イスタンブールの治安を一刀両断!テロ発生場所の傾向は?

イスタンブール

トルコ最大の都市「イスタンブール」は安全?それとも危険?

みなさんはイスタンブールの治安について、どのようなイメージをお持ちですか?トルコはイスラム教徒が多い国ということで、イスラム過激派によるテロを不安視している方が多いと思います。

今回は筆者がイスタンブールの治安について調査。「イスタンブールの治安について(近年発生したテロ事件を含む)」、「イスタンブールで危険と言われているエリア」、「声掛け民に注意しよう」、「夜の街の姿」、「僕たち(野良犬)について」のカテゴリーに分けてイスタンブールの治安を解説します。イスタンブール観光を計画されている方は参考にしてください。

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まず危険レベルを確認しよう

安全情報

※出典:外務省の海外安全ホームページ

海外旅行に行く前(計画する前)は、必ず「外務省 海外安全ホームページ」で滞在予定地の危険レベルを確認してください。

イスタンブールは2024年2月21日現在、レベル1「十分注意」で注意喚起が行われています。テロ事件の発生などを受けて、不測の事態に十分注意してくださいとされています。

なお、レベル1「十分注意」=行ってはいけないということではありません。タイのバンコク、フィリピンのマニラ、インドネシアのジャカルタなどもレベル1ですし、注意喚起が行われていないアメリカのロサンゼルスなどでも絶対に入ってはいけない危険地帯があります。行ってはいけない場所の目安としては、レベル2「不要不急の渡航は止める」を出されているかで判断してください。

なお、海外安全ホームページでは、日本の外務省がレベル1「十分注意」、レベル2「不要不急の渡航は止める」、レベル3「渡航中止勧告」、レベル4「退避勧告」の4段階評価で各地域の安全情報を開示しています。

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イスタンブールの治安について

イスタンブールの安全度(5段階評価):★★★

イスタンブールの安全度は「問題なし」となる星3つで評価しています。

スリや勧誘行為には注意が必要になりますが、観光客が集まるエリアは人通りが多く、女性一人で観光が楽しめるほど治安は安定しています。テロを除き、傷害や強盗といった犯罪に観光客が巻き込まれる可能性は低いと判断し、イスタンブールの安全度は星3つにしています。

なお、イスタンブールではテロ事件が度々発生しています。観光客がテロを未然に回避することは難しいですが、発生した場所の傾向を把握しておくことは重要だと思います。そこで、これから近年発生したテロ事件を紹介します。

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近年発生した主なテロ事件について

■2016年1月、ブルーモスク付近で発生

2016年1月12日、旧市街にあるブルーモスク近くで自爆テロが発生、10名が亡くなっています。実行犯はシリア国籍のISILメンバーと言われています。

■2016年6月、旧アタテュルク国際空港で発生

2016年6月28日には旧アタテュルク国際空港で銃撃及び自爆によるテロ事件が発生、容疑者3名を含む48名が亡くなっています。犯行声明は出されませんでしたが、ISILが関与していたとみられています。

■2016年12月、ベシクタシュJKのホームスタジアム

2016年12月10日、サッカークラブ「ベシクタシュJK」のホームスタジアム「Tüpraş Stadyumu」前で警察官を狙った自動車爆破が行われたほか、近くの公園「İBB Maçka Democracy Park」で自爆テロが行われています。これらのテロで警察官39名を含む48名が亡くなっています。武装組織のクルド労働者党(PKK)の分派である「クルド解放のタカ(TAK)」が犯行声明を出しています。

■2017年1月、ナイトクラブで発生

2017年1月1日にはボスポラス海峡に架かる「7月15日殉教者の橋」の近くにあったナイトクラブ「Reina」で銃乱射事件が発生、39名が亡くなっています。事件後にISILが犯行声明を出しています。なお、銃撃犯のウズベキスタン人の男については2020年に終身刑が言い渡されています(※)。

※トルコはEU加盟を目指すため、2004年に死刑制度を廃止しています。

■22年11月、イスティクラル通りで発生

2022年11月13日にはタクシム広場から伸びる新市街側のメインストリート「イスティクラル通り(İstiklal Caddesi)」で爆破テロが発生、6名が亡くなっています。クルド労働者党(PKK)が関わっていたとも言われています。なお、イスティクラル通りでは2016年3月にも自爆テロが発生、5名が亡くなっています。

■やはり人が集まる場所でテロは起こる

このように、イスタンブールではイスラム過激派のみならず、クルド労働者党(PKK)によるテロにも警戒しなければなりません。テロ事件については、いつ、どこで、どのように行われるかを観光客が把握することは不可能です。ただ、やはり人が集まる場所でテロが行われる傾向にあります。観光客は特にブルーモスク周辺、イスティクラル通りを訪れる際、周囲を警戒した方が良いと思います。

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イスタンブールで危険と言われているエリア

タルラバシュ(Tarlabaşı)

タルラバシュはタクシム広場の西側、タルラバシュ通りの北側に位置する貧困層が住むエリアです。イスタンブールで最も危ないエリアの一つと言われ、幼い子供がナイフを片手に威嚇してくるといった情報もあります。治安面が理由か分かりませんが、グーグルマップのストリートビューでこのエリアだけ不自然に見ることができません。

筆者は「Sakız Ağacı Caddesi」を中心に治安面の問題を探しました。人通りが少なく、汚い通りはありましたが、タルラバシュ通り側では老人達がチャイを飲みながら談笑しているなど、問題があるようには感じませんでした。その一方、通りには装甲車?(※写真)が配置されており、警察などによる治安維持が行われているようでした。エリアの奥に行くと状況が変わる可能性がありますが、どちらにせよ観光客が訪れるエリアではありません。

■警察の装甲車?

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ドラプデレ(Dolapdere)

ドラプデレはタクシム広場の北西、タルラバシュの北に位置するエリアです。構造的に問題を抱えた建物が軒を連ねており、ロマ族(ジプシー)などの貧困層が住んでいます。危害を加えられることはありませんでしたが、筆者が散策していた際、建物から視線を感じることが度々ありました。おそらく侵入者を警戒してのことだと思います。こちらも観光客が立ち入る場所ではありません。

アイヴァンサライ(Ayvansaray)

アイヴァンサライは旧市街側、カーリエ博物館付近から金角湾までのエリア。人気観光地の一つ「バラット地区(Balat)」に隣接しています。この辺りには古く(オスマン帝国時代以前)からロマ族(ジプシー)が住んでおり、現在もロマ族を中心に貧困層が住むエリアになっています。そのため、治安の悪いエリアと言われています。

確かにロマ族の人達は多かったですが、彼らに危害を加えられることはありませんでした。このように、ロマ族が住むエリア=治安の悪いエリアとしている海外サイトは多いですが、単純に彼らを蔑視している、貧困者が住む場所=治安が悪いとしているだけの可能性があります。ただし、女性一人で出歩くような場所ではありません。

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声掛け民に注意しよう

イスタンブールの街を歩いていると、本当に多くの人に声を掛けられます。どこから来たの?ライター持ってない?このレンズはいくらですか?昔東京に住んでいた、ミスチルを案内したことがあるなど様々です。今回は2023年10月に筆者が声を掛けられて印象に残ったもの4つを紹介します。なお、筆者は男性で、声を掛けてきたのは全て男性になります。

■このレンズはいくらですか?

筆者が18時半くらいに写真の公園「İBB Sarayburnu Parkı」で撮影を行っていた際、現地人3人組がレンズを指差して何やら言ってきました。相手にグーグル翻訳を使用してもらうと、このレンズはいくらですか?と聞きたかったみたいです。怪しすぎたため、無視してその場を離れました。このような場合は自分のスマートフォンで翻訳しないでください。相手に盗まれる可能性があるほか、機種を見てお金持ちかどうか判断され、犯罪に巻き込まれる可能性があります。

■日本で一番高額の紙幣を見せてください

筆者が20時過ぎにガラタ塔付近を歩いていると、サウジアラビアから来たという30代くらいのカップルに声を掛けられました。内容はどこから来たの?東京のホテルは1泊いくら?日本のお金を見せてほしい、日本で一番高額の紙幣を持っていますか?高額紙幣を見せてくださいなどです。何故お金が見たいのですかと質問すると、答えなかったため、その場を離れました。その際、捨て台詞のようなことを言われたので、心の中で馬鹿と言っておきました。

※相手が複数いる場合、一人が気を引くこと(服を汚すなど)をして、もう一人が財布などを盗むことがあります。

■ライター持ってる?

タクシム広場から伸びる「イスティクラル通り」は声掛けにも注意しなければいけません。筆者はライター持ってる?と聞かれ、持ってないですと答えて終了かと思いきや、どこから来たの?どんな仕事をしているの?どこかに飲みに行こうよなど、しつこくつきまとわれることがありました。筆者に気があるのかと思うほどだったので、女性一人の場合はさらに酷いだろうなということは容易に想像ができます。

■福岡に住んでいた中村さんと付き合っていた

ブルーモスク前の広場では、絨毯屋がよく声を掛けてきます。筆者が体験したものでは、どこから来たの?昔3カ月間東京に住んでいた、とある県に住んでいた中村さん(フルネームで)と付き合っていた、安くするから絨毯を見に来てほしいなどです。さらに、ミスチルを案内したというものもありました。絨毯屋の声掛けについてはぼったくられる可能性があるので注意が必要です。そもそも人気店は客引きをしなくてもお客さんが来てくれます。

ここまで声掛け民に注意してくださいと言いましたが、筆者は声掛け民にガラタ橋の飲食店でビールを奢ってもらったことがあります。結局は人次第になります。現地の人と話すことは旅の醍醐味ですので、その人が指定した店には行かない、野外など人が多い場所で話すといった点に気をつければ、トラブルに巻き込まれる可能性は低いと思います。

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夜の街の姿

■19時半頃のガラタ橋付近

19時半ということで屋台やサバサンドの販売店(船)などが営業しており、周辺には多くの人がいます。

■20時前のアヤソフィア周辺

旧市街側の観光の中心地ということで多くの人で混雑しています。

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■20時頃のタクシム広場

タクシム広場は新市街側の観光の中心地。写真の通り多くの人がいます。

■21時半頃のイスティクラル通り

21時半頃に撮影したタクシム広場から伸びるイスティクラル通りです。この時間でもこれだけ多くの人がいます。こちらの通りはテロリストの標的になりやすいため、混雑する時間帯は周囲に注意してください。

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僕たちについて

イスタンブールでは野良犬を見かけることが珍しくありません。注目して頂きたいのが、犬の耳に付いているタグです。こちらは行政が管理するためのタグになっており、狂犬病の予防接種や避妊手術などが行われている証になります。ただ、定期的に狂犬病の予防接種が行われているか分かりませんので、噛まれないように注意してください。筆者の印象では乱暴な個体は少なく、基本的には人に慣れた個体が多い気がします。ぜひ優しく接してあげてください。

最後に

その他の都市と同様に行くべきではない場所は存在しますが、イスタンブールは基本的に治安の良い街だと思います。海外のネットで言われている危険エリアについては、筆者が訪問した限り身の危険を感じることはありませんでした。

観光客が訪れるエリアで注意すべきことはテロ、声掛け民による詐欺的行為になります。テロについてはいつ発生するか分からないため、ISILやクルド関連の情勢を見極める必要があります。状況が悪化していると判断できれば、イスタンブール観光は見送るべきかもしれません。

以上、今回はイスタンブールの治安について紹介しました。

なお、世界トリップではイスタンブールの世界遺産や世界遺産以外の観光地、モスク、買い物スポットなどの記事も配信しています。ぜひ以下のページからご覧ください。

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