ブダペストは世界遺産都市!
世界で最も美しい国会議事堂がある?夜景鑑賞で最も訪れておきたい橋があった?!漁師組合が守っていた場所にあるブダペスト屈指の人気観光地とは?
ブダペストには世界遺産「ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区およびアンドラーシ通り」があります。今回は登録されている世界遺産に加え、その他のおすすめ観光地を紹介します。ぜひブダペスト観光を計画する際の参考にしてください。
世界遺産
1.ブダ城(Budavári Palota)
ブダ城はドナウ川左岸のブダ地区に位置する城になります。ハンガリー王ベーラ4世(1206年〜1270年)が13世紀に築いた王宮が起源。神聖ローマ皇帝「ジギスムント(1368年〜1437年)」が王宮を拡張、要塞を強化。その後、オスマン帝国支配下の17世紀に起こった大トルコ戦争で中世の王宮は破壊されています。ハプスブルク家支配下での再建、第二次世界大戦中の破壊を経て、建物は戦後に改めて再建されています。なお、ブダ城の特徴的なドーム(屋根)は戦後に再建されたものになります。現在はハンガリー国立美術館、ブダペスト歴史博物館などとして利用されています。
■ブダ城から見た景色
2.国会議事堂(Országház)
国会議事堂は、ハプスブルク帝国下の1885年〜1904年に建設されたネオゴシック様式の建物です。イムレ・スタインドル(Imre Steindl、1839年〜1902年)が設計を担当し、世界で最も美しい国会議事堂と呼ばれています。ガイドツアーで内部に入ることができ、豪華な装飾が施された内装、カーロイ・ロッツが描いた天井のフレスコ画などを見ることができます。日中も素晴らしい建物ですが、夜になると写真のような幻想的なライトアップが行われています。
3.マーチャーシュ聖堂と三位一体広場
マーチャーシュ聖堂(Mátyás Templom)はブダ地区にある教会です。初代ハンガリー王「イシュトヴァーン1世」によって1015年に設立されたと考えられています。13世紀にブダ城を築城したハンガリー王「ベーラ4世」がゴシック様式の教会を建て、現在の建物は14世紀後半にハンガリー王「ラヨシュ1世」によって再建されたものになります。修復時に追加されたジョルナイ製の美しい屋根などが特徴的です。
なお、1867年にフランツ・ヨーゼフ1世と皇妃エリザベートの戴冠式が行われた際、ハンガリーを代表する作曲家「フランツ・リスト」が自身が作曲した「ハンガリー戴冠式ミサ(Magyar koronázási mise)」を指揮しています。
■三位一体広場
三位一体広場はマーチャーシュ聖堂前にある広場で、聖三位一体像が見所になります。元の像は18世紀前半に建てられたものですが、第二次世界大戦で大きな被害を受けたため、現在の像はハンガリーの彫刻家「ブーザ・バルナ(Búza Barna、1910年〜2010年)」が製作したものになります。
4.漁夫の砦(Halászbástya)
漁夫の砦は1895年〜1902年に建てられた砦です。マーチャーシュ聖堂の修復を手掛けたフリジェシュ・シュレック(Frigyes Schulek、1841年〜1919年)が設計を担当しています。この場所にはもともとブダ城の要塞があり、1850年代にはすでに漁夫の砦と呼ばれていたそうです。なお、漁師組合がこのエリアを管理していたことが名前の由来になります。現在はブダペスト屈指の人気観光地となり、多くの人が訪れています。
■漁夫の砦から見た景色
5.ゲッレールトの丘(Gellért-hegy)
ゲッレールトの丘はブダ城の南に位置する丘(山)です。正式名称はケレン岳(Kelen-bérc)。頂上には城塞「ツィタデッラ(Citadella)」があり、周辺からはブダペストの景色が一望できます。なお、エルジェーベト橋や自由橋付近などから頂上に向かうことができ、道もちゃんと整備されています。少し疲れますが、時間のある方におすすめしたい観光スポットです。
6.ゲッレールト温泉とルダッシュ温泉
■ゲッレールト温泉(Gellért Gyógyfürdő és Uszoda)
ゲッレールト温泉(※写真左)はブダペストで有名な温泉の一つです。13世紀にはこの温泉の存在が知られており、中世には病院が建てられていました。その後、オスマン帝国支配時代には浴場が建設され、現在の建物は1912年〜1918年に建設されたアール・ヌーヴォー様式のものになります。温泉の温度は35度〜40度ほどで、スイミングプールやサウナなどもあります。
■ルダッシュ温泉(Rudas Gyógyfürdő és Uszoda)
ルダッシュ温泉(※写真右)はエルジェーベト橋近くにある温泉です。13世紀後半の文書で初めて登場し、元の浴場は1556年に建設が開始されたものになり、その後1800年前後の拡張、1866年の再建、第二次世界大戦後の再建などを経て現在の姿になっています。古い文書ではお湯はぬるいと書かれていますが、現在は熱いお湯もあります。
7.ブダペスト工科経済大学
ブダペスト工科経済大学(Budapesti Műszaki és Gazdaságtudományi Egyetem)は、1782年に神聖ローマ皇帝「ヨーゼフ2世(1741年〜1790年)」が設立した工学研修機関が前身の大学です。ブダペスト工科経済大学の中央棟(※写真)は同大学の教授、学長を務めたアラヨス・ハウスマン(Alajos Hauszmann、1847年〜1926年)が設計を担当した歴史的建造物です。同校の出身者にはホログラフィーの発明でノーベル物理学賞を受賞したガーボル・デーネシュ(Gábor Dénes)、ノーベル化学賞を受賞したジョージ・オラー(György Oláh)、ルービックキューブなど立体パズルの発明で知られるエルノー・ルービック(Ernő Rubik)などがいます。
8.エルジェーベト橋(Erzsébet híd)
エルジェーベト橋はドナウ川に架かる橋で、オーストリア皇帝兼ハンガリー国王「フランツ・ヨーゼフ1世」の皇妃「エリザベート」が名前の由来。旧エルジェーベト橋はエリザベートが暗殺された1898年〜1903年にかけて建設されましたが、第二次世界大戦中にドイツ軍によって爆破されました。現在のエルジェーベト橋は1961年〜1964年にかけて再建されたものです。なお、橋の近くの広場にはエリザベート像(※写真右)があります。
9.セーチェーニ鎖橋(Széchenyi Lánchíd)
セーチェーニ鎖橋はドナウ川に架かる全長約375メートルの橋です。ロンドンのハマースミス橋などを手掛けたイギリス人土木技術者「ウィリアム・ティアニー・クラーク(William Tierney Clark)」が設計を担当し、橋の発案者であるセーチェーニ・イシュトヴァーン伯爵が名前の由来になっています。1840年〜1849年にかけて建設された橋は第二次世界大戦中に爆破され、現在の橋は戦後の1949年に完成したものになります。橋の入口にある彫刻家「マルシャルコー・ヤーノシュ(Marschalkó János)が製作したライオン像などが見所です。
10.マルギット橋(Margit híd)
マルギット橋は国会議事堂の北に位置する全長約600メートルの橋です。フランス人技師「エルネスト・ゴアン(Ernest Goüin)」が設計を担当し、1872年〜1876年にかけて建設されました。こちらの橋も第二次世界大戦中に爆破され、戦後に再建され、2009年〜2011年にかけて修復が行われています。こちらの橋の見所は何と言っても橋から見る夜景です。ライトアップされた国会議事堂、マーチャーシュ聖堂、漁夫の砦、ブダ城を見渡すことができるため、ブダペスト観光で最も訪れて頂きたい場所(夜)になります。
11.旧市街聖堂(Belvárosi Plébánia templom)
旧市街聖堂はエルジェーベト橋近く(ペスト地区側)に位置する教会です。聖ゲッレールト(Szent Gellért、977年〜1046年)が埋葬されたロマネスク様式の教会が起源。神聖ローマ皇帝「ジギスムント(1368年〜1437年)」が14世紀にゴシック様式で再建しています。オスマン帝国支配下ではモスクとして利用され、1723年の火災後は1725年から1739年にかけてバロック様式で再建されています。
12.ヴィガドー(Vigadó)
ヴィガドーはブダペスト中央広場近くに位置するコンサートホールです。1829年から1833年にかけて建設された建物が前身で、1839年にはヨハン・シュトラウス、フランツ・リスト、フェレンツ・エルケルなどが一堂に会したチャリティーコンサートが行われています。現在の建物は1859年から1865年にかけて再建され、第二次世界大戦後に修復されたものになります。
13.ハンガリー科学アカデミー(Magyar Tudományos Akadémia)
ハンガリー科学アカデミーは1825年に設立され、ネオルネッサンス様式の建物は1862年から1865年にかけて建設されたものです。設計はドイツ人建築家のフリードリヒ・アウグスト・シュテューラー(Friedrich August Stüler)が担当しています。
14.アンドラーシ通り(Andrássy út)
アンドラーシ通りは、エルジェーベト公園(Erzsébet tér)付近から英雄広場まで伸びる約2.3キロの通りです。ブダペストのシャンゼリゼ通りとも呼ばれ、ルイ・ヴィトンやグッチ、バーバリー、オメガなどのブランドがブティックを展開しています。ネオルネッサンス様式の歴史的建造物であるハンガリー国立歌劇場、ドレクスラー宮殿のライトアップも見所です。なお、通りの下を走るブダペスト地下鉄1号線も世界遺産に登録されています。
■ハンガリー国立歌劇場(上)とドレクスラー宮殿(下)
15.英雄広場(Hősök tere)
英雄広場はブダペスト北東、アンドラーシ通りの突き当たりに位置する広場です。中央の塔には大天使ガブリエルの像があり、下にはマジャール人の七人の族長の像があります。奥には初代ハンガリー王「イシュトヴァーン1世」などの像があります。マリア・テレジアなどハプスブルク家の彫像もありましたが、共産主義時代に撤去されています。
■ブダペスト国立西洋美術館とブダペスト現代美術館
広場の向かって左側にはブダペスト国立西洋美術館(Szépművészeti Múzeum※写真左)があり、右側にはブダペスト現代美術館(Műcsarnok※写真右)があります。ブダペスト国立西洋美術館については、エル・グレコやベラスケス、ゴヤといったスペインコレクションのほか、ラファエロ・サンティ、アンソニー・ヴァン・ダイク、アルブレヒト・デューラーなどの作品が見所です。
その他のおすすめ観光地
16.聖イシュトヴァーン大聖堂(Szent István Bazilika)
聖イシュトヴァーン大聖堂は、1851年〜1905年にかけて建設された新古典主義様式の大聖堂です。ドナウ川右岸のペスト地区における観光の中心地とも言える場所になります。聖遺物「イシュトヴァーン1世の右手」が収められていることが名前の由来です。なお、サイトによってはこちらも世界遺産対象になっています。
17.ドハーニ街シナゴーグ(Dohány utcai Zsinagóga)
ドハーニ街シナゴーグは1854年〜1859年にかけて建設されたヨーロッパ最大のシナゴーグ。シナゴーグとはユダヤ教の会堂(集会を行う大きな建物)のことです。ムーア・リバイバル主義建築の建物は、オーストリア出身の著名建築家「オットー・ワーグナー」の師匠であるルートヴィヒ・フェルスター(Ludwig Förster)が設計を担当しています。内部装飾やフリジェス・フェズル(Frigyes Feszl)が描いたフレスコ画などが見所です。
18.ハンガリー国立博物館(Magyar Nemzeti Múzeum)
ハンガリー国立博物館は1802年にセーチェーニ・フェレンツ伯爵が設立した国立セーチェーニ図書館が前身。1803年にセーチェーニの妻が鉱物コレクションを寄贈したことにより、国立博物館が創設されました。現在の建物は1837年〜1847年にかけて建設された新古典主義建築の建物になります。展示物を通してアールパード朝、オスマン帝国時代、ハンガリー王国といったハンガリーの歴史が学べる場所としておすすめです。
19.ブダペスト中央市場(Nagy Vásárcsarnok)
ブダペスト中央市場は1897年に開業したブダペスト最大の屋内マーケット。自由橋(Szabadság híd)近くに位置しています。地下1階にはスーパーマーケットなどがあり、1階は八百屋や精肉店、ソーセージなどの加工品、酒屋、パン屋、お土産屋などがあり、2階はお土産屋がメインになります。店舗の多くが観光客向けで、買いづらさなどはありません。キーホルダーやマグカップといった定番系のお土産からハンガリー特産の蜂蜜、パプリカなどのお土産も購入することができます。詳細は以下の記事をご覧ください。
20.ヴァーツィ通り(Váci utca)
ヴァーツィ通りは、ブダペスト中央広場とフェーヴァーム広場(ブダペスト中央市場近く)を結ぶ全長約1.1キロの通りです。通りの大部分が歩行者天国になっており、ブダペストで最も賑わう買い物スポットになります。ZARAやH&M、アディダスなど国際的なブランドが店舗を構えるほか、フェーヴァーム広場側には多くのギフトショップがあります。なお、通りにはハンガリーのガウディと呼ばれれるレヒネル・エデン設計のトーネット邸(※写真右)などの歴史的建造物もあります。ショップ一覧などは以下の記事をご覧ください。
最後に
ブダペストは見所の多い都市とは言えませんが、ブダ城や国会議事堂、マーチャーシュ聖堂、漁夫の砦など強く印象に残る観光スポットがあります。それらを効率的に巡ることで、思い出に残るブダペスト観光が楽しめると思います。
そのほか、ブダペストには特徴的な建築物がいくつかあります。建築に興味のない方もぜひ以下の記事を参考に建築物巡りを楽しんでみてください。
なお、今回紹介したおすすめ観光スポットの場所は以下のグーグルマップを確認してください。こちらの記事が少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。