【プラハ国立美術館】シュワルツェンベルク宮殿の見所はルーベンス?

プラハ

シュワルツェンベルク宮殿(プラハ国立美術館)の見所は?

シュワルツェンベルク宮殿は16世紀中頃からの歴史を持つ貴族の宮殿!巨大なルーベンスの絵画が展示されていた?!神聖ローマ皇帝「ルドルフ2世」が購入したアルブレヒト・デューラーの作品とは?

今回は、チェコ共和国の首都「プラハ」の主要観光地であるプラハ城近くに位置するシュワルツェンベルク宮殿(プラハ国立美術館)を紹介します。おすすめ画家の作品などを写真と共に紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください!

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シュワルツェンベルク宮殿(Schwarzenberský palác)について

シュワルツェンベルク宮殿は、16世紀中頃に建設された宮殿。ボヘミア貴族のロプコヴィッツ家、ボヘミア貴族のロジュンベルク家、オーストリア貴族のエッゲンベルク家、最後にドイツ系貴族のシュワルツェンベルク家が1947年まで宮殿を保有していました。

1948年以降の共産主義時代には軍事歴史博物館に改装されましたが、2002年にプラハ国立美術館の所有となり、2008年からルネサンスやマニエリスム、バロック美術作品などが常設展示として公開されています。主に16世紀から18世紀にかけての作品が展示されています。

見所は、バロック絵画の巨匠であるルーベンスやレンブラントのほか、ヴァン・ダイク、マニエリスムの巨匠であるエル・グレコ、フランシスコ・デ・ゴヤ、ドイツ・ルネサンス期を代表する画家であるアルブレヒト・デューラーなどの作品になります。

そこで、今回はシュワルツェンベルク宮殿に展示されている画家でおすすめしたい10名の作品及びその他おすすめの作品を紹介していきます!まずはフロアガイドをご覧ください。

■フロアガイド

  • 3階(現地表記は2階):ルネッサンス、マニエリスム芸術
  • 2階(現地表記は1階):バロック、ロココ芸術
  • 1階(現地表記は0階):グラフィック・キャビネット(意味は不明)
  • 地下1階:トイレ

※トイレは各階にあります。

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おすすめの画家10名

1.ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens)

■題名:聖トーマスの殉教(The Martyrdom of Saint Thomas)

聖トーマス教会(Kostel svatého Tomáše)の祭壇画として1637年から1638年に製作された絵画。祭壇画ということで、サイズは縦382cm、横254cmの大きな作品になります。

ピーテル・パウル・ルーベンス(1577年〜1640年)はフランドル絵画の巨匠などと呼ばれ、スペイン領ネーデルラント君主「アルブレヒト7世」、王妃「イサベル・クララ・エウヘニア」の宮廷画家などとして活躍した人物。なお、アニメ「フランダースの犬」でネロが教会(アントワープ聖母大聖堂)で最後に見た作品がルーベンス作の「キリストの降架」になります。興味のある方は以下の記事をご覧ください。

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2.レンブラント・ファン・レイン(Rembrandt van Rijn)

■題名:研究中の学者(A Scholar in his Study)

レンブラントが1634年に描いた作品。サイズは縦141cm、横135cm。この人物の素性は不明ですが、被り物や豪華な服、肩に掛けられた金色のチェーンから裕福な人物であることが分かります。

レンブラント・ファン・レイン(1606〜1669年)はオランダ黄金時代に活躍したバロック絵画を代表する画家の一人。代表作はアムステルダム国立美術館に展示されている「夜警(De Nachtwacht)」など。

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3.アンソニー・ヴァン・ダイク(Anthony van Dyck)

■題名:犠牲への道(Way to the Sacrifice)

アンソニー・ヴァン・ダイクが1620年以前に製作した絵画。サイズは縦119.5cm、横177cm。

アンソニー・ヴァン・ダイク(1599年〜1641年)はベルギー・アントワープ出身の画家で、ルーベンスの助手として経験を積んだ後、イングランド国王チャールズ1世の宮廷画家などとして活躍した人物。

4.エル・グレコ(El Greco)

■題名:祈りの中のキリスト(Christ in Prayer)

エル・グレコが1590年頃に描いた作品。サイズは縦61cm、横46cm。

エル・グレコ(1541年〜1614年)は現在のギリシャ・クレタ島出身の画家で、マニエリスムの巨匠とも称されています。スペインに渡って活躍したことから、マドリードのプラド美術館に多くの作品が展示されています。

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5.フランシスコ・デ・ゴヤ(Francisco de Goya)

■題名:ドン・ミゲル・デ・ラルディサバルの肖像画(Portrait of Don Miguel de Lardizábal)

フランシスコ・デ・ゴヤが1815年に製作した作品。サイズは縦86cm、横65cm。ドン・ミゲル・デ・ラルディサバルはヌエバ・エスパーニャ副王領の政治家です。

フランシスコ・デ・ゴヤ(1746年〜1828年)はスペインの宮廷画家などとして活躍し、エル・グレコ、ベラスケスとともにスペイン三大画家の一人と言われています。

6.アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer)

■題名:薔薇冠の祝祭(Feast of the Rosary)

アルブレヒト・デューラーが1506年に描いた作品。1606年に絵画収集に熱心だった神聖ローマ皇帝「ルドルフ2世」によって購入された後、プラハのストラホフ修道院に収蔵され、現在はこちらに展示されています。

アルブレヒト・デューラー(1471年〜1528年)は神聖ローマ帝国(現在のドイツ・ニュルンベルク)出身で、ドイツ・ルネサンス期の巨匠とも呼ばれる画家。オーストリア・ウィーンの美術史美術館には、神聖ローマ皇帝「マクシミリアン1世」の肖像画や1585年にルドルフ2世が購入した「聖三位一体の礼拝」などが展示されています。興味ある方は以下のリンクからご覧ください。

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7.アーニョロ・ブロンズィーノ(Agnolo Bronzino)

写真左:エレオノーラ・ディ・トレドの肖像画(Portrait of Eleanor of Toledo)

アーニョロ・ブロンズィーノが1543年に描いた作品。サイズは縦59cm、横46cm。エレオノーラ・ディ・トレド(1519年〜1562年)は、ナポリ副王ビリャフランカ侯「ペドロ・アルバレス・デ・トレド」の娘で、メディチ家当主で初代トスカーナ大公「コジモ1世(1519年〜1574年)」の妻。なお、右手人差し指のダイヤモンドのリングは結婚式でコジモ1世が贈ったものになります。

写真右:コジモ1世の肖像画(Portrait of Cosimo I de’ Medici)

アーニョロ・ブロンズィーノが1560年に描いた作品。サイズは縦84cm、横64cm。

アーニョロ・ブロンズィーノ(1503年〜1572年)はフィレンツェ出身の画家。コジモ1世の宮廷画家として活躍したほか、ヴェッキオ宮殿のフレスコ画の製作なども行っています。

8.ゲオルク・フレーゲル(Georg Flegel)

■題名:棚図(Niche with Fruit and Flowers)

ゲオルク・フレーゲルが1610年から1620年にかけて描いた作品。サイズは縦92.5cm、横62.5cm。とても精巧に描かれた作品になり、特に花々の美しさが見所です。

ゲオルク・フレーゲル(1566年〜1638年)は、現在のチェコ・オロモウツ出身で、ドイツ・フランクフルトで活躍した画家。

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9.カレル・スクレタ(Karel Škréta)

写真左:聖ヴァーツラフの誕生(The Birth of St Wenceslas)

カレル・スクレタが1640年に描いた作品。サイズは縦136cm、横222cm。チェコの守護聖人「ヴァーツラフ1世(907年〜935年)」の誕生の場面が描かれています。

写真右:乞食にマントを分け与える聖マルティヌス(St.Martin Sharing His Cloak with a Beggar)

カレル・スクレタが1650年以降に描いたと考えられている作品。サイズは縦324cm、横186cm。プラハ旧市街にある壁の中の聖マルティン教会(Kostel svatého Martina ve zdi)の主祭壇に飾られていた作品です。

カレル・スクレタ(1610年〜1674年)はプラハ出身の画家。肖像画家として活躍したほか、ティーン前の聖母マリア教会(Kostel Panny Marie před Týnem)などプラハの教会の祭壇画を描いています。

10.ルーカス・クラナッハ(Lucas Cranach)

■題名:律法と福音(Law and Grace)

ルーカス・クラナッハが1529年に製作した作品。サイズは縦71.5cm、横87cm。北ボヘミアの教会から依頼された作品だと考えられています。ヨハン・ネポムク・フォン・ノスティッツ=リエネック(Johann Nepomuk von Nostitz-Rieneck、1768年〜1840年)のコレクションなどを経て、1950年からプラハ国立美術館が所蔵しています。

ルーカス・クラナッハ(1472年〜1553年)はドイツ・ルネサンス期の画家。前述したアルブレヒト・デューラーとは年が近く、ライバル関係にありました。ルーカス・クラナッハは宗教画を中心に多くの作品を残しています。シュワルツェンベルク宮殿では「律法と福音」のほか、「アダムとイブ」、「聖クリスティーナ」なども展示されています。

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その他おすすめの作品

■ハンス・フォン・アーヘン(Hans von Aachen)

写真左:ハンス・フォン・アーヘン作「The Annunciation」

写真右:ハンス・フォン・アーヘン作「Portrait of The Painter Joseph Heintz」

■ペトル・ブランドル(Petr Brandl)

写真左:ペトル・ブランドル作「Simeon with The Infant Jesus」

写真右:ペトル・ブランドル作「Portrait of a Mining Official」

■ハンス・ホルバイン(Hans Holbein)、ヤーコブ・マレル(Jacob Marrel)

写真左:ハンス・ホルバイン作「The Virgin and Child with St.Anne」

写真右:ヤーコブ・マレル作「Vase of Flowers」

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基本情報

シュワルツェンベルク宮殿(プラハ国立美術館)
営業時間 10:00〜18:00(月曜日は休館日)※毎月第1水曜日は20:00まで
料金 250チェココルナ
住所 Hradčanské nám. 2, 118 00 Praha 1-Hradčany(地図
アクセス トラム「Pražský hrad」駅から徒歩7分(※プラハ城入口で荷物検査あり)
公式サイト https://www.ngprague.cz/

■所在地(マップ)

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滞在後記

筆者は平日午前10時半くらいに訪問しました。ルーベンスやレンブラント、ヴァン・ダイク、エル・グレコなど著名画家の作品はありますが、1〜2点程度と少なめです。レンブラントとエル・グレコはガラスに守られていますが、ルーベンスなどはケースなしで間近に見ることができます。

残念だったことは、引率の教師がいるのにも関わらず、小学生や高校生の集団が騒がしくしていたことです。絵画(ルーベンスなど)の前で何十分も居座っていたため、その間は絵画を鑑賞することができませんでした。また、絵画に興味のない高校生は意味もなく歩き回ったり、こちらをジロジロ見てきたりして不快でした。学生の団体客以外の訪問者は少なく、学生と遭遇しなければゆっくりと絵画、彫刻などを鑑賞できると思います。

そのほか、長髪で白髪の男性係員(50代くらい)の対応には少し疑問を感じることがありました。窓口でチケットを購入し、3階(現地表記は2階)の展示室に向かおうと階段に行くと、その係員は“You can’t go”と言い、“This way”と無愛想に1階(現地表記は0階)のドアを指差しました。階段は使えないのかな?と思いながら1階の展示を見終わり、別の係員がいたので階段は使えないんですか?と聞くと、もちろん使えるよと即答。係員の中年男性は1階から回らせたかったのかもしれませんが、またバカなやつが来たというような態度だったこと、「You can’t go」という言葉は適切ではないため、もやもやした感情だけが残りました。

※入場時に荷物検査はありませんでした。

以上、最後は少し愚痴のようになってしまいましたが、好きな画家の作品がある方はぜひ訪れてみてください。なお、シュワルツェンベルク宮殿近くにあるシュテルンベルク宮殿(プラハ国立美術館)については以下の記事をご覧ください。

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