ハンガリーの首都「ブダペスト」は安全?それとも危険?
みなさんはブダペストの治安についてどのようなイメージをお持ちですか?ハンガリーはウクライナと国境を接しているため、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響を懸念している方がいるかもしれません。実際の治安はどうなのでしょうか。
今回は筆者がロシアによるウクライナ侵攻後のブダペストの治安を調査。ネットで危険と言われているエリアや筆者が気になったホームレスが多いエリアなどを中心に解説しています。ブダペスト観光を計画されている方はぜひ参考にしてください。
危険レベルを確認しよう
海外旅行に行く前(計画する前)は、必ず「外務省 海外安全ホームページ」で滞在予定地の危険レベルを確認してください。
ブダペストについては2023年8月27日現在、危険情報は出されていません。新型コロナウイルスやインフレの影響などで、スリやその他犯罪が増加する可能性がある点には注意してください。
なお、海外安全ホームページでは、日本の外務省がレベル1「十分注意」、レベル2「不要不急の渡航は止める」、レベル3「渡航中止勧告」、レベル4「退避勧告」の4段階評価で各地域の安全情報を開示しています。
ブダペストの治安について
ブダペストの安全度(5段階評価):★★★
ブダペストの安全度は「問題なし」の星3つで評価しています。ブダ城や漁夫の砦といった人気観光地の警備は厳重ではありませんでしたが、日中は多くの観光客がいるため、犯罪(スリなどの軽犯罪を除く)に巻き込まれる可能性は低いと感じました。また、犯罪率はパリ、ロンドンなどと比較して低く、ヨーロッパで安全度の高い都市の一つとも言われています。ロシアによるウクライナ侵攻の影響もなさそうでした。
その一方、旧共産圏の少し不気味な雰囲気が残り、街の雰囲気は決して明るくありません。ハンガリーの失業率はヨーロッパ圏の平均より低い水準ですが、ウィーンやプラハと比較してホームレスの多さも気になりました。さらに、建物や道路の補修がきちんと行えていない経済状況など懸念点は多いです。
そのほか、ペスト地区の観光の中心地にあるデアーク・フェレンツ広場(Deák Ferenc tér)では、2020年5月にギャングメンバーが16歳と21歳の男性を刺殺する事件が発生しています。中心部でも夜は薄暗く、人目に付きづらい場所があるため、女性一人で出歩くことは避けた方が無難です。そのため、安全度は星3つですが、「治安に注意」となる星2つ寄りの星3つになります。
なお、その他ヨーロッパ都市と比較して移民は少ないですが、人が多く集まる場所では念のためテロに警戒してください。
ネットで言われている危険エリア
ホス通り(Hős utca)
ホス通りはサッカーやコンサートなどが開催されるスタジアム「プシュカーシュ・フェレンツ・シュタディオン」の南東約900メートルの場所にある通りです。廃墟のような団地があり麻薬絡みで有名な場所でしたが、団地の建て替えや自治体の治安対策などにより、治安は改善傾向になっているようです。
ヨージェフヴァーロシュ(Józsefváros)※8区
ヨージェフヴァーロシュ(ブダペスト8区)はロマ族(ジプシー)の住民が多く、ペスト地区のハーレムと呼ばれていた場所になります。スラム街として有名だったこちらの場所は現在再開発が進められています。なお、筆者はブダペスト東駅からハンガリー自然史博物館、コルビン・プラザ・ショッピング センターにかけてこのエリアを歩き倒しましたが、特に治安面で不安を感じることはありませんでした。状態の悪い建物が多く、少し不気味に感じられた場所はありましたが、観光客が訪れる場所ではないため、過剰に神経質になる必要はないと思います。
注意したいホームレスが多いエリア
筆者がブダペストの治安について調査していた際、多くのホームレスの存在を確認することができました。もちろんホームレス=犯罪者ではありません。しかし、ホームレスなどの貧困層が集まるエリアは必然的に麻薬、恐喝、売春といった犯罪が多くなる傾向があります。
なお、ここで紹介するエリアは治安の悪いエリアではありません。ホームレスの存在が気になった注意すべきエリアになります。男性は問題ないと思いますが、女性一人で行動する場合は通りで一人きりにならないなど注意するようにしてください。
ラーコーツィ広場(Rákóczi Téri)
ラーコーツィ広場は先程紹介したヨージェフヴァーロシュ地区に位置する広場です。広場にはマーケット(※写真)もあります。気になったのは地下鉄4号線「Rákóczi tér」駅の出口横に複数のホームレスがおり、寝床があったことです。ヨージェフヴァーロシュ地区は再開発が進んでおり、新しい住居に移れない貧困層がホームレスになっている可能性があります。日中は問題なさそうでしたが、夜に訪れる方は注意するようにしてください。
オクトゴン(Oktogon)周辺
写真はオクトゴン近くのマクドナルド周辺になります。通りを150メートルほど進むとスーパーマーケット「SPAR」があります。筆者はそのスーパー近くのホテル「イージーホテル・ブダペスト・オクトゴン」に宿泊していましたが、SPAR前でよくホームレスを見かけました。お金や食事を恵んでもらうために集まっていたのだと思います。
また、ホテル前の通りにはホームレスが鉄くずを売りに来る場所もあります。写真の通り夜になっても人通りが多いため、恐喝などは発生しづらい場所ではありますが、女性だけで路地に入る際は注意してください。
その他エリア
■ブダペスト西駅周辺
ブダペスト西駅(Nyugati pályaudvar)近くにスーパーマーケット「TESCO」があります。筆者はその近くでホームレスに「金をくれ」と声掛けられました。麻薬をやっているような雰囲気だったので、女性の場合は注意した方が良いかもしれません。なお、筆者は問題を感じませんでしたが、西駅の地下道について注意喚起をしている海外サイトもあります。
■ゲッレールトの丘(Gellért-hegy)周辺
写真はゲッレールトの丘の下で発見したホームレスの寝床になります。ゲッレールトの丘周辺は洞窟など人目に付かない場所が多いため、ホームレスが寝床にしている可能性があります。ゲッレールトの丘は夜景スポットとしても有名ですが、女性一人で夜景を見に行くことはおすすめしません。
筆者が体験した出来事
■マルギット橋(Margit híd)でクラクションを鳴らされる
筆者がマルギット橋を夜景撮影のために歩いていた際、走ってきた車に真横でクラクションを鳴らされることがありました。車道にはその車1台、歩いていた歩行者は筆者のみということで、筆者をターゲットにした嫌がらせでした。その車が赤信号で停まったため、文句を言いに行こうかとも思いましたが、トラブルに発展した場合、こちらが損することになるかもしれません。よって、グッとこらえて、不幸になれ〜という呪いを送っておきました。
■ベンチで揉めていたホームレス3人組と警察官
写真はデアーク・フェレンツ広場のスターバックスが入る歴史的建造物ですが、実はこの後ろで警察官とホームレス3人組が何やら揉めていました。要因は分かりませんが、紙を持って何やらやっていたため、滞在許可証絡みではないかと筆者は考えています。応援を呼んでいたため、警察官がホームレスに職務質問をして滞在許可証の期限切れが発覚したといったことだと思います。
総括
- パリやロンドンより犯罪率は低い、ブダペストの治安は基本的に問題なし
- ホームレスはウィーンやプラハより多い、ホームレスが集まるエリアには注意
- 薄暗い街灯や人目に付かない場所が多い、女性は夜の行動に注意しよう
こちらの記事でホームレスについて注意してくださいと連呼していますが、差別をしているのではなく、きちんとした理由があります。ホームレスがいるエリアが危険な理由は、彼らが許容されている“何か”があるからです。食べ物がある、お金を恵んでくれる人がいる、警察官の介入が少なく居心地がいい、寝床があるなどです。
特に警察官の介入が少ないエリアの場合、麻薬や売春、恐喝といった犯罪の温床になっている可能性が高く、観光客が犯罪に巻き込まれる可能性があります。観光客は滞在するエリアがどのような場所か判断しづらく、知らず知らず危険なエリアに入っていることもあります。その際に危険なエリアを見分ける基準として、ホームレス(特に麻薬をやっている人物)の有無を見極めることになります。
そのほか、青信号で渡りきれなかったお婆さんに罵声を浴びせていたタクシードライバーがいるなど、気持ちに余裕のない人が多い印象を受けました。また、筆者がトラムの車内でチケットに刻印ができず困っていた際、若い女性に笑われるということもありました。そのため、何かしらかの犯罪に巻き込まれた場合、現地の人が助けてくれるという雰囲気を感じることができなかったため、ブダペストは自分の身は自分で守るという覚悟が必要な都市だと思います。
以上、悪いことも書きましたが、ブダペストの治安は基本的に問題ありません。注意すべきところを注意すれば安全に観光が楽しめると思います。ぜひ、こちらの記事を参考にしてブダペスト観光を計画してみてください。