オランダの首都「アムステルダム」には2つの世界遺産が存在しています。
一つは1996年に登録された「アムステルダムの防塞線」、もう一つは2010年に登録された「アムステルダムのシンゲル運河内の17世紀の環状運河地区」になります。
「アムステルダムの防塞線」は広範囲でアクセスも悪いため、今回は「アムステルダムのシンゲル運河内の17世紀の環状運河地区」について紹介していきます。
アムステルダムのシンゲル運河内の17世紀の環状運河地区
登録対象エリアは一番外側に位置するプリンセン運河から、カイゼルス運河、ヘーレン運河、シンゲル運河(内側の4運河含む)などになります。今回は各運河の概要を写真とともにお伝えします。ぜひ、アムステルダム観光の参考にしてください。
シンゲル運河(Singel)
エイ(IJ)湾からムント広場(Muntplein)近くのアムステル川を結ぶ運河。15世紀に築かれ、1585年に都市が拡大されるまでアムステルダムの外堀として機能していました。
運河沿いにはオランダ黄金時代に建設された立ち並んでいるほか、玄関が幅1メートルほどしかない変わった建物(Singel 7)もあります。歴史的建造物では「Het huis De Dolphijn(Singel 140-142)」が有名です。
■シンゲル運河沿いの観光スポット
- ムント塔(Munttoren)
- 花市場(Bloemenmarkt)
- カルファーパサージュ(Kalverpassage)
- 拷問博物館(Torture Museum)
- ドーム教会(Koepelkerk)
上記で特に有名な観光スポットは「花市場」になります。オランダといえばチューリップということで、チューリップの球根や関連したお土産等が売られていました。また、盆栽(BONSAI)セットや大麻栽培セット(日本への持ち込み不可)などもあります。
■花市場
ヘーレン運河 (Herengracht)
17世紀に築かれたブローウェルス運河(Brouwersgracht)とアムステル川を結ぶ運河。
黄金の湾曲(Gouden Bocht)と呼ばれるエリアには市長や商人など富裕層の邸宅が軒を連ねていました。なかでも、Herengracht 475に位置するヌーフヴィル邸(Huis De Neufville)が最も美しいファサードを持つ家として知られています。
■ヘーレン運河沿いの観光スポット
- ヴィレット・ホルトハウゼン博物館(Museum Willet-Holthuysen)
- かばん博物館(Tassenmuseum Hendrikje)
- 猫の博物館(KattenKabinet)
- ヌーフヴィル邸(Huis De Neufville)
- 運河の家博物館(Museum Het Grachtenhuis)
- バルトロッティ邸(Museumhuis Bartolotti)
バッグ博物館には中世から現代までの女性用バッグ、ポーチ、旅行かばんなどが展示されています。シャネルやグッチ、ルイ・ヴィトンなどのブランドものも揃っており、女性にはおすすめの博物館です。
■バルトロッティ邸
カイゼルス運河(Keizersgracht)
17世紀に築かれたブローウェルス運河とアムステル川を結ぶ運河。直訳すると「皇帝の運河」になりますが、こちらは神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世が名前の由来になっています。
なお、こちらの運河はスケートのできる運河として指定されており、氷の張る冬場はスケートを楽しむ人の姿も見られれます。
■カイゼルス運河沿いの観光スポット
- ファン・ローン博物館(Museum Van Loon)
- ハウス・マルセイユ写真美術館(Huis Marseille Museum for Photography)
- フェリックス・メルティス(Felix Meritis)
- 南アフリカハウス(Zuid-Afrikahuis)
- 頭像を持つ家(Huis met de Hoofden)
こちらの運河にも多くの富裕層の邸宅があり、なかでもヘンドリック・デ・ケイゼル(Hendrick de Keyser)が手掛けた「頭像を持つ家(1622年に完成)」、平戸・オランダ商館の初代館長「ヤックス・スペックス(Jacques Specx)」などが住んでいた「南アフリカハウス」などが有名です。
■頭像を持つ家
プリンセン運河(Prinsengracht)
こちらも17世紀に築かれた運河。全長は約3.2キロで、今回紹介する運河で最も長いものになります。ウィレム1世(1533〜1584)が名前の由来になり、運河沿いにはアンネ・フランクの家や西教会、北教会などの観光スポットがあります。
■プリンセン運河沿いの観光スポット
- パイプ博物館(Amsterdam Pipe Museum)
- 西教会(Westerkerk)
- アンネ・フランクの家(Anne Frank Huis)
- チューリップ博物館(Amsterdam Tulip Museum)
- チーズ博物館(Amsterdam Cheese Museum)
- 北教会(Noorderkerk)
なお、プリンセン運河とシンゲル運河を結ぶプリンセン通り(Prinsenstraat)、ベレン通り(Berenstraat)はおしゃれなブティック等が多く、観光でも立ち寄っておきたい人気スポットになっています。アムステルダム発のブランド本店もあり、街歩きでおすすめですよ!
※2つの通りはともに運河を渡るごとに違う名前になります。
■ベレン通り
滞在後記
運河巡りで驚いたことは歴史的建造物の多さになります。オランダ東インド会社関連の商人、市の役人を中心に、オランダ黄金時代には多くの豪邸が建設されました。富裕層はこぞって建物の豪華さを競い、豪華なファサードはその象徴にもなっています。
建物入口付近の番号(住所)をメモし、後にどんな人が住んでいたか調べるととても面白い発見があったりします。筆者の場合は、カイゼルス運河沿いにある南アフリカハウス(Zuid-Afrikahuis)という建物が気になりました。後で調べてみると、上記の通り、平戸・オランダ商館の初代館長「ヤックス・スペックス(Jacques Specx)」が住んでいた場所でした。
オランダは日本との貿易をほぼ独占していた時代があり、このように日本と関わりのある人物の住居があったりします。それはとても面白い発見であり、そのような建物を調べていくと、きっと面白い観光ができると思います。
ぜひ、上記を参考にしてアムステルダムの運河巡りを楽しんでみてください。