水の都「ベネチア(ヴェネツィア)」は街全体と潟が「ベネチアとその潟」として1987年に世界遺産に登録されています。
水路が張り巡らされた迷路のような都市には古くからの歴史を持つ教会など多くの観光スポットが存在しています。今回は、ベネチアで印象に残った15カ所をおすすめ観光スポットとして紹介します。ぜひ、ベネチア観光の参考にしてください!
ベネチアの主要観光スポット
1. サン・マルコ寺院(Basilica di San Marco)
サン・マルコ寺院は、800年代に建てられた教会に起源を持つベネチアを代表するビザンチン様式の大聖堂。1000年代に現在の教会の再建されました。かつてのベネチア共和国の権威の象徴であり、東方貿易で得た富と文化の影響が色濃く反映されています。黄金に輝くモザイク画、豪華な「黄金の祭壇画」、五つのドーム天井が見所です。なお、寺院前にあるサン・マルコ広場(Piazza San Marco)がベネチア観光の中心地になります。
■馬の銅像は略奪品?
正面入口の4頭の馬の銅像は、コンスタンティノープル(現在のイスタンブール)の競馬場にあったものですが、1204年の第四回十字軍の時に略奪されています。オリジナルはサン・マルコ寺院のミュージアムに展示されており、現在正面入口にあるものはレプリカになります。
■サン・マルコ広場
2. ドゥカーレ宮殿(Palazzo Ducale)
ドゥカーレ宮殿は、ベネチア共和国の総督邸であり、政府機関が集まる政治の中枢でした。現在の建物は14世紀にゴシック様式で建設された後、増改築が行われています。外観は白とピンクの大理石で彩られ、繊細なアーチや彫刻が印象的です。
内部にはティントレット、ヴェロネーゼらによる壮麗な壁画や天井画が並び、かつての政庁や裁判所、牢獄を見学できます。歴史や美術に興味がある人、ヴェネツィアの政治や司法制度に触れたい人におすすめです。
おすすめの教会
3. サンティ・アポストリ教会(Chiesa dei Santi Apostoli)
サンティ・アポストリ教会は、カンナレージョ地区に位置する9世紀に創建された歴史ある教会。1021年、1575年に教会は再建されています。内部にはジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ(Giovanni Battista Tiepolo)の初期作品「聖ルチアの殉教」、ジョバンニ・コンタリーニ(Giovanni Contarini)の作品などが展示されています。小規模ながら静かで荘厳な雰囲気が魅力で、観光客で混雑しがちな主要寺院とは異なる落ち着きを味わえます。
4. サン・モイゼ教会(Chiesa di San Moise)
サン・モイゼ教会は、サン・マルコ地区に位置する8世紀末もしくは9世紀初頭に創建された教会。現在の華麗なバロック様式のファサードは、1668年にアレッサンドロ・トレミニョン(Alessandro Tremignon)の設計で建てられたもの。内部は、彫刻祭壇、ミケランジェロ・モルライターの主祭壇画、ティントレットの作品等が見所です。
5. サンタ・マリア・デル・ジリオ教会(Chiesa di Santa Maria del Giglio)
サンタ・マリア・デル・ジリオ教会は、バロック様式の教会。900年代に建てられましたが、火災などで1100年代に再建。現在の外観は1600年代に修復されたものになります。ファサードの彫刻はジュゼッペ・サルディ(Giuseppe Sardi)などの手によるもの。内部にはピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens)の絵画などがあります。
6. サン・シメオン・ピッコロ教会(Chiesa di San Simeon Piccolo)
サン・シメオン・ピッコロ教会は、9世紀に創建された教会。現在の建物は1718〜1738年に建てられたネオクラシック様式の教会。ジョヴァンニ・アントニオ・スカルファロット(Giovanni Antonio Scalfarotto)が設計を担当。一般には公開されていませんが、サンタ・ルチア駅から見る景色がおすすめです。
7. サン・ジェレミア教会(Chiesa di San Geremia)
サン・ジェレミア教会は、11世紀に建てられた教会が起源。現在の建物は1700年代に着工され、1800年代に完成したネオクラシック様式のもの。カルロ・コルベリーニ(Carlo Corbellini)が設計を担当。アゴスティーノ・ウゴリーニ(Agostino Ugolini)、セバスティアーノ・サンティ(Sebastiano Santi)などの絵画が見所です。
8. サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会(Basilica di Santa Maria della Salute)
サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会は、1631〜1687年に建設されたバロック様式の教会。流行していたペストの沈静化を祈願して、建設が着工されたという歴史を持っています。ファサードの彫刻はトンマーゾ・リュー(Tommaso Rues)などが担当。ベネチア派の巨匠「ティツィアーノ・ヴェチェッリオ(Tiziano Vecelli)」の絵画などが見所になります。
9. サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会(Chiesa di San Giorgio Maggiore)
サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会は、700年代後半に建設された教会が起源。1223年の地震で倒壊し、その後再建されています。現在の教会は1566~1610年に建設されたルネサンス様式のもの。鐘楼は1467年に建てられましたが、1774年に倒壊し、ネオクラッシク様式で1791年に再建されています。橋などでつながっていないため、ヴァポレット(水上バス)で行くことになります。
10. サン・ジョヴァンニ・グリゾストモ教会(Chiesa di San Giovanni Grisostomo)
サン・ジョヴァンニ・グリゾストモ教会は、1495〜1525年に建設されたルネッサンス様式の教会。11世紀頃からの起源を持つ。マウロ・コドゥッシ(Mauro Codussi)が設計を担当。ジョヴァンニ・ベッリーニ(Giovanni Bellin)が手掛けた祭壇画などが見所。セバスティアーノ・デル・ピオンボ(Sebastiano del Piombo)の絵画、トゥッリオ・ロンバルド(Tullio Lombardo)の彫刻などもあります。
11. サン・スタエ教会(Chiesa di San Stae)
サン・スタエ教会は、10世紀頃からの起源を持つ教会。現在の教会はバロック様式で17世紀に再建されたもの。ドメニコ・ロッシ(Domenico Rossi)が設計を担当。彫刻はジュゼッペ・トレット(Giuseppe Torretto)、アントニオ・タルシア(Antonio Tarsia)、ピエトロ・バラッタ(Pietro Baratta)などが製作。教会内にはベネチア貴族「モチェニーゴ家」の墓などがあります。ジャンバッティスタ・ピットーニ(Giambattista Pittoni)の絵画も見所です。
おすすめの橋
12. アカデミア橋(Ponte dell’Accademia)
アカデミア橋は、英国人「アルフレッド・ネヴィル(Alfred Neville)」の設計により、1800年代半ばに建設された橋。最初は鉄製でしたが、その後取り壊され、エウジェニオ・ミオッツィ(Eugenio Miozzi)が設計した木製の橋が1933年に開通しました。ベネチアの街を歩き回り、このアカデミア橋から見る景色が一番のお気に入りです。
■アカデミア橋からの眺め
13. リアルト橋(Ponte di Rialto)
リアルト橋は、12世紀に建設された舟橋が起源。運河全体で最も古い橋。木製の橋は群衆の重みにより、1310年、1444年、1524年に崩壊を繰り返したことから、現在の石の橋が建設されることになりました。橋の設計者としてミケランジェロ(Michelangelo)も検討されていましたが、アントニオ・ダ・ポンテ(Antonio da Ponte)が設計を担当し、1591年に完成しました。
14. ため息の橋(Ponte dei Sospiri)
ため息の橋は、ドゥカーレ宮殿(Palazzo Ducale)と刑務所を結ぶ橋(渡り通路)として1600年頃に建設されました。リアルト橋(Ponte di Rialto)を設計したアントニオ・ダ・ポンテ(Antonio da Ponte)の甥であるアントニオ・コンティーノ(Antonio Contino)が設計を担当。
なお、橋の名前については、囚人がこの橋を渡る際、美しいベネチアの景色を見られるのはこれが最後かと、「ため息」をついたことが由来になっているとされています。
その他おすすめ観光スポット
15. アルセナーレ・ディ・ベネチア(Arsenale di Venezia)
アルセナーレ・ディ・ベネチアは、1100年代に造られた国立造船所跡。こちらで製作された船により、ベネチア共和国は貿易等で繁栄していきました。現在は海洋史博物館として一部が公開されています。料金面などを考慮すると博物館はやや物足りない印象ですが、建物自体は素晴らしく、散策ついでに見ておくことをおすすめします。
最後に
ベネチアには上記で取り上げた教会以外にも、古い歴史を持つ建物が多くあります。
最低でも2泊3日の日程で、ベネチアの街を歩き回り、歴史的建造物を発見する、それがベネチア観光の醍醐味だと思います。
水の都と呼ばれるその名の通り、入り組む水路、路地を冒険すれば、きっと忘れられない思い出ができると思います。ぜひ、上記を参考に観光を楽しんでください。
※上記の観光スポットの場所は以下のグーグルマップ(赤色)にまとめています。