93、94番線「Defacqz」駅から徒歩3分

5.ジャン・ゴーウィルース邸(Maison-atelier de Jean Gouweloos)

ジャン・ゴーウィルース邸(Maison-atelier de Jean Gouweloos)

1896年に建設された画家「ジャン・ゴーウィルース(Jean Gouweloos)」の自宅兼アトリエ。窓面積を大きくすることで採光性が考えられたデザインになりますが、これはその他アール・ヌーヴォー建築にみられる特徴の一つになります。なお、こちらの建物は左右対称でしたが、1階左側の窓は1950年にガレージが造られた際に縮小されています。

住所:Rue d’Irlande 70, 1060 Saint-Gilles(地図
アクセス:トラム81、92、97番線「Janson」駅から徒歩2分
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6.アグラヴ邸(Maison Aglave)

アグラヴ邸(Maison Aglave)

1898年に建設されたテーラー(仕立屋)「ジャン=バティスト・アグラヴ(Jean-Baptiste Aglave)」の邸宅。建物自体は少々劣化している印象ですが、1階部分にあるローレリーフに加え、こちらもズグラッフィートが見所になります。

建物上部のズグラッフィートは左から「雄鶏」、「ツバメ」、「コウモリ」が植物と共に描かれており、自然主義であるアール・ヌーヴォーの特徴を見ることができます。

住所:Rue Antoine Bréart 7, 1060 Saint-Gilles(地図
アクセス:トラム81、97番線「Moris」駅からすぐ

7.ジャスパー邸(Maisons Jaspar)

ジャスパー邸(Maisons Jaspar)

1894年に建設されたアンカールの義父で実業家の「ジョゼフ・ジャスパー(Joseph Jaspar)」の邸宅(写真の3棟)。赤レンガを基調とした可愛らしい建物。各棟の上部には植物をモチーフにしたズグラッフィートがあり、しっかりと建物の魅力を引き立てています。なお、写真左隣「Rue de la Croix de Pierre 74」の建物もアンカールが設計したものになります。

住所:Rue de la Croix de Pierre 76-80, 1060 Saint-Gilles(地図
アクセス:トラム92、97番線「Moris」駅から徒歩6分

ポール・アンカール設計のその他建築物

  • Maisons Hanssens(Avenue Ducpétiaux 13, 15)
  • Avenue Ducpétiaux 47
  • Maison Ricaud(Rue d’Albanie 107-107a)
  • Hôtel Zegers-Regnard(Chaussée de Charleroi 83)
  • Ancien magasin et maison Forge(Avenue Paul Dejaer 10)
  • Ancienne maison Forge(Avenue Adolphe Demeur 6)
  • Rue Royale 9-11-13
  • Ancien Atelier Crick(Rue Simonis 64)

※こちらの建物の詳しい場所についてはページ上部にあるグーグルマップ(紫色)を確認してください。

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滞在後記

ポール・アンカールの建築物を巡って印象的だったのは、やはりズグラッフィートになります。

ズグラッフィートは自然主義を提唱する「アール・ヌーヴォー」の魅力が一番感じられる部分であり、鶏やツバメなど多くの人に馴染みのある動物が躍動感とともに描かれており、見ていて楽しい気持ちになりました。なかでも、きれいにされ過ぎていない「アンカール邸」と「アグラヴ邸」のズグラッフィートがおすすめです。

アンカール設計の建物はほとんどが徒歩圏にまとまっています。また、多くのアール・ヌーヴォー建築が集まるエリアでもあるため、散策コースの一つとしてもおすすめです。ぜひ、上部の地図とともに建築物巡りを楽しんでみてください!

※ポール・アンカール設計の建物の詳しい場所については以下のグーグルマップ(紫色)にまとめています。