台湾の「台北」で寺院巡りをしてみませんか?
可愛い猫に出会える台北最古の寺院があった?!龍山寺以外の台北三大廟とは?千里眼の語源になった鬼が見れる道教寺院って?弘法大師が祀られている寺院も発見!
今回は実際に滞在した筆者がパワースポットとして有名な台北最古の寺院、三国志で有名な「関羽」が祀られている台北で人気の高い寺院、弘法大師・空海が祀られている寺院など、台北観光でおすすめしたい寺院を10ヵ所紹介。ぜひ、台北観光の参考にしてください!
台北三大廟
1.艋舺龍山寺(Longshan Temple)
おすすめ度(5段階評価):★★★★★
中国・福建省から渡ってきた人達によって1738〜1740年に建設された台北最古の寺院。道教や仏教、儒教などが混在された興味深い寺院であり、パワースポットとしても有名な場所になります。
ご本尊は聖観世音菩薩で、天上聖母、文昌帝君、関聖帝君等も祀られています。日本統治時代の1919年に大規模な改修工事が実施されましたが、第二次世界大戦中には連合国による台北大空襲で大きな被害を受けます。しかし、木像の本尊や観音菩薩像は無傷で、建物等はその後1953年に再建されました。現在は台湾の国定古跡に指定されています。
境内には御守等を販売している場所(以下の写真右)があり、パワーストーンのブレスレットが150元(約540円)、御守が25〜50元(約90〜180円)ほどで売られていました。御守は交通安全など日本人にも馴染みのあるものもあります。また、筆者が参拝した際は、“うとうと”していた可愛らしい猫(以下の写真左)がいました。運が良ければこちらの猫に出会えるかもしれません。
なお、こちらは現地の友人から真っ先におすすめされた寺院であり、筆者的にも台北で一番おすすめしたい寺院になります。アクセスも良く、周囲には艋舺夜市や多くのアンティーク店があるので、寺院に興味のない方も一度は訪れてみてください。
2.大龍峒保安宮(Dalongdong Baoan Temple)
おすすめ度(5段階評価):★★★★
1742年に創建された寺院。こちらも道教、仏教等の神様が祀られています。
創建当時は粗末な廟でしたが、ご利益を享受した住民により1755〜1760年に拡張されています。その後、44軒の商店が資金を出し合い、1805〜1830年に寺院は拡大され、日本統治時代の1917〜1919年には大規模な修復が行われました。
医者として多くの人の命を救ったと言われる「保生大帝(979〜1036年)」が主神として祀られているほか、農業の神様「神農大帝」、商売の神様「開聖夫子」、学問の神様「孔聖夫子」等も祀られています。「虎牢関の戦い」を描いた壁画(以下の写真右)など建物の装飾が見所になります。
筆者は旧正月の日に参拝しましたが、とてつもない人で混雑していました。ほとんどの人が火のついた線香を持っていたため、顔などに当たらないように注意する必要がありました。観光案内は特になく、地元の方を優先した寺院という印象です。なお、キーホルダー等を販売している売店はありましたが、龍山寺に比べると商品数は少なめでした。
なお、こちらの寺院は2003年にユネスコの「アジア太平洋文化遺産保全賞」を受賞しています。
■大龍峒保安宮の内部
3.艋舺清水巌祖師廟(Bangka Qingshui Temple)
おすすめ度(5段階評価):★★★
艋舺龍山寺から徒歩8分ほどの場所に位置する1787年に創建された寺院(道教、仏教等が混在)。1985年に国定史跡に指定。名前の通り清水祖師が主神として祀られているほか、航海・漁業の神「媽祖」、商売繁盛の神「関羽」、学問の神「文昌帝君」、書物の神「魁星」、地蔵菩薩等が祀られています。
日本統治時代の1896年には台湾総督府国語学校の付属学校として利用され、その後1922年に台北州立第二中学(現台北市立成功高級中学)が設立されました。見所は1817年に作成された「南極仙翁」と「麻姑獻壽」のレンガ彫刻になり、台湾で最も古いレンガ彫刻とされています。
なお、台北三大廟というわりに規模感は小さく、参拝客も比較的少ない印象を受けました。観光案内に日本語はありませんでしたが、参拝はしやすく、敷地内?には飲食ができる店舗が軒を連ねているので、龍山寺を訪れた際には合わせて訪れてみてください。
■艋舺清水巌祖師廟の内部
その他寺院
4.行天宮(Xingtian Temple)
おすすめ度(5段階評価):★★★★
1967年に創建された関帝廟。三国志で有名な「関羽」が祀られています。関羽は商売繁盛の神様として信仰を集めており、歴史は浅いですが台北で最も人気のある寺院の一つです。地下鉄・中和新蘆線の駅名にもなっています。
また、関羽に加え、中国八仙の一人「呂洞賓」、竈の神様「張単」、雷神「王善」、南宋時代の武将「岳飛」の五聖恩主が祀られています。複数の神様がいますが、境内にお参りの方法が書かれた看板(※写真)が設置してあるので、初めて参拝される方も安心。筆者的には入口付近に置かれていた干支の像が興味深かったです。
なお、寺院の敷地内には別名「占い横丁」と呼ばれる地下道があり、なかには日本語OKの占い店もあります。手相、姓名判断が基本になるため、日本の占いとの違いを楽しんでみるのも面白いと思います。
5.臺北孔子廟(Taipei Confucius Temple)
おすすめ度(5段階評価):★★★
1879年に創建された孔子廟。元の孔子廟は台北市立第一女子高級中学などを建設するために、日本統治時代の1907年に取り壊され、1925〜1939年に現在の場所に移されています。
主殿になる大成殿(※写真)は中国福建省泉州の名工「王益順」により設計され、孔子、四配、十二哲人の位牌が祀られています。写真の通り豪華な装飾が見所で、ツアーバスが止まるほど人気の場所になります。また、毎年9月に開催される「孔子祭」が盛大に行われることでも知られています。
そのほか、品数はあまり多くありませんが、記念品ショップもあります。さらに、1956年に建設された明倫堂では4Dシアターが設置され、フィルムを通して儒学文学を学ぶことができます。
なお、日本語による観光案内があり、日本人でも問題なく境内を見て回ることができる点は好ポイント。さらに、台北松山空港に近いので飛行機が間近に見れること、近くに大龍街夜市があることでもおすすめの場所になります。
6.先嗇宮(Xianse Temple)
おすすめ度(5段階評価):★★★
新北市三重区に位置する1755年に創建された寺院。新北市指定古跡。三皇五帝の一人で医薬・農業の神「神農大帝」が祀られています。元の寺院は新荘区頭前荘付近に位置していましたが、淡水河の氾濫などにより現在の場所に移されました。現在の外観は日本統治時代の1925年に再建されたものになります。
台湾桃園国際空港から台北市内に向かう際に見ることのできる寺院になるため、もしかすると気になっていた方もいるかもしれません。所在地は新北市ですが、地下鉄・中和新蘆線の駅名になっている通り、台北中心部からでも気軽に行くことができます。ただし、周囲には何もないため、時間のある方におすすめしたい寺院になります。
■先嗇宮の内部
7.松山慈祐宮(Songshan Ciyou Temple)
おすすめ度(5段階評価):★★★★
松山新店線「松山」駅、饒河街観光夜市近くに位置する1753年に創建された道教寺院。航海・漁業の神「黒面媽祖」等が祀られています。
見所は何と言っても外観、内部の豪華な装飾になります。特に屋根にある装飾は興味深く、上部には福禄寿(福人、禄人、寿人)が飾られているほか、筆者的に印象に残ったのが赤鬼(千里眼)と青鬼(順風耳)になります。
千里眼は千里(遠く)先の物事まで見通すことのできる能力を持ち、順風耳はどんなに小さな音も聞き分けることができる能力を持つとされ、あらゆる災いから媽祖を守る役目を担っています。千里眼は日本人でも多くの人が知っている言葉ですが、その言葉の語源がこちらの鬼であったことはとても面白い発見でした。
夜になると写真の通りライトアップされているため、夜市巡りの際にぜひ訪れてみてください。赤鬼・青鬼さん達が皆さんをお待ちしていますよ。
■千里眼(写真左)と順風耳(写真右)
8.台北天后宮(Taipei Tianhou Temple)
おすすめ度(5段階評価):★★★
繁華街「西門町」に位置する1746年に創建された道教寺院。創建当時は「艋舺媽祖宮」と呼ばれ、天上聖母「媽祖」が主神として祀られています。
また、日本統治時代の1910年には「弘法寺」へと改名され、現在でも弘法大師・空海が祀られています。その後、火災による再建等を経て、1967年に現在の名称である台北天后宮へ改名されています。なお、境内には弘法大師像が設置されています。
内部はライオンや象等の模型が設置されており、少し変わった寺院との印象を受けました。また、吊り下げられた短冊のようなものはとてもきれいで、筆者的には好きな雰囲気の寺院になります。西門町にあるので、ぜひ一度訪れてみてください。
■弘法大師像
9.艋舺青山宮(Bangka Qingshan Temple)
おすすめ度(5段階評価):★★★
1856〜1859年に創建された道教寺院。三国時代の呉の初代皇帝「孫権」に仕えた「張滾(青山王)」が主神として祀られています。
創建当時はペスト等が流行していたため、疫病を鎮める力があると信じられていた青山王を祀る寺院として、こちらの艋舺青山宮が建てられました。筆者は旧正月に訪問しましたが、入口付近に泉?のようなものが設置されており、トレビの泉のようにコインが投げ込まれていました。
参拝者、観光客ともに少ない寺院ですが、入口付近の天井はとてもきれいで見応えはあります。龍山寺から徒歩6分の場所にあるため、合わせて訪問されるとより良い寺院巡りになると思います。
10.台北霞海城隍廟(Taipei Xia Hai City God Temple)
おすすめ度(5段階評価):★★★
問屋街「迪化街」に位置する1856〜1859年に建てられた寺院。中国福建省泉州同安の住民と共に台湾海峡を渡った守護神「城隍爺」が祀られています。建物の場所、大きさは創建当時のまま。
1971年に縁結びの神様「月下老人」が奉納されたことにより、現在では良縁を求めて参拝する人も多い場所になります。東京で言う「東京大神宮」のような場所でしょうか。参拝方法は境内に日本語で書かれた看板があるため、そちらを確認すれば大丈夫です。なお、城隍爺の生誕祭「五月十三迎城隍」には多くの見物客が訪れます。パレードは旧暦5月13日に行われるので、気になる方はぜひ訪れてみてください。
番外編
西本願寺跡(Xibenyuan Temple Square)
「西門町」に位置する西本願寺跡。日本統治時代の1920年代から30年代にかけて御廟所、鐘楼、本堂、参道等が造られ、完成当時は台湾最大の日本式寺院でした。
第二次世界大戦後に廃寺になった後、1975年の火災で建物のほとんどが焼失。現在は史跡公園として整備され、残された遺跡は観光案内の看板とともに見ることができます。また、公園の通り沿いの壁には日本統治時代に整備された線路、建設された政治的建物や学校などが紹介されているので、それだけでも見る価値ありです。
滞在後記
台北の人達はとても信仰心が強く、老若男女問わずとても熱心に参拝されていました。日本ではなかなか見ることのできない光景に少し驚き、宗教観について少し考えさせられる出来事になりました。
その一方、日本人にも馴染みのある「関羽」や「孔子」などが神様として祀られている寺院、干支に関連するものが置いてある寺院もあります。それらを見ることで面白い発見があり、「お!これは知っている」などと少し嬉しくなったことを思い出します。
宗教観を知ることがその国に対する理解を深める近道になる場合もあります。参拝者の邪魔にならないようにしつつ、寺院巡りをすることで面白い発見を楽しんでみてください!
※なお、各寺院の場所については以下のグーグルマップ(緑色)でまとめています。