プラハで建築物巡りを楽しみませんか?
要注目のキュビスム建築って何?アドルフ・ロース設計のモダニズム建築の建物がある?フランツ・カフカが暮らした家とは?
今回はチェコ共和国の首都「プラハ」にある15の建築物を「キュビスム建築」、「モダニズム建築」、「その他おすすめの建築物」のカテゴリーに分けて紹介します。建築に興味のある方もない方も、ぜひ最後までご覧ください!
キュビスム建築
キュビスムとは、パブロ・ピカソ(1881年〜1973年)とジョルジュ・ブラック(1882年〜1963年)によって創始された芸術運動です。絵画のみならず、建築や彫刻、デザイン、写真などにその運動が波及していきました。
キュビスム建築の分野については、チェコ(プラハ)で花が咲くことになり、ヨセフ・ゴチャール(1880年〜1945年)、ヨセフ・ホホル(1880年〜1956年)、パヴェル・ヤナーク(1882年〜1956年)などによって特徴的で印象深いキュビスム建築が建てられました。ここではこの3名に加え、オタカル・ノヴォトニー(1880年〜1959年)が設計したキュビスム建築(ロンドキュビズム含む)を紹介します。
ヨセフ・ゴチャール(Josef Gočár)設計の建物
1.黒い聖母の家(Dům U Černé Matky Boží)
■おすすめ度:★★★(5段階評価)
黒い聖母の家は、1911年〜1912年に建設されたキュビスム建築の建物。ヨセフ・ゴチャールが設計を担当。写真右の2階部分の角にある黒い聖母が名前の由来になっています。現在はキュビズム博物館が入るなど、キュビスム建築の代表的な建物になります。なお、1階にはミュージアムショップがあり、キュビスムデザインのカップなどを購入することができます。
■ミュージアムショップのディスプレイ
2.アルハ宮殿(Palác Archa)
■おすすめ度:★★(5段階評価)
アルハ宮殿は、1921年〜1923年に建設されたロンドキュビズム建築の建物。ヨセフ・ゴチャールが設計と担当。建設当時は「Banky československých legií(直訳するとチェコスロバキア軍団銀行)」の本店が入っていたため、軍団兵のレリーフで装飾されています。現在はレストランやオフィスなどが入っています。
ヨセフ・ゴチャール設計のその他建築物(ギャラリー)
- Kostel svatého Václava
- Dům zemědělské osvěty
ヨセフ・ホホル(Josef Chochol)設計の建物
3.コヴァジョヴィツゥヴァ邸(Kovařovicova vila)
- 鉄道橋から撮影
- 建物正面
■おすすめ度:★★★(5段階評価)
コヴァジョヴィツゥヴァ邸は、1912年〜1913年に建設されたキュビスム建築の建物。ヨセフ・ホホルが設計を担当。チェコ共和国の不動の文化遺産リスト(Seznam nemovitých kulturních památek v Česku)にも登録されています。現在はオフィスとして利用されており、一般公開はされていません。
4.ヴィシェフラドの三世代住宅(Kubistický trojdům na Rašínově nábřeží)
■おすすめ度:★★★(5段階評価)
ヴィシェフラドの三世代住宅は、1912年〜1913年に建設されたキュビスム建築の建物。ヨセフ・ホホルが設計を担当。灰色の部分には古代ボヘミア神話の彫刻があります。現在はオフィス、住居などとして利用されています。
5.ネクラノヴァ通りの集合住宅(Kubistický dům v Neklanově ulici)
■おすすめ度:★★(5段階評価)
ネクラノヴァ通りの集合住宅は、1913年〜1914年に建設されたキュビスム建築の建物。ヨセフ・ホホルが設計した建物で、最も独創的で重要な建物の一つとも言われています。現在は住居などとして利用されています。
パヴェル・ヤナーク(Pavel Janák)設計の建物
6.アドリア宮殿(Palác Adria)
■おすすめ度:★★★★(5段階評価)
アドリア宮殿は、1923年〜1924年に建設されたロンドキュビズム建築の建物。パヴェル・ヤナークなどが設計を担当。イタリアの保険会社のために建てられ、特徴的な彫刻はオットー・グートフロイント(Otto Gutfreund、1889年〜1927年)などが担当しています。現在は銀行やレストランなどがテナントとして入っています。
パヴェル・ヤナーク設計のその他建築物(ギャラリー)
- Husův sbor
- Škodův Palace
- Kubistický kiosek ve Vrchlického sadech
オタカル・ノヴォトニー(Otakar Novotný)設計の建物
7.教師の家(Učitelské domy)
■おすすめ度:★★★(5段階評価)
教師の家は、1919年〜1921年に建設されたキュビスム建築の建物。オタカル・ノヴォトニーが設計を担当。後期キュビスム建築の重要な建物の一つと言われています。現在はレストランや住居として利用されています。
8.ロンドキュビズムの集合住宅(Rondokubistický bytový dům)
■おすすめ度:★★(5段階評価)
ロンドキュビズムの集合住宅は、1922年〜1923年に建設されたロンドキュビズム建築の建物。教職員住宅建設協同組合によって建てられ、円柱が特徴的な建物です。現在は住居などとして利用されています。
モダニズム建築
アドルフ・ロース(Adolf Loos)設計の建物
9.ミュラー邸(Müllerova vila)
■おすすめ度:★★★(5段階評価)
ミュラー邸は、1928年〜1930年に建設されたモダニズム建築の建物。アドルフ・ロース(1870年〜1933年)が設計を担当。建設会社の経営者「フランティシェク・ミュラー」の邸宅として建てられました。現在はプラハ市博物館が管理しており、ツアー形式で一般公開されています。なお、アドルフ・ロース設計の建物に興味のある方は以下の記事もぜひご覧ください。

ヤン・コチェラ(Jan Kotěra)設計の建物
10.モーツァルテウム(Mozarteum)
■おすすめ度:★★★(5段階評価)
モーツァルテウムは、1913年に完成したモダニズム建築の建物。ヤン・コチェラ(1871年〜1923年)が設計を担当。ファサードの印象的な彫刻は、現代チェコ彫刻の第一人者と言われるヤン・シュトゥルサ(1880年〜1925年)が製作しています。チェコにおける最も重要なモダニズム建築の一つと言われています。現在はアンティーク時計店、家具・生活雑貨販売店などがテナントとして入っています。
■ヤン・コチェラと日本とのつながり
ヤン・コチェラはプラハ工芸美術大学でヨセフ・ゴチャールのほか、広島の原爆ドーム(建設当時は広島県物産陳列館)を設計したヤン・レツル(Jan Letzel、1880年〜1925年)などを教えています。
ヤン・コチェラ設計のその他建築物(ギャラリー)
- Trmalova vila
- Kotěrova vila
- Peterkův dům
その他おすすめの建築物
11.ミヌティ家(Dům U Minuty)
■おすすめ度:★★★(5段階評価)
ミヌティ家は、15世紀初めに建てられたと考えられている建物。16世紀半ばにルネサンス様式に改修されています。特徴的なズグラッフィート装飾は1500年代後半、1600年代前半の2回に分けて製作されたと考えられています。なお、小説家「フランツ・カフカ(1883年〜1924年)」は1889年から1896年までこちらの家に住んでいました。
12.キンスキー宮殿(Palác Kinských)
■おすすめ度:★★★★(5段階評価)
キンスキー宮殿は、1755年〜1765年に建設されたロココ様式の宮殿。キリアン・イグナク・ディエンツェンホーファー(Kilián Ignác Dientzenhofer、1689年〜1751年)が初期設計を担当し、プロイセンのヤン・アルノシュト・ゴルツ(Jana Arnošta Golze)伯爵のために建てられました。現在はプラハ国立美術館が管理しています。
13.市民会館(Obecní dům)
■おすすめ度:★★★★(5段階評価)
市民会館は、1905年〜1912年に建設されたプラハで最も有名なアール・ヌーヴォー様式の建物の一つ。アントニン・バルサネク(Antonín Balšánek、1865年〜1921年)、オスバルド・ポリフカ(Osvald Polívka、1859年〜1931年)が設計を担当。内部装飾はアルフォンス・ミュシャ(Alfons Mucha、1860年〜1939年)などが担当しています。現在は見学ツアーや展示会などで内部に入ることができます。
14.ホテル・パリ・プラハ(Hotel Paříž Praha)
■おすすめ度:★★★(5段階評価)
ホテル・パリ・プラハ、1904年〜1907年に建設されたアール・ヌーヴォー様式で装飾されたネオゴシック様式の5つ星ホテル。ヤン・ヴェジリッチ(Jan Vejrych、1856年〜1926年)などが設計を担当。1984年から文化記念物として保護されています。地下鉄駅や旧市街広場に近いおすすめの5つ星ホテルになります。
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15.プラハ中央駅(Praha hlavní nádraží)
■おすすめ度:★★★(5段階評価)
プラハ中央駅は、1901年〜1909年に建設されたアール・ヌーヴォー様式のプラハ中央駅(一部)。チェコにおけるアール・ヌーヴォー建築の重要人物の一人であるヨセフ・ファンタ(Josef Fanta、1856年〜1954年)が設計を担当しています。
最後に
今回紹介した各建築物はヨセフ・ホホル設計の建物、アドルフ・ロースのミュラー邸、オタカル・ノヴォトニーのロンドキュビズムの集合住宅を除き、基本的にはプラハ中心部に位置しています。ヨセフ・ホホル設計の建物については、近くにヴィシェフラド(Vyšehrad)というプラハの観光スポットの一つがあるため、そちらと合わせて訪れるのがおすすめです。
キュビスム建築などプラハには独特の雰囲気を持った建物が多く建てられています。さらに、プラハの街並みは本当にいいので、ぜひ街歩きをしながら建築物巡りも楽しんでみてください!なお、今回紹介した建築物の場所については、以下のグーグルマップを確認してください。