イスタンブールはローマ帝国の足跡が残るトルコ最大の都市!
ローマ帝国時代の遺跡だけではなく、中世に建設されたモスク、美しい夕日を見ることができるガラタ橋など、古代・中世・近代をミックスした街並みが楽しめます。
今回は筆者が撮影した写真とともに、おすすめ観光地15ヵ所を旧市街側、新市街側、アジア側の地域別にまとめてお届けします。ぜひイスタンブール観光の参考にしてください。
なお、ブルーモスクなど主要世界遺産については、以下の記事をご覧ください。
■イスタンブールの主要世界遺産はこちら!
旧市街側の観光スポット
1.イェニ・モスク(Yeni Cami)
イェニ・モスクは1597~1665年に建設されたモスク。ニューモスクとも呼ばれています。オスマン帝国の第12代皇帝ムラト3世(Sultan Murad III、1546年~1595年)の妻サフィエ・スルタン(Sultana Safiye、1550年~1619年)の命により建設されました。
■ここがポイント!
イスタンブール滞在中に多くのモスクを拝観しましたが、ブルーモスクにも負けず劣らずニューモスクの壁や天井装飾などは素晴らしかったです。イスタンブール観光で見逃せない観光地としておすすめします。
2.バヤズィト・モスク(Beyazıt Camii)
バヤズィト・モスクは1501~1506年に建設されたモスク。オスマン帝国の第8代皇帝バヤズィト2世(1447年~1512年)の命により建設され、現存するオスマン帝国の皇帝が建てたモスクで最も古いものになります。なお、1509年の地震や1683年、1764年の火災により、その都度修復が行われています。
3.国立考古学博物館(İstanbul Arkeoloji Müzeleri)
国立考古学博物館は1891年に設立されたトプカプ宮殿近くにある国立博物館。トルコ各地にある遺跡から発掘された出土品に加え、古代ギリシャやローマ時代の彫刻コレクションが多い。なかでもネクロポリス(シドン)で発見されたアレキサンダー大王の石棺、リキアの石棺などが見所です。なお、古代オリエント博物館とタイル博物館が隣接しています。
4.イスタンブール鉄道博物館(İstanbul Demiryolu Müzesi)
イスタンブール鉄道博物館は、シルケジ駅(Sirkeci Garı)に併設された鉄道博物館。シルケジ駅の建物は19世紀後半に建てられたもので、廃止となったオリエント急行の終点駅になります。鉄道博物館は2005年9月に開館し、トルコ国営鉄道が運営しています。展示物はオリエンタルエクスプレス関連が中心で、当時の座席や食器などが展示されていました。オリエンタルエクスプレスに興味のある方はもちろん、鉄道ファン必見の場所と言えます。なお、博物館は駅の構内、チケット売場付近に入口があります。
■シルケジ駅のプラットホーム
5.トルコ銀行博物館(Türkiye İş Bankası Müzesi)
トルコ銀行博物館は、トルコ大手銀行「イシュバンク」が運営する博物館。イシュバンクはムスタファ・ケマル・アタチュルクが主導して1924年に設立された商業銀行で、総資産はトルコ最大級の規模。
2階部分は株券や小切手、銀行証明書、領収書、各種伝票に加え、タイプライターや計算機、電話機などといった銀行設立から設立当初に関連する展示物などがあります。1階部分はオスマン帝国崩壊後のトルコ共和国の歴史(鉄道、海運、綿、ガラス、農業など)に関する展示が行われていました。そのため、金融に興味のない方でも、トルコ共和国の成り立ちを知ることができる良い博物館だと思います。
なお、説明はほぼトルコ語ですが、翻訳アプリを使用すれば問題ありません。
6.コンスタンティヌスの円柱(Çemberlitaş Sütunu)
コンスタンティヌスの円柱はローマ皇帝「コンスタンティヌス1世(270年頃〜337年)」の命により、330年に建てられた円柱。330年はローマ帝国の首都がコンスタンティノープル(現イスタンブール)へ遷都された年。それを記念してこちらの円柱が建てられました。完成当時はコンスタンティヌス像が頂上にありましたが、1100年前後の落雷、もしくは強風で倒壊したと言われています。イスタンブールの歴史の始まりを象徴する建造物というだけでも、一見の価値ありです。
7.聖ゲオルギオス大聖堂(Aziz George Katedrali)
聖ゲオルギオス大聖堂は1600年頃からコンスタンティノープル総主教座が置かれている正教会の大聖堂。コンスタンティノープル総主教は原始キリスト教の五大総主教座の一つ。キリストが鞭打ちで打たれた柱の一部(※写真)、ナジアンゾスのグレゴリオス(330年頃〜389年)、金口イオアン(347年頃〜407年)の不朽体といった聖遺物があることで知られています。
キリストの聖遺物は建物の向かって右側の部屋の奥にあります。閉館時間前に筆者が訪れた際は中国人観光客が5名ほど、その他観光客が10名ほどが滞在しており、聖遺物周辺で居座っている人達がいました。また、大聖堂の中央部分の立ち入りが制限されていました。なお、テロ防止のため、建物入口で荷物検査を受ける必要があります。
8.ブーコレオン宮殿(Bukoleon Sarayı)
ブーコレオン宮殿は東ローマ帝国の皇帝「テオドシウス2世(401年〜450年)」によって建てられた宮殿。東ローマ帝国の皇帝「テオフィロス(813年頃〜842年)」の治世中に増築が行われています。オスマン帝国の7代皇帝「メフメト2世(1432年〜1481年)」がコンスタンティノープルに入った際はすでに廃墟になっていました。その後、宮殿の西側部分は1870年代の鉄道工事で破壊され、現在は宮殿の東側が残されています。
新市街側の観光スポット
高級ホテルやブランド店街があるエリア。高層ビルなどもどんどん建設され、急速に発展しています。その一方、ガラタ塔付近など旧市街のような雰囲気を持った場所もあり、新旧イスタンブールの街並みを感じることができます。
9.ガラタ橋(Galata Köprüsü)
ガラタ橋は旧市街側と新市街側を結ぶ橋。1845年に最初の橋が架けられた後、改修・増築され、1994年に現在の橋が開通しています。上層部には道路、下層部にはレストランがあります。道路側から釣り人が糸を垂らしている光景がガラタ橋の名物になります。また、美しい夕日を撮影することができる場所なので、サバサンドを食べながら夕日を待ってみましょう。
■ガラタ橋から撮影した夕日
10.ガラタ塔(Galata Kulesi)
ガラタ塔は東ローマ帝国の皇帝アナスタシウス1世(431~518年)の命により建設が開始され、528年に完成した灯台。世界最古の塔の一つ。コンスタンティノープルを陥落させた第4回十字軍(1202~1204年)により破壊された後、1348年に再建されました。1794年の火災や1875年の嵐などで破壊、再建を繰り返しています。1965~1967年の間に最後の修理が行われています。1717年から火災の観測塔として利用されていたこともあり、旧市街などイスタンブールの街並みを見渡すことができます。
11.タクシム広場(Taksim Meydanı)
タクシム広場はイスタンブール新市街の中心地。広場の中心には、1928年に建てられたトルコ共和国建国記念の記念碑があります。広場周辺は飲食店が豊富で、トルコ料理はもちろん、マクドナルドなどのファーストフード店もあります。また、5つ星ホテルの「ザ・マルマラ・タクシム」などのホテルもあります。さらに、広場から伸びるイスティクラル通り(İstiklal Caddesi)が新市街のメインストリートになるため、新市街に宿泊する場合はこちらの広場周辺がおすすめです。
12.ドルマバフチェ宮殿(Dolmabahçe Sarayı)
ドルマバフチェ宮殿は1856年に建てられたバロック様式、オスマン様式を折衷した宮殿。オスマン帝国の王宮として利用されていました。宮殿内の見学については、時間別の入場になり、担当ガイドに付いて歩く形になります。よって、好きな時間に自由に見学することはできません。なお、建物内部は撮影禁止ですが、内部の調度品などはオリジナルとのことでした。
■皇帝の門
13.金閣湾メトロ橋(Haliç Metro Köprüsü)
金閣湾メトロ橋は2009年〜2014年に建設された橋。橋の上に地下鉄2号線「Haliç」駅があります。名前の通り金閣湾の景色を一望することができ、なかでもガラタ橋方面の景色がおすすめ。新市街、旧市街、アジア側の景色を合わせて見ることができます。のんびり景色が楽しめる穴場スポットになります。
■金閣湾メトロ橋から見たガラタ橋方面の景色
アジア側の観光スポット
アジア側から見る新市街や旧市街側の眺めは最高です。筆者は世界一周をしていた際、日本を出発して最初に降り立ったアジアの地ということで、特別な気持ちを抱きました。
14.ボスポラス大橋(İstanbul Boğaziçi Köprüsü)
ボスポラス大橋は1970~1973年に建設されたボスポラス海峡に架かる吊り橋。2016年7月15日に発生したトルコの軍事クーデター未遂事件で多くの市民が犠牲になったことを受けて、「7月15日殉教者の橋」に名称が変更されています。
イスタンブールに架かる橋の代表としてこちらの橋はチェックしておきたいところです。通常は歩いて渡ることができないため、アジア側、もしくは新市街側から橋を眺めることになります。なお、写真右の夜景は旧市街側の公園「İBB Sarayburnu Parkı」から撮影しています。
15.乙女の塔(Kız Kulesi)
乙女の塔は、紀元前5世紀にソクラテスの弟子であったアルキビアデス(紀元前450年頃~紀元前404年)が港を造ったことが起源。その後、東ローマ帝国コムネノス王朝の初代皇帝アレクシオス1世コムネノスによって木製の塔が1110年に建設されました。1509年の地震、1721年の火災後は灯台として利用されました。1832年、1945年に修復作業が行われたほか、1999年に改装され、現在はレストランなどとして利用されています。
■塔の名前の由来
ある皇帝とその娘の話。ある預言者が皇帝の娘は18歳の誕生日に毒蛇によって殺されると予言したため、皇帝は娘を蛇がいないこの塔で育てることにしました。娘は18歳の誕生日を無事に迎えることができ、それを喜んだ皇帝は豪華なフルーツバスケットを持ち塔に向かいました。すると、その中に毒蛇が隠れており、娘が噛まれ、皇帝の腕の中で死んでいったという悲しい話が由来になっているとされています。
■乙女の塔への行き方
アジア側の塔正面に船乗り場があり、そちらから行くのがおすすめです。運行時間、料金などは変更になる場合があるため、詳しくは乙女の塔の公式サイトで確認してください。
滞在後記
イスタンブール観光については、街の活気を味わうことが一番の醍醐味だと思います。そのエネルギッシュな街に古代ローマ時代の遺跡や中世からの歴史を持つモスクなど様々な文化が折り重なり、都市の魅力を相乗的に向上させていると言えます。
モスクは神聖な場所ですが、イスタンブールにあるモスクの多くは観光客にも開放されています。他国ではイスラム教徒以外に開放されていない場合もあるため、モスクを訪問したことのない方はルールを守って訪問してみてください。きっと良い思い出になると思います。
そのほか、世界トリップではイスタンブールの世界遺産、買い物スポット、治安、気候などの記事も配信しています。ぜひ以下のリンクからご覧ください。
※上記のおすすめ観光地の場所は以下のグーグルマップで確認してください。