ロイヤル・セランゴール・クラブ(Royal Selangor Club)は、ムルデカ・スクエア(独立広場)に隣接する建物です。
周辺にはスルタン・アブドゥル・サマド・ビル(旧連邦事務局ビル)、セント・マリー聖堂(St Mary’s Cathedral)などの観光スポットがあります。今回は、独立広場を訪れると自然と目に入るロイヤル・セランゴール・クラブについて紹介します。
ロイヤル・セランゴール・クラブについて
クアラルンプール中心部の独立広場に面して建つ「ロイヤル・セランゴール・クラブ(Royal Selangor Club)」は、1884年に創設された英国植民地時代の社交クラブ。元々は英領マラヤの上級イギリス官吏や商人たちが集うクラブとして設立され、スポーツ活動(特にクリケット)や社交イベントの場として機能してきました。
■建物について
建物は1910年に建設されたチューダー・リバイバル様式で、白と黒を基調とした木組みの外観と急勾配の屋根が特徴です。特に独立広場に面した本館は、まるでイギリスの田園地帯にある古風な邸宅のような趣を持っており、クアラルンプールの都市風景の中で一際目を引く存在です。また、現在の建物は1970年の火災後に修復されたものですが、外観は当初のデザインを忠実に再現しており、クラブの歴史的価値を継承しています。
内部はクラブ会員専用になっており、内部見学はできません。
なお、初期メンバーのほとんどは英国人で、セランゴール州トップのH.C.サイアーズ(H.C. Syers)のほか、スルタン・アブドゥル・サマド・ビルなどの設計を手掛けた建築家「アーサー・チャールズ・アルフレッド・ノーマン(Arthur Charles Alfred Norman)」などが含まれています。
■The Dog
2匹のダルメシアン犬が入口を守っていたこともあり、建物は「The Dog」とも呼ばれています。
設計、様式について
アーサー・チャールズ・アルフレッド・ノーマンが初期の建物を設計しましたが、クアラルンプール駅等を設計したアーサー・ベニソン・ハバック(Arthur Benison Hubback)の設計により、1910年に建物は建て替えられました。その後、1970年12月に火災が発生し、1978〜1980年に建物は再建されています。
建物はチューダー・リバイバル様式で、15〜17世紀頃のイギリスで多く見られた様式になっています。そのため、周囲では少し異質な建物になっており、独立広場周辺の魅力を高めるアクセントの一つにもなっています。
ロイヤル・セランゴール・クラブの基本情報
ロイヤル・セランゴール・クラブ | |
設立 | 1884年 |
設計 | アーサー・ベニソン・ハバック |
様式 | チューダー様式 |
最寄り駅 | マスジット・ジャメ駅 |
内部見学 | 会員のみ |
アクセス
RapidKLのマスジット・ジャメ(Masjid Jamek)駅から徒歩7分。
旧モスク側から向かうコースでは、駅から200メートルほど歩き、左に曲がります。すると旧市庁舎(現劇場)があるので、そちらをまっすぐ進みます。ゴンパック(Gombak)川を渡って右側を見ると建物が見えます。
■アクセス(マップ)
滞在後記
独立広場を訪れた際、あの建物は何だ?!と驚いたのがこのロイヤル・セランゴール・クラブでした。特徴的な建物はチューダー様式ですが、どこかマレー様式のようで、独立広場にマッチしていました。
内部に入ることはできませんでしたが、外観を見るだけでも十分楽しめる、そんな魅力的な建物でした。独立広場を訪れた際は見逃さず、ぜひ近くまで行ってご覧になってみてください。