中世と近代文化が織り成す芸術の街「ミラノ」!
イタリア第2の都市「ミラノ」は、第二次世界大戦の空襲で多くの建物が破壊された歴史を持っています。しかし、戦後は急速に復興したほか、再開発が可能になっていることなどを背景に、街には多くの近代的な建物があります。
今回は何度も訪れた筆者が印象に残った15カ所をおすすめ観光地として紹介しますので、ぜひミラノ観光の参考にしてください!
※新型コロナウイルスの影響により、教会・博物館などの開館時間が異なる場合があります。訪問の際は公式ホームページなどで開館時間を確認してください。
ミラノの世界遺産
1.サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会(Chiesa di Santa Maria delle Grazie)
1400年代に建設されたゴシックとルネサンス様式の教会(第二次世界大戦後に再建)。【レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とドメニコ会修道院】として1980年に世界遺産に登録されています。
世界遺産である「最後の晩餐」は食堂の壁画として描かれたものであり、サイズは420 x 910cm。拝観は予約制で、以下の公式予約サイトから行えます。なお、時期により予約が終了、もしくは開始されていない場合があるので注意してください。
■サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の内部
主要観光スポット
2.ドゥオーモ(Duomo di Milano)
1300年代に着工され、1800年代に完成したゴシック様式の大聖堂。ミラノのシンボル的な存在。第二次世界大戦でメインエントランスなどに爆撃を受けましたが、その後改修されています。ジュゼッペ・アルチンボルド(Giuseppe Arcimboldo、1526〜1593年)などが手掛けたステンドグラスが見所になります。
3.ミラノ王宮(Palazzo Reale di Milano)
ドゥオーモ横にある旧王宮。現在の建物は18世紀後半にジュゼッペ・ピエルマリーニ(Giuseppe Piermarini)が改修を指揮したネオクラシック様式のもの。フランス皇帝のナポレオンが居住したことでも知られています。現在は博物館などとして利用されており、ピカソやカラヴァッジョの企画展が行われたこともあります。
料金:14ユーロ
最寄り駅:地下鉄1、3号線「Duomo」駅(地図)
公式サイト:https://www.palazzorealemilano.it/
4.ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア(Galleria Vittorio Emanuele II)
1865年~1877年に建設されたネオ・ルネサンス様式のギャラリー。ジュゼッペ・メンゴーニ(Giuseppe Mengoni、1829年~1877年)が設計を担当しています。イタリア王国、ミラノ、トリノ、フィレンツェ、ローマの紋章が描かれた床のモザイク画が見所。そのほか、プラダ本店のほか、ルイ・ヴィトンやヴェルサーチなど高級ブランドのブティックも入っています。
■ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア内部
5.スカラ座(Teatro alla Scala)
1700年代後半に建設された劇場。オペラの最高峰。現在の建物は二代目で、初代の建物は1776年に火災により焼失しています。第二次世界大戦中の1943年には連合国の爆撃で深刻な被害を受けましたが、その後すぐに再建されています。なお、スカラ座前の広場にはレオナルド・ダ・ヴィンチ像があります。
6.スフォルツェスコ城(Castello Sforzesco)
1360~1499年に建設された城塞。領主ガレアッツォ・II・ヴィスコンティ(Galeazzo II Visconti)の命により建設されましたが、1447年にヴィスコンティ家が追放され、1450年にミラノ公爵のフランチェスコ・スフォルツァ(Francesco Sforza)によって城が再建されました。
その後、ナポレオンにより一部建物が破壊されましたが、1891~1905年にルカ・ベルトラミ(Luca Beltrami)によって再建されています。現在は美術館などとして利用されており、ミケランジェロの遺作「ロンダニーニのピエタ」(未完成)などを見ることができます。
■黒人のミサンガ売りには要注意!
スフォルツェスコ城前の広場には多くの黒人ミサンガ売りがいます。「無料だから」、「記念に」、「友達の印に」といった具合で、観光客の小指などにミサンガを結びつけようとしてきます。
結び終わると金銭を要求する詐欺的な行為を行っています。5〜10ユーロほど請求されるため、注意が必要です。無視をすれば問題ありませんが、トラブルになった場合は軍人や警察官、近くにいる観光客に向かって「ヘルプ!」と言って助けを求めてください。
おすすめ教会
7.サン・ナザロ・マッジョーレ聖堂(Basilica di San Nazaro in Brolo)
300年代後半に建設された初期キリスト教様式の教会。ミラノで最も古い教会の一つ。1075年の火災などにより、再建・増改築され、現在はルネサンス様式の外観になっています。ベルナルディーノ・ラニーノ(Bernardino Lanino、1512〜1578年)による「最後の晩餐」、ルーカス・ファン・レイデン(Lucas van leyden)が手掛けたステンドグラス等が見所になります。
8.サン・ロレンツォ聖堂(Basilica San Lorenzo Maggiore)
5世紀前後に建設された初期キリスト教、マニエリスム様式の大聖堂。火災や地震などにより、修復や改修を繰り返しています。ローマ帝国の遺産とも言えるこちらの教会は、レオナルド・ダ・ヴィンチが建築方法などを研究したことでも知られています。4世紀後半に造られたモザイク画などが見所になります。
■サン・ロレンツォ聖堂の内部
9.聖マウリツィオ教会(Chiesa di San Maurizio al Monastero Maggiore)
ランゴバルド王国時代に設立された歴史を持ち、現在の建物は16世紀に再建されたルネッサンス様式のもの。ジョヴァンニ・アントニオ・アマデーオ(Giovanni Antonio Amadeo)が設計を担当しています。
見所はアントニオ・カンピ(Antonio Campi)、アウレリオ・ルイーニ(Aurelio Luini)、ベルナルディーノ・ルイーニ (Bernardino Luini)などが手掛けたフレスコ画。フレスコ画の美しさには圧倒されること間違いなしです。なお、考古学博物館が併設されています。
■聖マウリツィオ教会の内部
料金:無料
最寄り駅:地下鉄1号線「Cairoli Castello」駅(地図)
おすすめ博物館
10.ブレラ美術館(Pinacoteca di Brera)
1776年に設立された美術館。建物は17世紀に建てられ、イエズス会の施設として利用されていました。イタリア絵画の有数なコレクションを誇り、ヴェネツィア派の巨匠であるジョヴァンニ・ベッリーニの「ピエタ」、ルネッサンス期を代表するラファエロ・サンティの「聖母の結婚」、カラヴァッジョの「エマオの晩餐」などが見所になります。
料金:12ユーロ(割引、無料日あり)
最寄り駅:地下鉄2号線「Lanza」駅(地図)
公式サイト:https://pinacotecabrera.org/
11.ミラノ市立近代美術館(Galleria d’Arte Moderna)
1921年に設立された近代美術館。18〜20世紀におけるイタリア、ヨーロッパの作品が主体。19世紀のイタリア・ロマン主義を代表する画家「フランチェスコ・アイエツ」、ジョヴァンニ・セガンティーニ、ウンベルト・ボッチョーニなどのイタリア人画家に加え、エドゥアール・マネ、ポール・セザンヌ、フィンセント・ファン・ゴッホなどの作品も展示されています。
料金:5ユーロ(割引、無料日あり)
最寄り駅:地下鉄1号線「Palestro」駅(地図)
公式サイト:http://www.gam-milano.com/
12.レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館
16世紀初頭に建設された修道院が起源。第二次世界大戦中の爆撃により破壊されたため、戦後は博物館として再建されました。科学技術に関する博物館で、レオナルド・ダ・ヴィンチ作の図面にもとづく模型などが展示されています。
おすすめ買い物スポット
13.モンテ・ナポレオーネ通り(Via Monte Napoleone)
ジャコモ・マッテオッティ通り(Corso Giacomo Matteotti)とアレッサンドロ・マンゾーニ通り(Via Alessandro Manzoni)を結ぶ全長約450メートルの通り。
ミラノ最大のブランド通りになり、ジョルジオ・アルマーニ、ヴェルサーチ、エルメネジルド・ゼニア、エトロが本店を構えるほか、ブルガリやルイ・ヴィトン、ヴァレンティノなどのブティックもあります。ブランド好きの方には絶対に訪れていただきたい通りになります。
14.スピガ通り(Via della Spiga)
ヴェネチア通り(Corso Venezia)とアレッサンドロ・マンゾーニ通りを結ぶ全長約500メートルの通り。ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)が本店を構えているほか、クロエやショパール、ランバン、プラダなどがブティックを構えています。通りの大部分が歩行者専用道路になっているため、ゆっくりウィンドウショッピングが楽しめる点がポイントです。
15.ナヴィリオ・グランデ(Naviglio Grande)
ナヴィリオ地区に位置する運河。運河沿いには古着屋、アンティークショップ、レコードショップ、書店等があります。また、多くのカフェ、レストランがあり、街歩きを楽しめる場所として日本人にも人気の場所です。
さらに、月最後の日曜日にはアンティークマーケット(Mercatone dell’Antiquariato)が開催されています。日本のテレビ番組でも紹介されたことのあるマーケットで、開催日は多くの人で賑わいます。家具や磁器、銀食器、ブランド品などが取り扱われており、掘り出し物を探したい方におすすめです。
なお、詳しい買い物スポットの情報は以下の記事をご覧ください。
最後に
第二次世界大戦中の爆撃によって多くの歴史的財産が失われたミラノですが、歴史深い教会が多くあります。歩いていると教会をよく見かけ、どれも中世、もしくはそれ以前からの歴史を持っています。
また、街が世界遺産に登録されておらず都市開発が行えるため、近代的な建物が多いのも特徴です。そのような、「歴史と近代文化(ファッション含む)の融合」がミラノの魅力になります。
ローマから電車で3時間ほどで行くことができます。イタリアは電車代が安いため、イタリア旅行では、ぜひミラノも押さえておいてください!
※上記の観光スポットの場所は以下のグーグルマップ(赤色)にまとめています。