クアラルンプール旧市庁舎(Old City Hall of Kuala Lumpur)は、旧モスク(Masjid Jamek)近くに位置する歴史的建造物です。
現在はDBKLシティ・シアター(Panggung Bandaraya DBKL)として利用されており、クアラルンプールにおけるアート・カルチャーの中心地にもなっています。
クアラルンプール旧市庁舎は旧最高裁判所ビルの隣にあり、近くには独立広場もあります。この辺りがクアラルンプールの歴史的建造物が集まるエリアになり、観光では歴史的建造物巡りも楽しんでおきたいところです。
今回はクアラルンプール旧市庁舎の歴史、様式、シティ・シアターなどについて紹介します。
クアラルンプール旧市庁舎について
クアラルンプール旧市庁舎は、マレーシアの首都の歴史と建築遺産を象徴する重要な建造物の一つ。マスジッド・ジャメ駅近く、独立広場近くに建つ建物は、1896年に建設が始まり、1904年に完成しました。設計は、当時マレー連邦の公的建築物を多く手掛けた英国人建築家「アーサー・ベニソン・ハバック(Arthur Benison Hubback)」によるもので、ムーア・リバイバル様式を基調とし、インド・サラセン風やゴシック様式の要素も織り交ぜたエキゾチックで美しい外観が特徴です。
完成当初、この建物は「クアラルンプール・タウンホール」と呼ばれ、市議会の事務局として使用されるだけでなく、市民向けの多目的ホールも併設されていました。2階には劇場があり、英国植民地時代には演劇やコンサート、社交イベントの開催地として広く利用されました。20世紀初頭のクアラルンプールにおいて、このような公共の文化施設は非常に珍しく、市民の文化活動や英国系コミュニティの社交において重要な役割を果たしていました。
1992年の火災により建物は損傷しましたが、その後すぐに再建されています。現在はシティ・シアターとして利用されているほか、歴史的な遺産として保存されています。なお、現クアラルンプール市庁舎は旧市庁舎から約250メートル先にあります。
■現クアラルンプール市庁舎
DBKLシティ・シアターについて
DBKLシティ・シアターは、クアラルンプール最古の劇場の一つとして、伝統舞台、マレー語の劇、ミュージカル、フォークダンスなど多彩なステージが上演されています。Bangsawan(伝統的な大衆演劇)、Mak Yong(舞踊劇)、Mek Mulung(伝統演劇)のほか、英語や中国語の舞台、国際的なミュージカル公演などが開催され、地元市民に文化芸術を届ける重要な役割を担っています。
収容人数は約300〜400人。ロビーには文化展示ギャラリーが併設されており、演劇だけでなく芸術理解の場としても利用されています。さらに、テレビ番組や広告、映画撮影のロケ地としても採用されることがあり、演出性の高い歴史空間として注目されています。
クアラルンプール旧市庁舎の基本情報
クアラルンプール旧市庁舎 | |
完成 | 1904年 |
設計 | アーサー・ベニソン・ハバック |
様式 | ムーア様式 |
最寄り駅 | マスジット・ジャメ駅 |
アクセス
RapidKLのマスジット・ジャメ(Masjid Jamek)駅から徒歩4分。
旧モスクの入口があるトゥン・ペラ通り(Jalan Tun Perak)を市庁舎方向に約200メートルほど進むと左手に旧市庁舎があります。旧モスクから独立広場に行くコースにあるので、観光スポットの一つとしてこの歴史的建造物をお楽しみください。
■所在地(マップ)
滞在後記
観光スポットとして注目される建物ではありませんが、建設された時代背景を考慮して訪れることにしました。実際に訪れてみると、外観は小さなスルタン・アブドゥル・サマド・ビル(旧連邦事務局ビル)と言った印象を受けました。
場所的に旧市庁舎と現市庁舎を見比べることができるので、それはとても面白く感じました。隣には旧最高裁判所ビル(現マレーシア観光文化省のオフィス)もあり、個人的にはクアラルンプールで好きな場所の一つです。