ブラチスラバ観光を楽しもう!
ブラチスラバ城から絶景が見られる?!青の教会はハンガリーのガウディが設計者?アウステルリッツの戦い後にプレスブルク条約が締結された場所とは?
今回はスロバキアの首都「ブラチスラバ」のおすすめ観光スポットを紹介しますブラチスラバは大都市ではないため、観光の見所は多くありません。しかし、訪れておきたい観光スポットはいくつかあります。今回は筆者が滞在して印象に残った場所を選定しています。観光を計画されている方はぜひ参考にしてください。
主要観光スポット
1.ブラチスラバ城(Bratislavský hrad)
ブラチスラバ城は、9世紀頃にスラブ人が建設した城が起源。城が建てられる前から要塞化されており、古代から周囲を警備する上で重要な役割をになっていました。1500年代にプレスブルク(現ブラチスラバ)はハプスブルク帝国が支配する王領ハンガリーに編入され、ブラチスラバ城は王の戴冠式が行われる主城になります。
17世紀にはバロック様式で再建され、1700年代にはマリー・アントワネットの母であるマリア・テレジアによって改装されています。1780年にマリア・テレジアが亡くなった後、首都がブダに移されたことなどから城は衰退していきます。その後、ナポレオン軍の攻撃、兵士の不注意による大火災で城は焼失しています。現在の建物は1900年代半ばに再建されたものになります。
現在はスロバキア国立博物館(歴史博物館)などとして利用されており、先史時代から中世までのスロバキアの歴史などを学ぶことができます。そのほか、建物外には無料で入ることができるため、誰でもブラチスラバの景色を楽しむことができます。
※歴史博物館は朝の早い時間だと学生や観光ツアー客とバッティングする可能性があります。
■ブラチスラバ城から見た景色
2.フラヴネー広場(Hlavné námestie)
フラヴネー広場(メイン広場)がブラチスラバ観光の中心地になります。広場には旧市庁舎(※写真右のライトアップされた建物)のほか、日本大使館やフランス大使館、ギリシャ大使館などがあります。世界中を旅行しましたが、ここまで好立地にある日本大使館はかなり珍しいと思います。そのほか、抹茶などが味わえる「Matsu premium matcha & coffee」、スターバックスなどのカフェ、ギフトショップなどもあります。
■広場にある像について
広場には「シェーネ・ナーチ像」、「ナポレオン軍の兵士の像」の2つに加え、日本大使館前に「市衛兵の像」があります。
■シェーネ・ナーチ像
シェーネ・ナーチとして知られるイグナック・ラマール(Ignác Lamár、1897年〜1967年)は、燕尾服とシルクハットを愛用するブラチスラバで有名だった人物です。スロバキア出身の彫刻家でブラチスラバ美術大学教授のユライ・メリシュ(Juraj Meliš、1942年〜2016年)によって、1997年に製作されました。
■ナポレオン軍の兵士の像
ナポレオン軍による攻撃を受けた歴史を踏まえ、ユライ・メリシュによって製作されました。製作された背景には、憎しみといったことではなく、街をユニークにしたいという意図があるようです。
3.中世の城壁(Mestské hradby)
ハンガリー王でもあった神聖ローマ皇帝「ジギスムント(1368年〜1437年)」によって強化された要塞の一部。また、オスマン帝国による攻撃から都市を守るために16世紀前半に要塞は強化されています。その後、城壁は重要性を失い、マリア・テレジアの命により大部分が取り壊されています。現在は、写真の区間のみが残されています。中世の歴史を感じることができる場所としておすすめです。
4.ミハエル門(Michalská brána)
ミハエル門は中世に建てられた要塞の門4つのうち、唯一保存されている門になります。こちらの塔は14世紀に建てられ、16世紀に破壊された後、18世紀に現在の姿に再建されています。特徴的な塔の上部には聖ミカエルの像が設置してあります。現在は武器博物館として利用されているほか、塔に登ることもできます。
5.スラヴィーン(Slavín)
スラヴィーンは第二次世界大戦中にスロバキアで亡くなったソ連兵を追悼する記念碑及び軍人墓地です。チェコスロバキア時代(共産党独裁政権時代)の1957年〜1960年にかけて建設されました。6845名もの兵士が埋葬されている場所なのでおすすめ観光地として取り上げるか迷いましたが、共産時代などスロバキアの歴史を様々な角度から見るためには知っておくべき場所だと思い、今回取り上げることにしました。また、スラヴィーンからは掲載写真のほか、ブラチスラバ城なども見ることができます。
6.UFOタワー(Vyhliadková veža UFO)
UFOタワーは1967年〜1972年に建設された道路橋の一部です。設計はスロバキア出身の建築家「ヨゼフ・ラツコ(Jozef Lacko)」とスロバキア出身の技師「アルパド・テサール(Arpád Tesár)」などが担当しています。高さは84.6メートルで、現在はレストランや展望台として利用されています。ブラチスラバ城やブラチスラバ旧市街を見渡すことができる観光客に人気の場所の一つです。
おすすめの教会
7.聖マルティン大聖堂(Katedrála svätého Martina)
聖マルティン大聖堂は14世紀から16世紀にかけて建設された大聖堂です。1563年から1830年にかけてハンガリー王国の国王・女王の戴冠式が行われた場所で、女帝「マリア・テレジア(1717年〜1780年)」など19回の戴冠式が行われています。そのほか、アレクサンドリアのヨハネ5世(552年〜619年)などの遺骨が納められています。
筆者は午前9時30分過ぎに訪問しましたが、中には誰もおらず、静かな時間が流れていました。内部はロマネスク様式のような質素な感じですが、1800年代に製作されたステンドグラスの美しさが印象に残りました。内部は撮影禁止でお見せできないのが残念ですが、ブラチスラバに行かれた際はマナーを守って見に行ってみてください。
8.聖エリザベス教会(Kostol svätej Alžbety)※青の教会
聖エリザベス教会は青の教会(Modrý kostolík)として知られる1913年に完成したアール・ヌーヴォー様式の教会です。設計はハンガリーの「アントニ・ガウディ」と呼ばれるレヒネル・エデン(1845年〜1914年)が担当しています。著名建築家が設計した建物ということで、筆者が滞在した際も数名の観光客が訪れていました。内部は見所が少ないですが、外観の美しさは一見の価値があると思います。
※レヒネル・エデンが設計した建物に興味のある方は以下の記事をご覧ください。
宮殿
9.グラサルコビッチ伯爵宮殿(Grasalkovičov palác)
グラサルコビッチ伯爵宮殿は、ハンガリー王立法廷議長でマリア・テレジアの顧問だったアンタル・グラサルコビッチ(1694年〜1771年)が建てた宮殿です。建物は1760年に完成し、交響曲の父と呼ばれる「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732年〜1809年)」が演奏会を開いた場所としても知られています。現在は大統領官邸として利用されています。
宮殿内に入ることは出来ませんが(一般公開日を除く)、宮殿前のホジョボム広場(Hodžovom námestí)には「平和の惑星(Planéta mieru)」と呼ばれるモニュメントがあります。フラヴネー広場から徒歩10分ほどの場所にあるため、一度は訪れても良い場所だと思います。なお、筆者が訪れた際は、デンマークの大使がちょうど中から出てくるタイミングでした。
10.プリマティア宮殿(Primaciálny palác)
プリマティア宮殿は1778年〜1781年にかけて建設されたヨージェフ・バターニー(József Batthyány)大司教の旧邸宅です。ナポレオン率いるフランス軍がロシア・オーストリア連合軍を破ったアウステルリッツの戦い(1805年)後、プレスブルク条約が締結された場所(鏡の間)として知られています。
現在はブラチスラバ市長室などが入っていますが、鏡の間などは一般公開されています。何気なく見ると少し目立つ宮殿ですが、歴史的な出来事を事前に知っておくと見え方が変わってくると思います。観光の中心地に位置していますので、ぜひ訪れてみてください。
番外編(愛される彫像「チュミル」)
■俺も待ってるぜ by チュミル(Čumil)
チュミルはブラチスラバ出身の彫刻家「ヴィクトル・ホリーク(Viktor Hulík)」の作品で、ブラチスラバの人気観光スポットの一つです。ブラチスラバ中心部にはこのような彫像がいくつかあるので、何も考えず街歩きを楽しむのも良い思い出になると思います。
最後に
上記以外では、写真左のスロバキア国立劇場(Slovenské národné divadlo)は1886年に完成したネオルネッサンス様式の歴史的建造物です。また、ページトップにあるドナウ川沿いの景色は写真右のオールド・ブリッジ(Starý most)から撮影しています。これらも訪れておきたい観光スポットになります。
以上、ブラチスラバは見所が多くない都市ですが、歴史などを知った上で訪れると満足度の高い場所がいくつもあります。ぜひ、上記を参考にブラチスラバ観光を楽しんでください。なお、今回紹介した観光スポットの場所は以下のグーグルマップ(青色)で確認してください。