ハプスブルク家の皇帝などが眠る「皇帝納骨堂」を紹介!
女帝マリア・テレジアの棺に驚愕?!皇后エリザベートの棺前に置かれていたものとは?神聖ローマ皇帝「カール6世」、皇后エリーザベト・クリスティーネの棺なども見所です!
今回は皇帝納骨堂及び、皇帝納骨堂があるカプチーナ教会を紹介します。皇帝納骨堂の見所になる皇帝、皇后の棺を写真とともに掲載していますので、訪問を考えられている方はぜひ最後までご覧ください。
カプチーナ教会(Katholische Kapuzinerkirche)について
カプチーナ教会は、神聖ローマ皇帝「マティアス(1557年〜1619年)」の妻である皇后「アンナ・フォン・チロル(1585年〜1618年)」の命により、1622年〜1632年に建てられた教会になります。アンナは資金提供をした後に亡くなりましたが、建設計画は継続され、三十年戦争の混乱などを経て完成しています。
オスマン帝国による第二次ウィーン包囲の際に屋根などが破壊され、その後改修を重ね、現在の外観は建築家ルートヴィヒ・トレメル(Ludwig Tremmel)によって1934年〜1936年に再建されたものになります。ファサードの特徴的なフレスコ画はその際にハンス・フィッシャー(Hans Fischer)によって描かれたものになります。
教会内部にはカプチン会修道士「P. Markus von Aviano(1631年〜1699」の棺が安置されています。訪問客は少なく、静かな時間が流れています。
皇帝納骨堂(Kapuzinergruft)について
皇帝納骨堂はハプスブルク家の皇帝、皇后、子供などの棺が安置されている場所になります。マリー・アントワネットの母「マリア・テレジア」、マリア・テレジアの両親である神聖ローマ皇帝「カール6世」と皇后エリーザベト・クリスティーネの豪華な棺、シシィの愛称で知られる皇后エリザベートの棺などを見学することができます。
皇帝納骨堂内はあまり広くなく、説明文を読みながら進んでも、見学の所要時間は30〜40分ほどです。これから現地表記の名前(ローマ字)を使用して、見逃せない棺を紹介していきます。現地で振り分けられている棺番号も記載していますので、皇帝納骨堂に行く予定の方は参考にしてください。
■内部
1.神聖ローマ皇帝「マティアス」と皇后「アンナ・フォン・チロル」の棺
■棺番号「1」
神聖ローマ皇帝「マティアス(Kaiser Matthaias、1557年〜1619年)」(左)、皇后「アンナ・フォン・チロル(Kaiserin Anna von Tirol、1585年〜1618年)」(右)の棺。
2.神聖ローマ皇帝フェルディナント3世と皇后マリア・アンナの棺
■神聖ローマ皇帝フェルディナント3世の棺(棺番号27)
神聖ローマ皇帝フェルディナント3世(Kaiser Ferdinand III、1608年〜1657年)の棺。
■皇后マリア・アンナ・フォン・シュパーニエンの棺(棺番号22)
マリア・アンナ・フォン・シュパーニエン(Maria Anna von Spanien、1606年〜1646年)の棺。マリア・アンナは神聖ローマ皇帝フェルディナント3世の皇后で、スペイン王「フェリペ3世」の娘。シュパーニエンはスペインという意味で、棺の前には花束とともにスペイン国旗が置かれていました。
3.マルガリータ・テレサ・フォン・シュパーニエンの棺
■棺番号「20」
マルガリータ・テレサ・フォン・シュパーニエン(Margarita Teresa von Spanien、1651年〜1673年)の棺。マルガリータのイニシャルの「M」が刻まれています。また、彼女の肖像画は美術史美術館で見ることができます。写真を掲載した記事を作成していますので、興味のある方は以下のボタンからご覧ください。
4.神聖ローマ皇帝「ヨーゼフ1世」の棺
■棺番号「35」
神聖ローマ皇帝「ヨーゼフ1世(Kaiser Joseph I、1678年〜1711年)」の棺。
5.神聖ローマ皇帝「レオポルト1世」の棺
■棺番号「37」
神聖ローマ皇帝「レオポルト1世(Kaiser Leopold I、1640年〜1705年)」の棺。
6.神聖ローマ皇帝「カール6世」と皇后エリザベート・クリスティーネの棺
■神聖ローマ皇帝「カール6世」の棺(棺番号40)
神聖ローマ皇帝「カール6世(Kaiser Karl VI、1685年〜1740年)」の棺。カール6世は女帝マリア・テレジアの父になります。
■皇后エリザベート・クリスティーネの棺(棺番号36)
エリザベート・クリスティーネ(Elisabeth Christine、1691年〜1750年)の棺。エリザベート・クリスティーネはマリア・テレジアの母になります。
7.女帝「マリア・テレジア」と神聖ローマ皇帝「フランツ1世」の棺
■棺番号「55、56」
女帝「マリア・テレジア(Maria Theresa、1717年〜1780年)」、神聖ローマ皇帝「フランツ1世(Franz I. Stephan、1708年〜1765年)」の棺。この一つだげ棺が別次元に豪華なので、番号を見なくても一目でマリア・テレジアの棺だと分かると思います。画像中央下は、神聖ローマ皇帝「ヨーゼフ2世(Joseph II、1741年〜1790年)」の棺(棺番号42)になります。
※マリア・テレジアとフランツ1世はマリー・アントワネットの両親になります。
■側面
8.神聖ローマ皇帝「フランツ2世」の棺
■棺番号「57」
神聖ローマ皇帝「フランツ2世(Kaiser Franz II、1768年〜1835年)」の棺。
9.オーストリア皇帝「フェルディナント1世」の棺
■棺番号「62」
オーストリア皇帝「フェルディナント1世(Kaiser Ferdinand I、1793年〜1875年)」の棺。
10.フランツ・ヨーゼフ1世、エリザベート、ルドルフの棺
画像左から皇后エリザベート・イン・バイエルン(Elisabeth in Bayern、1837年〜1898年)の棺(棺番号143)、オーストリア皇帝「フランツ・ヨーゼフ1世(Franz Joseph I、1830年〜1916年)」の棺(棺番号142)、オーストリア皇太子「ルドルフ、Kronprinz Rudolph」の棺(棺番号144)。
皇后エリザベート(シシィ)の棺前には多くの手紙が置かれており、筆者が訪問した際も数名の見学者がいました。すると、そのうちの母娘が引きの写真を撮るから邪魔というアクションを筆者に向けて行い、30秒ほど待たされるということがありました。感謝の言葉はもちろんなく、そこまでして写真を撮影して、良いことがあるのだろうかと思った出来事でした。
■エリザベートの棺
基本情報
皇帝納骨堂 | |
営業時間 | 10:00〜18:00(基本的には毎日) |
料金 | 8.50ユーロ |
住所 | Tegetthoffstraße 2, 1010 Wien(地図) |
アクセス | 地下鉄U1、U3「Stephansplatz」駅から徒歩4分 |
公式サイト | https://www.kapuzinergruft.com/ |
■所在地(マップ)
最後に
無料でもらえるパンフレットに棺の位置が記載されているため、棺番号と位置を確認しながら見学すると良いと思います。訪問を予定されている方は、棺が置かれている皇帝、皇后について事前に調べておくと、満足度の高い訪問になると思います。
皇帝納骨堂は言葉の通り、皇帝や皇后などの棺が並べられているだけになりますが、マリア・テレジアなどの豪華な棺は細かな細工が施されているため、一見の価値はあります。その一方、皇帝納骨堂の入場料8.5ユーロ(約1250円)は安いとは言えず、ハプスブルク家や歴史に興味のない方にとっては退屈な場所かもしれません。