今回はヴィクトール・オルタの弟子「ギュスターヴ・ストローヴァン」設計の建物を一挙に紹介します!
奇抜かつ繊細なデザインを持つ最も有名な建物とは?本格イタリアンレストランが入る築100年以上のアール・ヌーヴォー建築があった?!写真、地図付きで掲載していますので、ぜひブリュッセルの建築物巡りで役立ててください。
ギュスターヴ・ストローヴァンについて
ギュスターヴ・ストローヴァン(Gustave Strauven、1878〜1919年)はベルギー・ブリュッセル生まれの建築家。ヴィクトール・オルタ(Victor Horta)の弟子で、数多くのアール・ヌーヴォー建築物を設計しています。
サン・シール邸(Maison de Saint Cyr)が最も有名な作品で、奇抜かつ繊細なデザインに特徴があり、その他アール・ヌーヴォー建築家とは違った魅力の作品を数多く手掛けています。金額面で制約がある場合が多く、オルタのように自然石を利用している建物は少ないですが、デザイン性で見事にカバーされています。特に、格子やフェンスなど鉄で造られたものはこだわりが強く、建物の魅力を引き立てています。
なお、第一次世界大戦に動員され、40歳という若さで亡くなりましたが、限られた期間の間に数多くの作品を残しています。今回はそんなギュスターヴ・ストローヴァンが手掛けたブリュッセルにある建築物を10件紹介していきます。
※建物に名前がない物件については番地名を記載しています。
ギュスターヴ・ストローヴァン設計の建築物10選!
1.サン・シール邸(Maison de Saint Cyr)
1901〜1903年に建設された画家「ジョルジュ・サン・シール(Georges Saint-Cyr)」の邸宅。ギュスターヴ・ストローヴァンの代表作。採光性が考えられた3つの大きな窓、薔薇の茎をイメージした鉄細工が見所になります。こちらは多くの観光客が訪れるほど有名な建物です。
2.ド・ベック邸(Maison De Beck)
1905年に建設されたアール・ヌーヴォー様式の建物。ギュスターヴ・ストローヴァンらしい凝ったデザインが特徴です。白と赤のレンガ、鉄製のフレーム、植物的アクセントの効いたフェンスのバランスが見事で、周囲の建物と比較してもデザイン性の高さが分かります。
3.ヴェラーゲ邸(Maison Verhaeghe)
1906年に建設されたアール・ヌーヴォー様式の建物(写真中央にある白い窓枠が特徴)。玄関扉の上にあるステンドグラス、白い窓枠などはその他アール・ヌーヴォー建築でも見られるアプローチですが、格子などにギュスターヴ・ストローヴァンらしさを見ることができます。なお、現在はアトリエ、画廊のような形で利用されています。予約があれば入れるかもしれませんが、普通に入れる雰囲気ではありませんでした。
4.ヴァン・ダイク邸(Maison Van Dijck)
1900年に建設されたアール・ヌーヴォー様式の建物。4つのフロアからなり、白レンガを基調に、赤レンガの配置が効果的な印象をもたらせています。舟形のデザイン、鉄細工の装飾が見所になります。現在は語学学校として利用されています。
5.クワチェット邸(Maison Kwachet)
1901年に建設された建物。外観のデザインはもちろん見所ですが、玄関側の列の窓ガラスに施された装飾が特に見所になります。植物や虫などアール・ヌーヴォーの特徴である自然主義を垣間見ることができます。
6.ファン・デン・ヘーデ邸(Maison Van den Heede)
1902〜1904年に建設された建物。赤、白レンガのアプローチ、窓周辺の造り、鉄製フェンスの装飾などギュスターヴ・ストローヴァンらしさが散りばめられた建物になります。建物にはしっかりサインもあります。
7.Chaussée de Wavre 517-519
1905年に建設されたアール・ヌーヴォー様式の建物。鉄製のフェンスや角のように出っ張ったデザインにギュスターヴ・ストローヴァンらしさがあります。さらに、色味の違うレンガやタイル装飾がその他設計の建物とは異なる点であり、ぜひ見ておきたい建物の一つになります。
8.Avenue Clays 47, 49
1902年に建設された建物。赤レンガがとても印象的な建物ですが、窓枠の尖ったデザインが見所。湾曲した窓・窓枠がアール・ヌーヴォー様式の一つの特徴ですが、こちらはまったく違ったアプローチになっています。
9.Avenue Louis Bertrand 53-61
1906年に建設されたアール・ヌーヴォー様式の建物。現在は本格イタリアンレストラン「Osteria delle stelle」が入っています。入口横のタイル下にはサインがあります。また、少し分かりづらいですが、写真左側の赤レンガ基調で白レンガで線が刻まれているような建物も、ギュスターヴ・ストローヴァン設計の建物になります。
営業時間:11:30〜15:00/18:00〜23:00(火曜日は定休日)
アクセス:トラム92番線「Eglise St-Servais」駅から徒歩3分
10.Avenue Louis Bertrand 63-65
1906年に建設された建物。上記「Avenue Louis Bertrand 53-61」の隣に位置し、イタリアンレストラン「Buca di Bacco」が入っています。玄関上部2階か3階に当たる部分にANNO(左)、1906(右)というサインがあります。
営業時間:12:00〜15:30/18:30〜22:30(月曜日は定休日)
アクセス:トラム92番線「Eglise St-Servais」駅から徒歩3分
ギュスターヴ・ストローヴァン設計のその他建築物
- Rue Luther 28
- Rue Saint-Quentin 32
- Rue Washington 127(ポール・コーシーとの共作)
- Rue de la Consolation 67
- Villa Kjobenhavn(Rue Souveraine 52)
- Rue Josaphat 259, 265, 269
- Boulevard Lambermont 146, 150
- Avenue Louis Bertrand 92, 94-96
- Rue Victor Lefèvre 61
- Avenue des Azalées 8-9
※これらの詳しい場所についてはページ上部のグーグルマップを確認してください。
滞在後記
ギュスターヴ・ストローヴァンの作品はその他アール・ヌーヴォー建築家とは一線を画しており、ヴィクトール・オルタ等にはない奇抜さが建物の魅力だと言えます。
魔物が住んでいそうな外観ですが、格子などをよく見ると植物をモチーフにした繊細な造りになっています。実際に訪問していても、「あ!これがギュスターヴ・ストローヴァンの作品だ」と分かるくらい特徴的で、次はどんな建物なのだろうと楽しく建物を巡ることができました。
建築物に興味のない方もサン・シール邸(Maison de Saint Cyr)だけは見てみてください。後悔はしないはずですし、きっとギュスターヴ・ストローヴァンについて知りたくなると思います。
それでは、アール・ヌーヴォー建築の異端児「ギュスターヴ・ストローヴァン」の作品をぜひ現地で楽しんでみてください!
※上記建築物の場所は以下のグーグルマップ(緑)にまとめています。