チェコ共和国の首都「プラハ」で教会巡りをしませんか?
聖ペテロ聖パウロ教会付近から絶景が見られる?!勝利の聖母マリア教会で人集りができていた理由は?ノアの方舟にインスピレーションを受けたモダニズム建築の教会とは?
今回は「プラハのおすすめ教会10選」として、筆者がプラハ滞在でおすすめしたい教会10ヵ所を紹介します。古い歴史を持つ教会から1900年代前半に建てられた比較的新しい教会まで、幅広く紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
プラハのおすすめ教会10選
1.聖ヴィート大聖堂(Katedrála svatého Víta)
聖ヴィート大聖堂は、プラハ城内にある大聖堂。チェコの守護聖人「ヴァーツラフ1世(907年〜935年)」によって設立された教会が前身で、現在のゴシック様式の建物はプラハ司教区が大司教区に昇格した1344年に開始され、1929年に完成したもの。多くのボヘミア王が埋葬されているほか、チェコ共和国初代大統領のヴァーツラフ・ハヴェル(1936年〜2011年)の国葬が行われた場所でもあります。見所は、アルフォンス・ミュシャのステンドグラス(※写真)、聖ヴァーツラフ礼拝堂、豪華に装飾されたネポムクの聖ヨハネの墓などになります。詳細は以下の記事をご覧ください。
2.聖イジー聖堂(Bazilika svatého Jiří)
聖イジー聖堂は、プラハ城内に位置する聖堂。ボヘミア公「ヴラチスラフ1世(888年〜921年)」が10世紀前半に建設した教会が前身で、現在の立派なファサードは17世紀末にフランチェスコ・カラッティが設計したものだと言われています。ヴラチスラフ1世の墓、聖ヴァーツラフの祖母「聖リュドミラ」などが描かれた中世のフレスコ画などが見所になります。なお、詳細については以下の記事をご覧ください。
3.ティーン前の聖母マリア教会(Kostel Panny Marie před Týnem)
ティーン前の聖母マリア教会は、1350年〜1510年頃にかけて建設された教会で、旧市街広場近くに位置しています。12世紀頃のロマネスク様式の教会があった場所に、貴族などの支援により建てられました。建築様式はゴシック様式で、内部は白を基調に、絵画や主祭壇には金装飾が施されています。
15世紀前半からプラハのあるボヘミアはハプスブルク家の支配下になっていたため、天井にはハプスブルク家の紋章があります。そのほか、天文学者のティコ・ブラーエ(Tycho Brahe、1546年〜1601年)などが埋葬されています。ステンドグラスはあまりありませんが、きれいな祭壇の装飾は一見の価値ありです。なお、入口は広場側の飲食店のテラスとテラスの間を進むと、写真のような入口(門)があります。
※教会内は写真撮影禁止です。
4.聖ペテロ聖パウロ教会(Bazilika svatého Petra a Pavla)
聖ペテロ聖パウロ教会は、11世紀後半にボヘミア王「ヴラチスラフ2世(1035年頃〜1092年)」によって建てられた聖堂が前身。その後、建物は再建を繰り返し、1885年〜1887年にネオゴシック様式で再建されています。アール・ヌーヴォー様式による内部装飾、ゴシック様式のフレスコ画などが見所です。そのほか、入口の両サイドの扉には写真右のモザイク画が描かれています。ルミラ・シンデラージェ(Lumíra Šindeláře、1925年〜2010年)作で、向かって左側がギリシャ文字のアルファ、右側にはオメガ(※写真右)が描かれています。
■教会周辺から見る絶景も忘れずに!
教会は街のシンボルの一つですが、教会は高台の要塞に建てられているため、教会周辺から見る景色が最もおすすめです。プラハ中心部から若干離れているため、混雑していない点もポイントです。また、教会入口近くにあるトイレは無料で、安心して周辺を散策することができます。さらに、夜は警察によるパトロールが実施されていたため、安心して夜景撮影を行うことができました。
5.勝利の聖母マリア教会(Kostel Panny Marie Vítězné Pražské Jezulátko)
勝利の聖母マリア教会は、1611年に建設された教会。三十年戦争中に破壊され、その後再建されています。建築様式はバロック様式で、見所は幼子イエス像になります。幼子イエス像は、ボヘミア王国の最高議長だったヴラチスラフ2世(1530年〜1582年)のスペイン貴族出身の妻「マリー・マンリケ・デ・ララ・イ・メンドーサ(1538年頃〜1608年)」が結婚祝いとして母親から受け取ったものです。
入口には日本語を含む多言語で“ようこそ”と書かれた看板があります。壁は白く落ち着いた感じですが、主祭壇などは金装飾が施され、豪華な感じです。筆者が訪れた際は10名ほどが中におり、幼子イエス像の前に人集りができていました。なお、幼子イエス像の頭上にある冠は、ローマ教皇「ベネディクト16世(1927年〜2022年)」が2009年にこちらの教会を訪れた際に寄贈したものになります。
■幼子イエス像
6.聖リュドミラ教会(Bazilika svatého Ludmily)
聖リュドミラ教会は、1888年〜1892年にかけて建設されたネオゴシック様式の教会。設計はヨゼフ・モッカー(Josef Mocker、1835年〜1899年)が担当。美しいステンドグラスなどが見所。ステンドグラスは、フランティシェク・セラフ・シークエンス(František Seraf Sequens、1836年〜1896年)などがデザインを担当しています。
なお、ミサ中は多くの信者で埋め尽くされます。10代〜30代の若者の参加者が20%ほどおり、その他都市の教会で行われていたミサの参加者はほとんどが高齢者だったため、とても印象に残りました。なお、開館時間中でも門が閉められていることがあり、ミサ以外は開放されていない可能性には注意が必要です。
7.聖イリー教会(Kostel svatého Jiljí)
聖イリー教会は、14世紀に建てられた教会。13世紀にはすでにロマネスク様式の教会が建てられていました。聖ヴィート大聖堂に墓がある「ネポムクの聖ヨハネ」がいたことがある教会としても知られています。
バロック様式の若干威圧感のある内部、ヴァーツラフ・ヴァヴジネツ・ライナー(Václav Vavřinec Reiner、1689年〜1743年)が描いたフレスコ画などが見所です。筆者が午前11時前に訪問した際、1名の訪問者の方がおり、内部には厳粛な空気が流れていました。なお、こちらの教会にはヴァーツラフ・ヴァヴジネツ・ライナーなどが埋葬されています。
8.聖ミクラーシュ教会(Kostel svatého Mikuláše)
聖ミクラーシュ教会は、旧市街広場に位置するプラハ旧市街で最も古い教会の一つ。ゴシックもしくはロマネスク様式の教会が12世紀末に建てられていたと言われています。現在の建物は1732年〜1739年に再建されたバロック様式のもの。設計はキリアン・イグナク・ディエンツェンホーファー(Kilián Ignác Dientzenhofer、1689年〜1751年が担当。
中に入って驚くのが、一際美しいシャンデリアです。教会は一時ロシア正教会の教会として利用されており、ロシア皇帝「アレクサンドル2世(1818年〜1881年)が1880年に寄贈したものになります。そのほか、コスマ・ダミアン・アサム(Kosma Damian Asam、1686年〜1739年)、エギッド・クイリン・アサム(Egid Quirin Asam、1692年〜1750年)兄弟が聖ペテロの生涯を描いたフレスコ画も見所です。
旧市街広場に位置しているため、見学者は多く、筆者が訪れた際はツアー客を含めて40〜50人ほどがいました。なお、プラハ城側にも同名の教会があります。
9.主の聖心教会(Kostel Nejsvětějšího Srdce Páně)
主の聖心教会は、1928年〜1932年に建設されたモダニズム建築の教会。ヨジェ・プレチニック(Jože Plečnik、1872年〜1957年)が設計を担当。ヨジェ・プレチニックは近代建築の父とも呼ばれる「オットー・ワーグナー」の下で働き、経験を積んだ人物です。
建物は「ノアの方舟」にインスピレーションを受けたデザインで、建物の上部には宝珠を表している十字架があります。主祭壇にはキリスト像のほか、ネポムクの聖ヨハネ、ボヘミアの聖アグネス、聖ヴォイティエフ、聖ヴァーツラフ、聖リュドミラ、聖プロコピウスの像があります。
内部は金装飾で飾り立てる感じではありませんが、重厚感を感じる造りになっています。筆者が訪問した際は15名ほどの訪問者がいました。観光の中心部ではなく、住宅街にあるため、現地の方向けという印象が強い教会です。
10.聖ヘンリーと聖クンフタ教会(Kostel svatého Jindřicha a svaté Kunhuty)
聖ヘンリーと聖クンフタ教会は、14世紀に建設されたゴシック様式の教会。聖リュドミラ教会の設計を手掛けたヨゼフ・モッカーの監督により、1879年に大規模な再建が行われています。以下の写真のステンドグラスはその再建の際に入れられたものになります。なお、1472年〜1476年にかけて建設されたヘンリーの塔(Jindřišská věž)も教会の一部です。塔の高さは65.7メートルで、プラハで最も高い自立式鐘楼になります。
■ステンドグラス
最後に
入場料が必要なプラハ城側の聖ミクラーシュ教会(Kostel svatého Mikuláše)、ロレタ教会(Loreta)は割愛しています。聖ミクラーシュ教会はモーツァルトが演奏したパイプオルガンなどが、ロレタ教会は宝物などが見所です。興味のある方はぜひ訪れてみてください。
なお、今回紹介した教会の場所については、以下のグーグルマップで確認してください。それでは、こちらの記事を参考に、プラハで教会巡りを楽しんでみてください!