世界遺産溢れるローマの街を堪能しよう!
イタリアの首都「ローマ」には、1980年(1990年に拡張登録)に世界遺産登録された「ローマ歴史地区・教皇領とサン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂」があり、隣接するバチカン市国も国土全域が1984年に世界遺産登録されています。
今回はそれら2つの世界遺産をまとめて紹介(20ヵ所)します。実際に滞在した筆者が撮影した写真も掲載しますので、ぜひローマ観光の参考にしてみてください!
ローマ歴史地区・教皇領とサン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂
1.コロッセオ(Colosseo)
西暦80年に完成した闘技場。建設当時の正式名称はフラウィウス円形闘技場。古代ローマ時代には「人間」対「猛獣」など命をかけた様々な戦いが行われていました。入場時に長い列になっていることが多いですが、ローマを象徴する場所でもあり、一度は訪れておきたい場所です。2階部分には、紀元前5世紀~紀元後5世紀頃の石板のレリーフや金細工など、興味深い遺物なども展示されています。
料金:18ユーロ(フォロ・ロマーノ、パラティーノの丘との共通券)
アクセス:地下鉄B線「Colosseo」駅からすぐ(地図)
公式サイト:https://www.coopculture.it/
2.フォロ・ロマーノ(Foro Romano)
紀元前6世紀頃から整備が開始され、古代ローマ時代の政治、商業などの中心地となった場所。選ばれた民間人が支配していた共和政期(紀元前500年頃~紀元前27年頃)に栄えましたが、皇帝が支配する帝政期になると衰退し、その後は異民族による略奪行為などで壊滅的な被害を受けました。なお、内部には水飲み場があるため、夏場でも水分補給を行うことができます。
料金:18ユーロ(コロッセオ、パラティーノの丘との共通券)
アクセス:地下鉄B線「Colosseo」駅からすぐ(地図)
公式サイト:https://www.coopculture.it/
3.コンスタンティヌスの凱旋門(Arco di Costantino)
ローマ皇帝コンスタンティヌス1世(272~337年)がミルウィウス橋の戦いでマクセンティウスに勝利したことを記念して建設された凱旋門。コロッセオの隣にあり、周囲は柵で囲われていますが、いつでも無料で見学することができます。
4.サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂(Basilica di San Giovanni in Laterano)
ローマの四大バシリカの一つ。4世紀に建設された聖堂が起源。10世紀には洗礼堂が新設されましたが、1308年に大聖堂は火災により焼失。その後、16世紀~18世紀にかけて修復、再建などが行われました。ドームのモザイク画の一部は4世紀に描かれたものが残っています。また、ジョヴァンニ・パオロII広場にあるエジプトから運ばれたトトメス3世(紀元前1400年代の古代エジプトの王)が造らせたオベリスクも見所です。
5.サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂(Basilica Papale di Santa Maria Maggiore)
ローマの四大バシリカの一つ。4世紀に建てられた聖堂が起源。その後、修復や再建が繰り返されましたが、初期キリスト教の構造が残された唯一の建物です。5世紀に造られたモザイク画などが見所。バロック期を代表する彫刻家「ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ」、ナポレオンの妹「ポーリーヌ・ボナパルト」などが埋葬されています。
6.サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂(Basilica Papale San Paolo fuori le Mura)
ローマの四大バシリカの一つ。コンスタンティヌス1世(272~337年)によって聖パウロの墓を祀る聖堂が造られ、テオドシウス1世(347~395年)によって大規模な聖堂が4世紀に建設されました。1823年の火災により大部分が焼失しましたが、その後再建されています。なお、正面の金色に輝くファサードには、キリストと聖パウロ・聖ペテロ、その下に旧約聖書の4人の預言者であるイザヤ、ダニエル、エレミヤ、エゼキエルが描かれています。
7.カラカラ浴場(Terme di Caracalla)
212~217年に建設された公衆浴場。浴場は無料で一般開放され、図書館や劇場なども併設されていた一大レジャー施設とも言える場所でした。しかし、その後のゴート戦争により水路が断たれたため、537年に浴場としての機能を失っています。
料金:10ユーロ
アクセス:地下鉄B線「Circo Massimo」駅から徒歩9分(地図)
公式サイト:https://www.coopculture.it/
ローマ歴史地区・教皇領とサン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂(1990年に拡張登録)
8.パンテオン(Pantheon)
紀元前20年代にローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの側近「マルクス・ウィプサニウス・アグリッパ」によって建設された神殿。80年、110年の火災で焼失し、118~128年に再建されました。ルネサンスを代表する画家、建築家であるラファエロが埋葬されています。なお、2023年7月から有料化されています。
9.サンタンジェロ城(Castel Sant’Angelo)
ローマ皇帝ハドリアヌスが自身の霊廟として123~139年に建設した建物が起源。そのため、ハドリアヌス霊廟とも呼ばれています。5世紀に軍事的な建物に転換された際、装飾品の多くが失われたとされています。14世紀には城として構造が変更され、その後は刑務所として、現在は博物館として利用されています。
10.アウグストゥス廟(Mausoleo di Augusto)
初代ローマ皇帝アウグストゥスが紀元前28年に建設した霊廟。初代ローマ皇帝アウグストゥスが埋葬された以前には、クレオパトラを愛人とした古代ローマの英雄「カエサル(ガイウス・ユリウス・カエサル・ウィプサニアヌス)」なども埋葬されていました。その後、略奪や破壊などで廃墟になっています。現在は一般に公開されていないため、柵越しに眺めることになります。
11.トラヤヌスの記念柱(Colonna Traiana)
ローマ皇帝トラヤヌス(53~117年)によるダキア戦争の勝利を記念し、107~113年に建設された柱。高さは40メートル弱。完成当時、頂上にはトラヤヌスの彫像が置かれていましたが、中世に失われ、現在は16世紀に設置された聖ペトロ像が置かれています。
12.マルクス・アウレリウスの記念柱(Colonna di Marco Aurelio)
193年に完成したローマ皇帝マルクス・アウレリウス(121~180年)の記念柱。建設開始時期については、生前、死後のどちらか分かっていません。高さは40メートル弱。螺旋状に彫刻されているレリーフにはマルコマンニ戦争(162〜180年)に関する話が描かれています。
イタリア政府観光局の見解
上記12の世界遺産については、ユネスコのホームページ「ローマ歴史地区・教皇領とサン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂」で確認することができたものになります。
以下については、イタリア政府観光局などが世界遺産としている建物群を挙げています。
13.トレビの泉(Fontana di Trevi)
ローマのNo.1観光名所。クレメンス12世の命により、ニコラ・サルヴィが設計し、1732~1762年に建設された噴水。フェンディがスポンサーになり、2014年6月から修復が開始され、2015年11月に完了しています。コイン投げで有名な場所ですが、年間約140万ユーロ(約1億7000万円)ほどが投げ入れられ、貧しい人の支援などに使われています。なお、夜はライトアップが行われており、夜も多くの観光客で賑わっています。
※コイン投げは禁止されている、一部エリアでは許可されている、といった情報があります。コイン投げをしたい方は常駐している警察官などに確認してください。
アクセス:地下鉄B線「Barberini」駅から徒歩7分(地図)
14.スペイン広場(Piazza di Spagna)
スペイン大使館にちなんで命名された広場。オードリー・ヘプバーンが映画「ローマの休日」でジェラートを食べたスペイン階段は、1725年に完成したもの。その後、修復工事が数回行われており、直近では2015年~2016年に行われています。なお、スペイン階段は、アレッサンドロ・スペッキ(Alessandro Specchi)とフランチェスコ・デ・サンクティス(Francesco De Sanctis)が設計を担当。周囲はローマのブランド店街になっています。
※スペイン階段は飲食、座ることが禁止されています。
15.サンタ・マリア・イン・コスメディン教会(Santa Maria in Cosmedin)
真実の口で有名な場所。8世紀に古代ローマの食品流通市場だった場所に建設されたロマネスク様式の教会。1718年にはファサードがバロック様式に改築されましたが、元のロマネスク様式に復元するため、1894~1899年の修復でそのファサードは取り壊されています。なお、真実の口は柵越しに無料で見ることができます。
開館時間(教会):9:30〜18:00(シーズンにより異なる)
料金:無料(真実の口は2ユーロ)
アクセス:地下鉄B線「Circo Massimo」駅から徒歩10分(地図)
16.黄金宮殿(Domus Aurea)
ローマ皇帝のネロの命により、ローマ大火後の64年から68年に建設された宮殿。現在は一般に公開されていませんが、外から建物跡を眺めることができます。
17.ナヴォーナ広場(Piazza Navona)※オベリスク
ローマ皇帝ドミティアヌス(51~96年)の命により建設されたドミティアヌス競技場が起源。噴水や彫刻は16~17世紀頃に造られたもの。特にオベリスクを支えるように造られたジャン・ロレンツォ・ベルニーニ作「四大河の噴水」が見所になります。
18.ポポロ広場(Piazza del Popolo)※オベリスク
ラムセス2世(紀元前1314年頃~紀元前1224年頃)のオベリスクが広場の特徴。15世紀頃からポポロ門や教会などが建設され始め、19世紀に噴水の整備や建物の改築などが行われた結果、現在のような形になっています。
バチカン市国(1984年に登録)※全土が世界遺産
19.サン・ピエトロ大聖堂(Basilica di San Pietro)
カトリックの総本山で、ローマの四大バシリカの一つ。4世紀に建てられた大聖堂が起源。現在の大聖堂は1506年に建設が始まり、1626年に奉献されたルネサンス様式もの。ミケランジェロ作の大理石像「ピエタ」(写真)が有名で、筋肉や筋、ローブのしなやかさなど質感が素晴らしく、絶対に見ていただきたい名作になります。無料で見ることができるのは本当に驚きです。
■サン・ピエトロ大聖堂の内部、ピエタ
開館時間(ドーム):8:00~17:00(10~3月)、8:00~18:00(4~9月)
料金:大聖堂は無料、ドームは10ユーロ(エレベーター)、8ユーロ(階段)
アクセス:地下鉄A線「Ottaviano」駅から徒歩10分(地図)
20.バチカン美術館(Musei Vaticani)
16世紀に教皇ユリウス2世によって創設された美術館。歴代教皇によって収集されたコレクションが数多く展示されています。レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロ、カラヴァッジョ、ジョット・ディ・ボンドーネなどの作品が展示されているほか、近代宗教美術ではシャガール、サルバドール・ダリ、フィンセント・ファン・ゴッホなどの作品を見ることができます。
最大の見所は15世紀に建設されたシスティーナ礼拝堂にあるミケランジェロ作の天井画「創世記」、祭壇壁画「最後の審判」になります。なお、入場待ちを避けるためにもネット予約をおすすめします。
料金:17ユーロ(最終日曜日は無料)
アクセス:地下鉄A線「Ottaviano」駅から徒歩7分(地図)
公式サイト:https://m.museivaticani.va/
最後に
イタリア・ローマには古代ローマ時代の遺跡が多く残り、「街を歩けば遺跡に当たる」、そのように言っても過言ではありません。
建物が持つ歴史を知ると、ローマ観光の面白さは倍増するはずです。世界遺産を中心に歴史的な観光スポットを予習することで、ローマ観光をより良いものにしてください!
※上記の世界遺産の場所は以下のグーグルマップ(青色)にまとめています。