オランダの首都「アムステルダム」には1200〜1600年代に起源を持つ教会がいくつも存在しています。
なかでも旧教会や新教会が有名ですが、多くの歴史的建造物を手掛けたオランダ人建築家「ヘンドリック・デ・ケイゼル(Hendrick de Keyser)」が設計した教会も見所の一つになります。
今回はアムステルダム観光で訪れておきたいおすすめの教会を10ヵ所紹介しますので、ぜひ観光の参考にしてみてください。
※新型コロナウイルスの影響により、開館時間が異なる場合があります。訪問の際は公式ホームページなどで開館時間を確認してください。
アムステルダムのおすすめ教会10選
1.旧教会(Oude Kerk)
1200年代前半に建てられた木製の礼拝堂が起源。1300年代前半に石造りの教会が建設され、そちらがオランダ初のホール教会になりました。その後、人口の増加と共に1330〜1350年、1380〜1412年、1450〜1460年、1563〜1565年に拡張工事が行われ、20世紀には大規模な修復工事が行われています。
地元の人々は1865年まで教会敷地内に埋葬されており、教会の床は墓石で出来ています。著名人では、アムステルダム市長「ウィレム・コーネリゼ・バッカー(Willem Cornelisz Backer)」、画家「ピーテル・ラストマン(Pieter Lastman)」、作曲家「ヤン・ピーテルスゾーン・スウェーリンク(Jan Pieterszoon Sweelinck)」などが埋葬されています。
なお、レッド・ライト・ディストリクト(Red Light District)という風俗街に位置しており、夜に訪れると赤い怪しげな光りが辺りを包んでいます。大麻(合法)を吸った若者が騒いでいることもありますが、基本的には安全な場所になります。
開館時間:10:00〜18:00(日曜日は13:00〜17:30)
料金:10ユーロ
アクセス:アムステルダム中央駅から徒歩8分
公式サイト:https://oudekerk.nl/
2.新教会(Nieuwe Kerk)
1380〜1408年に建設されたプロテスタント教会。様式はゴシック、ネオゴシック様式。街の発展により、旧教会だけでは対応できなくなったことから、ユトレヒトのフレデリック・ファン・ブランケンハイム(Frederik van Blankenheim)司教が第二教区教会の建設許可を与え、こちらの新教会が建設されています。
建物は1645年の火災でほぼ焼失しましたが、その後再建され、1892〜1914年に大規模な改修工事が実施されています。なお、詩人「ピーテル・コルネリスゾーン・ホーフト(Pieter Corneliszoon Hooft)」、画家「ハブリエル・メツー(Gabriël Metsu)」、オランダ海軍提督「ミヒール・デ・ロイテル(Michiel de Ruyter)」などが埋葬されています。
■新教会内部
開館時間:10:00〜17:00
料金:10ユーロ
アクセス:トラム2、11、12、13、17番線「Dam」駅からすぐ
公式サイト:https://www.nieuwekerk.nl/
3.聖ニコラス教会(Sint-Nicolaaskerk)
1884〜1887年に建設されたローマカトリック教会。アドリアヌス・ブライス(Adrianus Bleijs)が設計を担当、ネオ・バロック、ネオ・ルネッサンス様式が取り入れられた特徴的な建物になります。
外観の見所は建物上部にある守護聖人の彫刻。こちらは、彫刻家「バート・ファン・ホーブ(Bart van Hove)」による作品です。内部の絵画はオランダ人画家「ヤン・ダンセルマン(Jan Dunselman)」によるものが多く、ステンドグラスやドーム天井などが見所になります。
※開館時間については不定期的な要素が強く、以下の時間に訪問してもドアが開いていない場合があります。
開館時間:11:00〜16:00(火〜金)、12:00〜15:00(土〜月)
料金:無料
アクセス:アムステルダム中央駅から徒歩3分
公式サイト:http://www.nicolaas-parochie.nl/
4.西教会(Westerkerk)
1620〜1631年に建設されたオランダ改革派教会。アンネ・フランクの家の近くに位置しています。オランダ人建築家「ヘンドリック・デ・ケイゼル(Hendrick de Keyser)」が設計を担当、様式はルネサンス様式になります。
外観の見所はアムステルダム最大の高さ85メートルの塔。こちらは1638年に建設され、オランダ人建築家「ヤコブ・ヴァン・カンペン(Jacob van Campen)」が設計を担当しています。
なお、こちらの教会には画家「レンブラント・ファン・レイン(Rembrandt van Rijn)」、オランダ東インド会社総督「ピーテル・デ・カルペンティール(Pieter de Carpentier)」、平戸オランダ商館初代館長「ヤックス・スペックス(Jacques Specx)などが埋葬されています。
開館時間:10:00〜15:00(日曜日は休館)
料金:無料
アクセス:トラム13、17番線「Westermarkt」駅からすぐ
公式サイト:http://www.westerkerk.nl/japans
5.北教会(Noorderkerk)
1620〜1623年に建設されたプロテスタント教会。ルネッサンス様式。こちらもオランダ人建築家「ヘンドリック・デ・ケイゼル」が設計を担当。1621年にヘンドリック・デ・ケイゼルが亡くなった後は、彼の息子「ピーテル・デ・ケイゼル(Pieter de Keyser)が計画を引き継いでいます。
なお、一般には月曜日、土曜日の限られた時間のみ公開されています。係員の女性の方がとても優しく、丁寧に対応してくれたのがとても印象に残っています。
■北教会のパイプオルガン
開館時間:10:30〜12:30(月)、11:00〜13:00(土)
料金:無料
アクセス:トラム3番線「Nw. Willemsstraat」駅から徒歩7分
公式サイト:https://www.noorderkerk.org/english/
6.南教会(Zuiderkerk)※ザイド教会
1603〜1611年に建設されたオランダ初のプロテスタント教会。ルネッサンス様式。設計を担当したオランダ人建築家「ヘンドリック・デ・ケイゼル」、レンブラント・ファン・レインの第一子などがこちらの教会に埋葬されています。1929年まで教会として利用され、その後は第二次世界大戦中の一時的な死体安置所、情報センターなどとして利用され、現在は各種イベント会場として利用されています。
なお、フランス人画家「クロード・モネ(Claude Monet)」がアムステルダムに滞在していた際、こちらの教会の絵画を描いています。その作品は米国フィラデルフィア美術館に展示されています。
アクセス:地下鉄「Nieuwmarkt」駅から徒歩3分
公式サイト:http://zuiderkerkamsterdam.nl/
7.クライト・ベルク教会(Krijtberg Kerk)
1600年代半ばからイエズス会教会として存在し、現在の建物は1881〜1883年に建設されたものになります。様式はネオゴシック様式。守護聖人は日本でも有名なフランシスコ・ザビエルで、フランシスコ・ザビエル教会とも呼ばれています。
オランダ人建築家「ヴィルヘルム・ヴィクトル・アルフレッド・テペ(Wilhelm Victor Alfred Tepe)」が設計を担当。内部のインテリアはフリードリッヒ・ヴィルヘルム・メンゲルベルグ(Friedrich Wilhelm Mengelberg)などが担当しています。
開館時間:12:00〜18:15(曜日により異なる)
料金:無料
アクセス:トラム2、11〜13、17番線「Koningsplein」駅から徒歩2分
公式サイト:https://krijtberg.nl/
8.モゼス・エン・アアロン教会(Mozes en Aäronkerk)
1837〜1841年に建設されたローマカトリック教会。設計はブリュッセル王宮等を手掛けた建築家「ティルマン・フランソワ・スース(Tilman-François Suys)」が担当。様式は新古典主義。
16世紀に起こった宗教改革以降、アムステルダムではローマカトリックが禁じられ、隠れてお祈り等が行われていた「モゼス」、「アアロン」という2つの民家が教会の起源(1600年代半ば頃)。なお、19世紀初頭にローマカトリックの禁止令は解除され、オランダ政府による財政支援を受けてこちらの教会が建設されています。
開館時間:14:00〜17:00(夏季)※通常は一般公開されていません
料金:無料
アクセス:地下鉄「Waterlooplein」駅からすぐ
9.マウダー教会(Muiderkerk)
1892年に建設されたプロテスタント教会。1989年の火災により大部分が焼失し、塔の部分だけがオリジナルのまま残されています。新しい建物は1997年に再建されたものになり、新・旧ミックスの面白さが建物の魅力になります。
なお、教会だけの訪問ではなく、ダッペル市場(Dappermarkt)も合わせて訪れることをおすすめします。ダッペル市場は規模も大きく、アムステルダムでもおすすめのマーケットの一つです。
開館時間:14:00〜16:00(土)
料金:無料
アクセス:トラム19番線「1e v.Swindenstraat」駅からすぐ
公式サイト:https://www.muiderkerk.nl/
10.フォンデル教会(Vondelkerk)
1880年に完成したカトリック教会。設計はアムステルダム国立美術館やアムステルダム中央駅を手掛けたピエール・コイペルス(Pierre Cuypers)が担当。1977年まで教会として利用され、現在は結婚式場などとして利用されています。
アクセス:トラム1、11番線「1e Con. Huygensstraat」駅から徒歩3分
滞在後記
アムステルダムの教会はあまり一般公開されていない印象を受けました。通常の教会であれば、ミサ以外でも訪れることは可能ですが、扉が閉ざされているものが目立っていました。
筆者は「ヘンドリック・デ・ケイゼル」が手掛けた歴史的建造物が目的だったため、満足度の高い教会巡りとなりましたが、内部が見たい方にとっては少しストレスになるかもしれません。
ただ、塔などに完成した年が刻まれているもの、著名建築家が手掛けた教会も多く、外観巡りだけでもおすすめです。中に入れれば「ラッキー」という気持ちで教会巡りを楽しんでみてください!
※なお、上記教会の場所については以下のグーグルマップ(緑色)にまとめています。