アントワープの建築物10選!ザハ・ハディド氏が手掛けた印象的な建物とは?

アントワープ中央駅(Station Antwerpen-Centraal)の内部 アントワープ

ベルギー第2の都市「アントワープ」で建築巡りを楽しんでみませんか?

15世紀に建設されたアントワープ最古の家があった?!気になるルーベンスのパトロンだった人物の邸宅とは?ザハ・ハディド氏が手掛けた建物は異彩を放つ存在だった?

今回は歴史的建造物、1900年代、2000年代のカテゴリに分けて、アントワープの注目すべき建築物を紹介。ガイドブックなどでは見ることができないマニアックなものも掲載していますので、ぜひ観光の参考にしてください。

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歴史的建造物

1.アントワープ最古の家(Oudste huis van Antwerpen)

アントワープ最古の家

1480年頃に建てられたアントワープ最古の家(※写真中央)。アントワープ市庁舎から徒歩4分ほどの場所に位置しています。木製のファサード(建物の正面)が特徴で、中世の建築様式が残る貴重な建物になっています。

1500年代前半までは木造建築が主流でしたが、火災による被害を防ぐため、1546年以降は石造りの家しか建てられないように決められています。こちらの建物は6回の戦争、500年の間に持ち上がった都市計画を生き延びて現在まで残されています。なお、2018年時点で39万5000ユーロ(約4640万円)の値が付けられています。

※アントワープで最も古い建物は1200〜1225年に建てられたステーン城(Het steen)になります。

■アントワープ最古の家の玄関

アントワープ最古の家(Oudste huis van Antwerpen)の玄関

住所:Stoelstraat 11, 2000 Antwerpen, Belgique
最寄り駅:トラム7番線「Klapdorp」駅から徒歩3分

2.ロコックス邸(Rockoxhuis)

ロコックス邸(Rockoxhuis)

16世紀に建設されたアントワープ市長「ニコラス・ロコックス(Nicolaas Rockox、1560〜1640年)」の邸宅。バロック様式が採用され、当時の中産階級に人気があった典型的な建物になります。1970年にベルギーの金融グループ「KBC」が買収、博物館としてオープンさせており、ルーベンスやダイク、ヤーコブ・ヨルダーンスなどの作品が展示されています。なお、ニコラス・ロコックスはピーテル・パウル・ルーベンスのパトロンとしても知られています。

開館時間:10:00〜17:00(月曜日は定休日)
料金:8ユーロ(最終水曜日は無料)
住所:Keizerstraat 12, 2000 Antwerpen, Belgique
最寄り駅:トラム7番線「Keizerstraat」駅から徒歩1分
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3.メール宮殿(Paleis op de Meir)

メール宮殿(Paleis op de Meir)

ヨハン・アレクサンダー・ファン・スステレン(Johan Alexander van Susteren)の依頼によって、1745年に建てられたロココ様式の宮殿。スステレンは東インド、西インド諸国と貿易を行っていたオステンド社への投資で富を得た人物です。

フランス統治下にあった1811年に皇帝「ナポレオン・ボナパルト」が購入しましたが、居住することはありませんでした。ナポレオン追放後はオランダ国王「ウィレム1世」が定期的に滞在。1830年のベルギー独立革命以降はベルギー王室が所有し、1969年にボードゥアン1世が宮殿所有は時代錯誤だとし、寄付をしています。現在、宮殿の一部はチョコレートショップ、カフェとして運営されています。

営業時間(カフェ):9:00〜19:00
住所:Meir 50, 2000 Antwerpen, Belgique
最寄り駅:プレメトロ3・5・9・15番線「Meir」駅から徒歩2分

4.オステライト邸(Osterriethhuis)

オステライト邸(Osterriethhuis)

メール宮殿と同年代に建てられたロココ様式の建物。アントワープで最も古い貴族の邸宅の一つ。メール宮殿と同じく、建築家「ヤン・ピーテル・ファン・バウルシャイト・ザ・ヤンガー(Jan Pieter van Baurscheidt de Jonge)」が設計を担当しています。1874年にドイツの実業家「ジャック・エルンスト・オステライト(Jacques-Ernest Osterrieth)」が購入したことからオステライト邸と呼ばれています。

住所:Meir 85, 2000 Antwerpen, Belgique
最寄り駅:プレメトロ3・5・9・15番線「Meir」駅から徒歩3分

1900年代

5.アントワープ中央駅(Station Antwerpen-Centraal)

アントワープ中央駅(Station Antwerpen-Centraal)

アントワープ中央駅は1836年に開業した駅。現在の建物は1899〜1905年に建設されたもので、建築家「ルイ・デラサンセリ(Louis Delacenserie)」が設計を担当しています。外観に加え、玄関ホールやドームの美しさが見所。駅の美しさはヨーロッパで最も美しい駅に選ばれているほどです。

■アントワープ中央駅内部

住所:Koningin Astridplein 27, 2018 Antwerpen, Belgique
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6.テルヴァーニュ邸(Huis van dr. Terwagne)

テルヴァーニュ邸(Huis van dr. Terwagne)

医師で政治家のモデスト・テルヴァーニュ(Modeste Terwagne、1864〜1945年)が依頼し、1909年頃に建設されたアール・ヌーヴォー様式の建物。設計はアール・ヌーヴォー建築の父「ヴィクトール・オルタ(Victor Horta)」が担当。オルタと同じく、テルヴァーニュもフリーメイソンでした。窓枠や天然石を使用した外観は、一目でオルタ設計によるものだと分かるほど特徴的です。現在はベルギーの銀行「Belfius」が入っています。

住所:Jan van Rijswijcklaan 62, 2018 Antwerpen, Belgique
最寄り駅:プレメトロ2・6番線「Markgravelei」駅からすぐ

なお、以下の記事でブリュッセルにあるヴィクトール・オルタの世界遺産を紹介しています。興味のある方はご覧ください。

ヴィクトール・オルタ設計の世界遺産は必見!タッセル邸、ソルベイ邸など
ベルギーの首都・ブリュッセルにある世界遺産「建築家ヴィクトール・オルタの主な都市邸宅群」について紹介!注目すべきアール・ヌーヴォー様式最初の建物とは?築100年以上の魅力ある建物群がみなさんを建築の世界に引き入れます!

7.ローラン・デュヴィヴィエ邸

ローラン・デュヴィヴィエ邸

1910年頃に建設された建築家「ローラン・デュヴィヴィエ(Laurent Duvivier)」の邸宅。アール・ヌーヴォー様式が採用され、設計はデュヴィヴィエとアドルフ・ファン・カッパーノッレ(Adolphe Van Coppernolle)が担当。内部にはズグラッフィート装飾で有名なポール・コーシー(Paul Cauchie)の作品もあります。レンガ造りの建物ですが、天然石のアクセントがとても興味を引くデザインになっています。

住所:Bosmanslei 20, 2018 Antwerpen, Belgique
最寄り駅:プレメトロ2・6番線「deSingel」駅から徒歩3分
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8.エドゥアルド・ヴァン・ビーゼン邸

エドゥアルド・ヴァン・ビーゼン邸

1913年に建設されたエドゥアルド・ヴァン・ビーゼン(Eduard Van Biesen)の邸宅(※写真中央)。建築様式は折衷主義で、ペーテルス・ギョーム(Peeters Guillaume)が設計を担当。建物上部にはポール・コーシーのズグラッフィート装飾があります。1900年代初めに流行したデザインが取り入れられており、ブリュッセルにも似たような建物が多く建設されていました。

住所:Eglantierlaan 124, 2610 Antwerpen, Belgique
最寄り駅:プレメトロ2・6番線「Olympiade」駅から徒歩6分

※エドゥアルド・ヴァン・ビーゼン邸の近くにはル・コルビュジエが手掛けた世界遺産「ギエット邸(Maison Guiette)」があります。気になる方は以下の記事をご覧ください。

アントワープの世界遺産まとめ!市庁舎、ギエット邸などの見所は?
ベルギー第2の都市「アントワープ」の世界遺産を紹介!市庁舎のファサードにある紋章は何の紋章?見逃せない聖母大聖堂にあるルーベンスの絵画とは?現存する世界最古の印刷機が見れる博物館もあった?!ル・コルビュジエが手掛けたギエット邸も必見!

9.KBCタワー(KBC toren)

KBCタワー(KBC toren)

1929〜1932年に建設されたアール・デコ様式の高層ビル(高さは112.5メートル)。建築家「ヤン・ヴァンホーナッカー(Jan Vanhoenacker、1875〜1958年)」などが設計を担当。同時期に建設されたアメリカのエンパイア・ステート・ビルディングもアール・デコ様式が採用されており、どことなく雰囲気が似ています。高層ビルが少ないアントワープではとても目立つ存在になっています。

住所:Schoenmarkt 35, 2000 Antwerpen, Belgique
最寄り駅:トラム4・7番線「Meirbrug」駅から徒歩1分

2000年代

10.アントワープ港湾局(Havenbedrijf Antwerpen)

アントワープ港湾局

2012〜2016年に建設されたアントワープ港湾局の建物。ザハ・ハディッド氏(1950〜2016年)が設計を担当。改装した旧消防署と近代的デザインが取り入れられた構造物が接続されています。近代建築が少ないアントワープにおいて、とても異彩を放つ存在になっています。世界最大の国際不動産見本市「MIPIM」で賞を受賞するなど、デザイン面は評価されています。また、写真の通り、ライトアップされた建物はとてもきれいです。

住所:Zaha Hadidplein 1, 2030 Antwerpen, Belgique
最寄り駅:バス停「Ferdinanduspolder」から徒歩2分
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滞在後記

筆者は鉄道でアントワープを訪れましたが、アントワープ中央駅の豪華さにはとても驚きました。駅に降り立ち、何枚も駅の写真を撮ったのは初めてのことでした。規模はそこまで大きくないため、時間を掛けず見ることができる点もポイントだと思います。

また、ザハ・ハディッド氏が手掛けたアントワープ港湾局の建物も印象に残っています。夜景撮影のために現地に向かいましたが、遠目からライトアップされた建物が見えた際には鳥肌が立つほどでした。水面に反射して浮かび上がる姿はとてもきれいなので、昼間ではなく夜に見に行ってみてください。

そのほか、建築好きな方はぜひマルクグラヴェ(Markgrave)地区も訪れてください。上記ではテルヴァーニュ邸、ローラン・デュヴィヴィエ邸が同エリアにありますが、特にファン・プットレイ(Van Putlei)通り周辺にはアール・ヌーヴォー様式から近代建築まで多くの特徴ある建物を見ることができます。筆者はエリアについて知らずに行きましたが、本当に驚かされる建物が多かったのが印象に残っています。

上記以外では、アントワープ市庁舎、市庁舎前広場のギルドハウス群も見所です。ぜひ、上記を参考にアントワープの建築巡りを楽しんでみてください!

※上記の建築物の場所については以下のグーグルマップ(こげ茶色)を確認してください。