<プラハ国立美術館>シュテルンベルク宮殿を攻略しよう!見所や注意点は?

プラハ

シュテルンベルク宮殿(プラハ国立美術館)を攻略しよう!

フランス国王「ルイ14世」の宮廷画家が描いた肖像画がある?!ルーベンスの作品を見る際の注意点は?筆者が惚れたレンブラントのライバルが描いた傑作とは?

今回はチェコ共和国の首都「プラハ」にあるシュテルンベルク宮殿(プラハ国立美術館)を紹介します。おすすめ画家10名の作品やその他おすすめの作品に加え、営業時間などの基本情報や注意点を掲載しています。ぜひ最後までご覧ください!

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シュテルンベルク宮殿(Šternberský palác)について

シュテルンベルク宮殿は、シュテルンベルク伯「ヴァーツラフ・ヴォイチェフ(Václav Vojtěch、1643年〜1708年)」が建てたバロック様式の宮殿。1699年からヴォイチェフが亡くなる1708年まで建設が続けられましたが、当初の計画通りには建設が進まず、宮殿は部分的にしか完成しませんでした。

1811年に愛国芸術友協会が購入し、1835年から1842年にかけて南翼が追加されています。その後はセントポール婦人少女協会が建物を購入し、精神障害者向け施設として利用され、1918年から1947年まではチェコスロバキア軍の施設として利用されました。1947年からプラハ国立美術館の所有物になり、現在は美術館として利用されています。

■閉まったドアに要注意!

上の写真右をご覧ください。一見、閉館日だと思いますよね?事実、筆者のほか、数名の観光客もこの様子を見て引き返しています。筆者は近くにあるシュワルツェンベルク宮殿で係員に「シュテルンベルク宮殿は営業していますか?」と質問。係員は「営業中だよ、小さな扉を開けてみてください」と返答してくれました。そして、シュテルンベルク宮殿に戻り、恐る恐る小さい方の扉のノブを下に押してみたところ、無事に扉が開いたということがありました。扉が写真のような状況になっていても、扉は開きますので勇気を持って開けてみてください。

■フロアについて

1階(現地表記は0階)にはミュージアムショップ兼チケット売場、カフェなどがあり、3階(現地表記は2階)が展示室になっています。筆者は階段を上りましたが、おそらくエレベーターなどはないと思います。

それでは、ここから筆者がおすすめする展示作品を紹介していきます!

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おすすめの画家10名

1.ピエール・ミニャール(Pierre Mignard)

■題名:若い男の肖像画(Portrait of a Young Man)

ピエール・ミニャールが1654年に描いた作品。サイズは縦119cm、横98.5cm。男性の素性は分かりませんが、ベネチアで描かれたものだと考えられています。なお、シュテルンベルク宮殿のポスターにはこちらの絵が描かれており、美術館を代表する絵画の一つだと言えます。

ピエール・ミニャール(1612年〜1695年)はフランス出身の画家。現在のベルギー・ブルージュの画家「ジャン・ブーシェ(Jean Boucher)」の元で修行を積んだ後、ローマに向かいます。ローマで宗教画や肖像画などが高く評価され、その後はフランス国王「ルイ14世」の宮廷画家になった人物です。

2.ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens)

■題名:アンブローズ・スピノーラの肖像画(Portrait of Marchese Ambrogio Spinola)

ルーベンスが1627年に描いた作品。サイズは縦116.5cm、横85cm。アンブローズ・スピノーラはジェノバ共和国の将軍。敵からも尊敬される当時最も有名な将軍の一人でした。なお、光の反射が絵画鑑賞の妨げになる点には注意が必要です。そのため、正面からではなく、斜めから写真を撮影しています。

ピーテル・パウル・ルーベンス(1577年〜1640年)は、フランドル絵画の巨匠と呼ばれる人物。アントワープ聖母大聖堂に展示されている「キリストの昇架」、「キリストの降架」など多くの傑作を描いています。アントワープ聖母大聖堂に展示されているルーベンスの作品は以下の記事をご覧ください。

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3.アンソニー・ヴァン・ダイク(Anthony van Dyck)

■題名:聖ブルーノ(Saint Bruno)

アンソニー・ヴァン・ダイクが1620年に描いた作品。サイズは縦97.5cm、横78cm。カルトジオ会の創始者である「ケルンのブルーノ」が描かれています。

アンソニー・ヴァン・ダイク(1599年〜1641年)は、現在のベルギー・アントワープ出身の画家。ルーベンスの助手として経験を積んだ後、イングランド国王チャールズ1世の宮廷画家として活躍した人物です。

4.ヤーコブ・ヨルダーンス(Jacob Jordaens)

■題名:手を組んだ老男の祈り(Study of an Old Man with Clasped Hands)

ヤーコブ・ヨルダーンスが1621年に描いた作品。サイズは縦67cm、横47.5cm。

ヤーコブ・ヨルダーンス(1593年〜1678年)は現在のベルギー・アントワープ出身の画家。ルーベンスやヴァン・ダイクと同時期に活躍し、彼らの死後はヨルダーンスがフランドルを代表するバロック画家になりました。

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5.ピーテル・ブリューゲル(Pieter Bruegel the Younger)

■題名:農民の喧嘩(Peasant Brawl)

ピーテル・ブリューゲル(子)が1622年に描いた作品。足元にトランプが転がっているため、賭け事でもやっていたのでしょうか。ブリューゲル親子の作品は当時のヨーロッパの日常が描かれているので、見ていて本当に面白いです。なお、ピーテル・ブリューゲル(子)はこれとは別に同じような作品を描いており、過去に開催されたオークションでは最低落札価格が日本円で1億円超になっていました。現在ではさらに価値が上がっている可能性があります。

ピーテル・ブリューゲル(Pieter Bruegel the Younger、1564年頃〜1638年頃)は、16世紀絵画の巨匠とも呼ばれるピーテル・ブリューゲル(Pieter Bruegel the Elder)の子。父の絵画の模写を多数行っています。なお、同じ名前であることから、父親はピーテル・ブリューゲル、子供はピーテル・ブリューゲル(子)などと書かれることが多いです。そのほか、シュテルンベルク宮殿では、弟のヤン・ブリューゲル(Jan Brueghel、1568年〜1625年)の作品も展示されています。

■ピーテル・ブリューゲル親子の作品を見比べてみよう!

写真左:ピーテル・ブリューゲル(父)作「鳥罠のある冬景色(Winter Landscape with a Bird Trap)」

写真右:ピーテル・ブリューゲル(子)作「鳥罠のある冬景色」※模写

下地や絵の具の違いなどもあると思いますが、みなさんはどちらの「鳥罠のある冬景色」がお好きですか?なお、父親作の「鳥罠のある冬景色」はオーストリア・ウィーンの美術史美術館に、子のブリューゲル作の「鳥罠のある冬景色」はこちらの美術館に展示してあります。

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6.ヒリス・モスタールト(Gillis Mostaert)

■題名:小さな町のマーケット(Market in Small Town)

ヒリス・モスタールトが1579年に描いた作品。サイズは縦41cm、横68.5cm。こちらも描かれた当時の町の様子を見ることができる面白い作品です。

ヒリス・モスタールト(1528年〜1598年)は、現在のベルギー・アントワープで活躍した画家。ルーベンスと同じく、モスタールトもアントワープで大規模な工房を運営していました。風俗画や当時人気のあった風景画などの作品を残しています。

7.マルテン・ファン・クリーフ(Marten van Cleve)

■題名:Wedding Feast on a Village Green

製作年は不明ですが、マルテン・ファン・クリーフが亡くなった後の17世紀初頭に描かれた可能性があると言われています。未完成の作品を息子達が代筆する形で完成させたのか定かではありません。サイズは縦99cm、横139cm。題名は「村の緑の上での婚宴」といったところでしょうか。上手く訳せなかったため、英語の題名にしています。

マルテン・ファン・クリーフ(1527年頃〜1581年)は、現在のベルギー・アントワープ出身の画家。フランドルを代表する画家の一人で、農民の生活など風俗画を描き、ピーテル・ブリューゲル(父)などに影響を与えたと考えられています。

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8.ラッヘル・ライス(Rachel Ruysch)

■題名:花と果物のある静物画(Still Life with Flowers and Fruit)

ラッヘル・ライスが1682年に描いた作品。サイズは縦38cm、横33cm。ラッヘル・ライスの作品はシュワルツェンベルク宮殿(プラハ国立美術館)にもありますが、描写が細かく、本当に綺麗です。

ラッヘル・ライス(1664年〜1750年)は、オランダ黄金時代を代表する女性画家。父親が植物学者及び解剖学者だったため、動植物や鉱物などのコレクションを多数保有していたことから、ラッヘルはそれらを使用して絵のスキルを向上させていきます。静物画で有名なウィレム・ファン・アールストに弟子入りした後、プファルツ選帝侯「ヨハン・ヴィルヘルム」の宮廷画家などとして活躍しました。

9.ニコラエス・ピケノイ(Nicolaes Pickenoy)

■題名:15歳の女性の肖像画(Portrait of a Fifteen Year Old Young Lady)

ニコラエス・ピケノイが1626年に描いた作品。サイズは縦116cm、横86cm。衣装から未婚女性だと考えられていますが、左手薬指には婚約指輪を付け、右手には婚約者から贈られるような豪華な手袋を持っていることから、婚約記念として描かれた可能性があります。

ニコラエス・ピケノイ(1588年〜1653年前後)は、アムステルダムで最も人気のあった肖像画家の一人。家が隣同士だったレンブラントとはライバル関係でした。1640年以降は人気に陰りが見え始め、1645年にはローン返済が出来ず、家を手放しています。なお、こちらの作品はシュテルンベルク宮殿のパンフレットの表紙に描かれている作品になります。ニコラエス・ピケノイは日本では知られていませんが、本当に上手いです。首元の襞襟、腕のレースなどが本当に細かく丁寧に描かれています。

■「15歳の女性の肖像画」の細部写真

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10.アンドレア・ヴァッカーロ(Andrea Vaccaro)

■題名:堕天使を倒す大天使ミカエル(Archangel Michael Slaying a Fallen Angel)

アンドレア・ヴァッカーロが1650年頃に描いた作品。サイズは縦156cm、横122cm。

アンドレア・ヴァッカーロ(1604年〜1670年)は、17世紀のナポリ(当時はスペイン統治下)で最も成功した画家の一人。ナポリのサンタ・マリア・デル・ピアント教会の祭壇画、サン・パオロ・マッジョーレ大聖堂のフレスコ画などを手掛けています。

その他のおすすめ作品

写真左:ベルナルド・ダッディ(Bernardo Daddi)作「聖カタリナの婚約の三連祭壇画」

写真右:コジモ・ロッセッリ(Cosimo Rosselli)作「アレクサンドリアの聖カタリナ」

写真左:フランス・スナイデルス(Frans Snyders)作「マーケットに向かう農民」

写真右:ヤン・ファン・ケッセル(Jan Van Kessel)作「魚のいる海岸」

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ハンス・ラフォン(Hans Raphon)作「キリストの受難」

写真左:ダニエル・セーヘルス(Daniel Seghers)作「ガラス花瓶の中の花」

写真右:ホリス・ファン・ソン(Joris Van Son)作「果物の花輪と子供の肖像画のカルトゥーシュ」

写真左:マテオ・セレッソ(Mateo Cerezo)作「聖フランシスコの毒殺」

写真右:フランツ・アントン・パルコ(Franz Anton Palko)作「地図製作者の肖像画」

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基本情報

シュテルンベルク宮殿
営業時間 10:00〜18:00(毎月第1水曜日は20:00まで)※月曜日は定休日
料金 180チェココルナ
住所 Hradčanské nám. 57/15, 118 00 Praha 1-Hradčany(地図
アクセス トラム「Pražský hrad」駅から徒歩7分(プラハ城入口で荷物検査あり)
公式サイト https://www.ngprague.cz/

■所在地(マップ)

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滞在後記

筆者は平日の午後1時前に訪問。記事最初に記載した「扉問題」もあってか、中は人が少なかったです。展示室は3階(現地表記は2階)のみという少し変わった美術館で、展示室を入るとすぐにキリスト教絵画などが展示されているエリアになります。キリスト教絵画のエリアは薄暗いですが、フランドル絵画などが展示されているエリアは窓ガラスから光が入り、光が絵画に反射してとても見づらい時間帯があるので注意が必要です。

絵画については、現在のベルギー、オランダ周辺で活躍した画家の作品が多い印象を受けました。ナポリ派の巨匠「ルカ・ジョルダーノ(Luca Giordano)」などの作品も展示されています。その一方、アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer)のアイリスの聖母(The Virgin with the Iris)は16世紀後半の複製になるので注意してください。弟ハンス・デューラー(Hans Dürer、1490年〜1538年)についてはオリジナルの作品が展示されています。

ルーベンスやヴァン・ダイクはもちろん、ピエール・ミニャール、ラッヘル・ライス、ニコラエス・ピケノイが描いた絵画がとても印象に残りました。展示数は多いとは言えませんが、料金は妥当だと思います。筆者としてはとても満足感のある訪問となりました。

それでは、ぜひこちらの記事を参考にシュテルンベルク宮殿(プラハ国立美術館)を訪れてみてください!

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