マルセイユは治安への不安も吹き飛ぶ美しさ!
マルセイユはフランス南部に位置し、地中海を望む美しい港町です。第二次世界大戦中の爆撃の影響を受けていますが、5世紀頃に起源を持つ修道院、中世の要塞や教会など歴史的な見所も多くあります。
今回は世界一周で滞在した筆者が印象に残った15ヵ所をおすすめ観光地として紹介します。旧港などの定番スポットに加え、穴場スポットやサン・シャルル駅にある「マルセイユ名物」も掲載しますので、ぜひ観光の参考にしてください。
マルセイユ観光の中心地
1.旧港(Vieux Port)
旧港がマルセイユ観光の中心地になります。旧港周辺はレストランが多く、ショッピングスポットも多いため、マルセイユ市内で最も観光客が訪れる場所になっています。レストランについては、マルセイユ名物のブイヤベースを提供しているところが多く、観光客でも入りやすい点がポイントです。
■旧港の歴史を知ろう!
600年代にギリシャの入植者によって築かれたのが起源。15~17世紀にはルイ12世、ルイ13世の命により埠頭が建設され、造船所なども建設されました。その後、第二次世界大戦で廃墟になりましたが、フェルナン・プイヨン(Fernand Pouillon)が旧港など荒廃した旧市街の再建を担当し、現在に至っています。
■旧港で開催されている魚市場
歴史系おすすめスポット
2.サン・ジャン要塞(Fort Saint-Jean)
ルイ14世(1638年~1715年)の命によって建設された要塞。第二次世界大戦中、ドイツ軍に占領されていた際に弾薬庫の爆発によって建物の多くが破壊されましたが、1967~1971年に再建されています。
プロムナード・ルイ・ブローキエ(Promenade Louis Brauquier)という遊歩道(無料)があり、サン・ニコラ要塞(Fort Saint-Nicolas)やファロ宮殿(Palais du Pharo)側の景色を見渡すことができます。穴場スポットとしておすすめです。
3.サン・ニコラ要塞(Fort Saint-Nicolas)
ルイ14世の命により、1660~1664年に建設された要塞。1969年にフランス歴史的記念物に指定されています。現在は軍により管理され、入場は制限されていますが、一部立ち入りできる場所もあります。そのため、この巨大な要塞を見るにはサン・ジャン要塞(Fort Saint-Jean)側がおすすめです。
4.イフ城(Château d’If)
フランソワ1世の命により、1524~1531年に建設された要塞。その後、19世紀終わりまで刑務所として利用されていました。旧港から船で行くことができますが、軍記念碑(la porte de L’orient – Monument aux Armées d’Afrique)付近の海岸線から島周辺の景色を見渡すことができます。周辺は海の色がとてもきれいなため、海岸線から見るイフ城がおすすめです。
教会系おすすめスポット
5.ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院(Basilique Notre-Dame de la Garde)
1853~1864年に建設されたロマネスク・ビザンチン様式のカトリック教会。13世紀に建てられた礼拝堂が起源。高さ41メートルの鐘楼の頂上には金色に輝く聖母子像があり、マルセイユのシンボル的存在になっています。
教会は小高い丘の上に建設されており、周囲からはパノラマビューを楽しむことができます。教会に行くまでは急な坂を登るため大変ですが、マルセイユ観光では確実に押さえておきたい場所の一つになります。
■教会から見たマルセイユの街並み
6.サン・ヴィクトール修道院(Abbaye Saint-Victor de Marseille)
5世紀頃からの起源を持つ修道院(写真中央)。12~13世紀に再建され、その後は要塞の一部として機能。フランス革命後は刑務所、兵舎などとして利用され、19世紀に復元されました。1840年にフランス歴史的記念物として指定されています。4世紀後半に造られた石棺などが見所になります。
7.サン・フェレオル教会(Eglise Saint-Ferréol les Augustins)
1447~1588年に建設されたカトリック(イエズス会)教会。ファサード(正面)は1870年代にネオクラシック様式で再建されたもの。テンプル騎士団が所有していた土地に建てられています。旧港に位置するため、観光客に一番馴染みの深い教会だと言えます。なお、美しいファサードに加え、ミシェル・セール(Michel Serre、1658〜1733年)によって描かれた絵画が見所になります。
8.マルセイユ大聖堂(Cathédrale Sainte-Marie-Majeure de Marseille)
1852~1893年に建設されたロマネスク・ビザンチン様式のカトリック教会。5世紀頃からこの辺りに宗教的な建物が存在していたとされています。レオン・ヴォードワイエ(Léon Vaudoyer)が設計を担当。ナポレオン3世が礎石を置き、建設が開始されています。なお、マルセイユ大聖堂近くには12〜13世紀に建てられ、17世紀に再建されたサン・ローラン教会もあります。
■マルセイユ大聖堂近くにあるサン・ローラン教会
おすすめ博物館
9.ヨーロッパ地中海文明博物館(MuCEM)
ヨーロッパ地中海文明博物館(Musée des civilisations de l’Europe et de la Méditerranée)は、2013年にオープンした地中海文明を専門とする世界初の博物館。マルセイユの象徴にもなっている正方形の独特な建物はルディ・リッチオッティ(Rudy Ricciotti)、ロラン・カルタ(Roland Carta)が設計を担当。サン・ジャン要塞とは連絡通路でつながっています。マルセイユの街並みや地中海を見渡すことのできる場所としてもおすすめです。
その他おすすめ観光地
10.マルセイユ市庁舎(Hôtel de ville de Marseille)
旧港に位置する市庁舎。1653~1673年に建設された建物。ドイツ占領下での破壊を免れたわずかな建物の一つであり、高い歴史的価値を誇ります。1996年には建物の拡張などを含め改装されています。
11.ファロ宮殿(Palais du Pharo)
1854~1858年にナポレオン三世のために建設された宮殿。1904年から医学学校として利用されていましたが、現在は会議や見本市などが開催されています。周囲にはエミール・デュクロー公園(Parc Émile Duclaux)や遊歩道があり、ヨーロッパ地中海文明博物館やサン・ジャン要塞側の景色を見渡すことができる穴場スポットです。
■遊歩道から撮影した景色
12.ヴァロン・デ・ゾッフ港(Port Du Vallon Des Auffes)
アンドゥーム(Endoume)地区に位置する小さな漁港。日本の旅番組でも取り上げられたことのあるレストラン「シェ・フォンフォン(Chez Fonfon)※写真左下の建物」ではマルセイユ名物のブイヤベースを味わうことができます。漁港にある特徴的な橋は19世紀に建設された石積みによる鉄筋コンクリート製のものになります。
■漁港にある橋
13.軍記念碑
1927年に建設された軍記念碑(la porte de L’orient – Monument aux Armées d’Afrique)。ガストン・カステル(Gaston Castel)が設計を担当し、東部方面隊で命を落とした兵士や船員を供養するために建てられました。ヴァロン・デ・ゾッフ港近くに位置しています。
なお、おすすめしたいのはこちらの軍記念碑ではなく、ここから先の海岸線の景色になります。エメラルドグリーンの海は本当にきれいで、特にホテル「Le Rhul」付近の景色がおすすめです。観光客が訪れる場所ではないため、のんびりと海岸線の景色が楽しめます。こちらも穴場スポットとして滞在時間のある方は訪れてみてください。
■軍記念碑から撮影したエメラルドグリーンの海
14.マルセイユ・サン・シャルル駅(Gare de Marseille Saint Charles)
1848年に開業した駅(Gare de Marseille Saint Charles)。電車で訪れる際の玄関口になるほか、空港バスが発着する場所にもなります。ジョセフ=アントワーヌ・ブヴァール(Joseph-Antoine Bouvard)が設計を担当。写真の長い階段がマルセイユ名物の一つになります。
なお、こちらの駅からニース方面に向かう旅がおすすめ。筆者もマルセイユからニースへ電車で向かったことがありますが、車窓からは本当に美しい南仏の海岸線の景色を見ることができます。
■サン・シャルル駅の内部
サッカースタジアム
15.オレンジ・ヴェロドローム(Orange Vélodrome)
酒井宏樹選手、長友佑都選手が所属していたオリンピック・マルセイユのホームスタジアム。6万7000人以上が収容できるフランスでトップクラスのスタジアムになります。スタッド・ヴェロドローム(Stade Vélodrome)とも呼ばれています。
アンリ・プロキン(Henri Ploquin)が設計を担当し、1937年に完成。1998年に行われた改修はジャン=ピエール・ビュッフィ(Jean-Pierre Buffi)が担当しています。スタジアムツアーがあるほか、交通アクセスもいいため、サッカー好きな人にはおすすめの場所になります。
最後に
マルセイユのおすすめポイントは街並み(景観)の美しさになります。
中世の要塞跡が残り、第二次世界大戦後の復興を果たした街、エメラルドグリーンに輝く海、その全てが観光客を魅了するものです。治安面についても、街中を歩けるだけ歩きましたが、日中は治安が悪いとは感じませんでした。ただ、入り組んだ路地、細い路地が多いため、夜間出歩く際は注意が必要になります。
治安への不安を吹き飛ばす景色がマルセイユには広がっていますので、ぜひマルセイユ観光を計画してみてください!
なお、上記おすすめ観光地の場所は以下のグーグルマップ(赤色)にまとめています。