みなさんはイギリスの首都「ロンドン」の治安について、どのようなイメージをお持ちですか?
危険なイメージを持つ方は少ないかもしれませんが、フーリガンによる暴動、2017年に相次いだテロ事件など治安面で気になる点もあります。実際の治安はどうなのでしょうか?
今回はロンドンに何度も滞在した筆者が治安について調査。観光客が訪れる中心部を中心に、ユーロスターが発着する「セント・パンクラス駅」周辺の治安についても調べています。旅行者向けに特化した情報になりますので、ロンドン観光を計画されている方はぜひ参考にしてください。
まずは危険レベルを確認しよう
海外旅行に行く前(計画する前)は、必ず「外務省 海外安全ホームページ」で滞在予定地の危険レベルを確認するようにしてください。2023年9月2日現在、ロンドンには危険情報は出されていません。しかし、著名人のスリ被害などが報告されているため、混雑した電車内などではスリに注意してください。
なお、海外安全ホームページでは、日本の外務省がレベル1「十分注意」、レベル2「不要不急の渡航は止める」、レベル3「渡航中止勧告」、レベル4「退避勧告」の4段階評価で各地域の安全情報を開示しています。
ロンドンの治安について
ロンドンの安全度(5段階評価):★★★
観光客が訪れるロンドン中心部は治安が安定しているため、ロンドンの安全度は「問題なし」となる星3つで評価しています。
その一方、フィンズベリー・パーク(Finsbury Park)周辺のほか、ペッカム(Peckham)、ストラトフォード(Stratford)など中心部から外れた場所には治安の良くないエリアがあります。また、ビッグ・ベンやウェストミンスター寺院などがあるウェストミンスター(Westminster)地区はロンドンで最も犯罪が発生しているエリアになります。犯罪の多くが窃盗になるため、傷害事件に巻き込まれる可能性は低いと言えますが、観光客は手荷物管理をしっかりしておく必要があります。
また、ロンドンにも多くの移民が流入しており、移民絡みのテロ事件も発生しています。在英国日本国大使館ではイスラム教の宗教行事(ラマダンなど)の度に注意喚起を行っています。さらに、ロンドンには約9000人のホームレスがいると言われています。筆者もイートン・スクエア・ガーデンズ(Eaton Square Gardens)、セント・パンクラス駅周辺などで見かけています。特に夜出歩く際は注意するようにしてください。なお、ロンドンは薄暗い細い道が多い都市でもあります。夜に女性一人で出歩く場合は、細い路地は避けてできるだけ人通りのある大通りを歩くようにしてください。
危険エリアについて
ロンドンの危険エリアについては、ブリクストン(Brixton)やペッカム(Peckham)、ストラトフォード(Stratford)などが麻薬、ギャング絡みの暴力犯罪が多いエリアとして知られています。また、タワーハムレッツ・ロンドン特別区にあるポプラー(Poplar)は麻薬取引の場所として有名です。しかし、観光客が訪れるような場所ではないため、ロンドン観光をする際の妨げにはならないと思います。
観光客が注意すべきエリアとしては、上記でも取り上げたウェストミンスター地区に加え、ランベス(Lambeth)地区のウォータールー駅周辺、人気マーケットがあるブリック・レーン(Brick Lane)周辺になります。ウェストミンスター地区、ランベス地区は窃盗の多いエリアになり、ブリック・レーン周辺は麻薬取引の場所として知られています。窃盗の多いエリアについては手荷物の管理をしっかりしてください。また、ブリック・レーン・マーケットを訪れる際は人通りの少ない脇道に行くことは避け、夜遅くまで滞在しないことをおすすめします。
セント・パンクラス駅周辺の治安について
セント・パンクラス駅はユーロスターが発着する駅になるため、パリ、ブリュッセル方面から日本人を含む多くの観光客が訪れる場所になります。筆者もパリからロンドンに向かう際によく利用しています。今回は周辺のホテルに宿泊する機会があったため、夜の雰囲気についてお伝えします。
掲載した写真は23時頃のセント・パンクラス駅前を撮影したものになります。マクドナルドの店頭にはホームレス(?)の男性が座っていますが、写真のマクドナルドは24時間営業であること、人通りがあること、交通量が多いことからトラブルに巻き込まれる可能性は低いと思います。駅前のユーストン・ロード(Euston Road)には深夜まで営業しているバーなどもあり、深夜でもある程度の人通りがありました。そのため、女性一人でも周辺のホテルにチェックインができるほど治安は安定していると言えます。
夜の主要観光地の治安について
■20時30分過ぎのビッグ・ベン周辺
ビッグ・ベンはロンドンを象徴する観光地であること、20時30分過ぎということから、多くの人達が行き交っていました。テムズ川沿いの遊歩道には夜景を見るために多くの人がおり、女性でも問題なく夜景が楽しめるレベルです。また、ビクトリア駅に向かうビクトリア・ストリートも普通に人通りがあり、夜のビッグ・ベン周辺の治安について問題点を見つけることはできませんでした。
■21時30分頃のナショナル・ギャラリー周辺
トラファルガー広場、ナショナル・ギャラリーを撮影した写真になります。日中は多くの人で賑わう広場ですが、夜についても同様に多くの人がいます。座り込んで話しているカップルはいましたが、騒いでいる若者はいませんでした。広場でトラブルに遭う可能性は低いと思いますが、コヴェント・ガーデン側は人通りが少なくなる通りがあるため、女性一人で出歩く場合は注意してください。
■22時過ぎのリージェント・ストリート
写真はリージェント・ストリートのアップルストア周辺で撮影。写真の先はオックスフォード・サーカスになります。リージェント・ストリートには多くの人気ブランドがブティックを構えていますが、この時間になるとどの店舗も営業時間が終了しています。しかし、周囲には深夜まで営業している飲食店が多く、ピカデリー・サーカスからオックスフォード・サーカスにかけては多くの人がいます。特にソーホー側にはバーや人気クラブがあり、昼とは違った魅力を楽しむことができます。
■21時頃の王立証券取引所周辺
王立証券取引所周辺で撮影した写真になります。ビッグ・ベンやリージェント・ストリート周辺には多くの人がいましたが、王立証券取引所などがあるシティ側は夜になると人通りが少なくなります。狭い通りや死角になる場所はありますが、治安上の問題点を見つけることはできませんでした。人気バーが多いエリアでもあるため、ゆっくりお酒を楽しみたい方には飲み歩きがおすすめです。
■22時過ぎのタワー・ブリッジ
こちらは22時過ぎに撮影したタワー・ブリッジになりますが、一人で歩いている現地女性が3名いました。女性が一人で歩けるほど安全であり、タワー・ブリッジ周辺も治安面で問題がないと言えます。テムズ川沿いの遊歩道から夜景が楽しめますが、ビッグ・ベン周辺より人通りが少ないため、周囲には注意するようにしてください。
テロについて
2023年6月29日現在、MI5(保安局)ではイギリスのテロ警戒レベルを5段階中の真ん中になる「Substantial(相当程度)」としています。
ロンドンでは2005年7月7日に56名が死亡した同時爆破テロ事件、2017年3月22日にはロンドン中心部(ウェストミンスター橋など)で実行犯含む5名が死亡したテロ事件、同年6月3日にはロンドン橋、バラ・マーケットでもテロ事件が発生しています。さらに、2019年11月にはロンドン橋付近で2名が亡くなるというテロ事件が起こっています。
ロンドン中心部は安全性の高いエリアになりますが、移民の増加によりロンドンではテロ発生リスクが高まっています。特にビッグ・ベンやピカデリー・サーカス、バッキンガム宮殿など観光客が集まりやすい場所に加え、相次いでテロ事件が発生しているロンドン橋付近では周囲の警戒を怠らないようにしてください。
総括
- ロンドン中心部は安全!スリ被害だけには気をつけよう
- 危険エリアは郊外が中心、安易に立ち寄ることは避けましょう
- 主要観光地は夜でも問題なし、テロへの警戒だけは怠らないようにしよう
ロンドンの危険エリアはブリクストン、ペッカムなどになり、観光客が立ち寄るような場所にはありません。唯一ブリック・レーン周辺には注意が必要になりますが、マーケット開催時は多くの人で賑わうため、治安面の問題はないと言えます。
ロンドン中心部については昼夜問わず、治安面の問題を見つけることはできませんでした。また、夜景撮影を行っていた際も、トラブルに遭うことも、目撃することもありませんでした。細い路地や人通りのない場所を避ければ、夜でも女性一人で出歩けるレベルです。そのため、ロンドン中心部は安全性の高い場所であると評価しています。
以上、ロンドン観光を計画する際はぜひ上記を参考にしてください。