今回はイギリスの首都「ロンドン」の物価について紹介!
ロンドンは物価の高い都市というイメージが強いかもしれませんが、EU離脱懸念などでポンド・円の円安は一服し、直近10年では円高水準になっています。日本人にとって円高ポンド安は追い風になりますが、実際の物価はどうなのでしょうか?
今回は筆者がロンドンの物価について現地調査を実施。食料品、飲料水などの価格はスーパーマーケット「テスコ」で調べています。また、ビッグマックセット(M)の価格やホテル代、飲食費なども紹介。旅行者向けに特化した情報になりますので、ロンドン観光を計画されている方は参考にしてください。
ロンドンの物価について
■物価の高さ(5段階評価):★★★
ロンドンの物価の高さは星3つで評価しています。観光地の入場料や地下鉄の初乗り料金、レストランは高いですが、ビッグマックセットの価格はその他ヨーロッパ都市より安く、ホテル代も高い水準だとは言えません。5つ星ホテルでも早期予約なら2万円台で宿泊できるところが多く、日本人にとっては円高メリットが享受できる状況になっています。
食料品や各種飲料などスーパーマーケットで売られている商品については、フランスやイタリアとの比較でやや高い印象を受けましたが、気になるほどではありませんでした。サンドイッチは2ポンド(約260円)前後で購入できるほか、マーケットを活用すれば食費を抑えることもできます。1ポンド=190円台だった頃を考えると、日本人にとってロンドンの物価は大幅に下がったと言えます。
※2020年12月12日現在は1ポンド=137.55円。
■イギリスの付加価値税について
付加価値税(消費税)は20%(標準税率)になります。商品によって軽減税率が適用され、家庭用燃料や電力料は5%、食料品(一部除く)や医薬品、子供服などは0%になります。免税対象店(Tax Free)で購入した商品は免税になる可能性があるため、特に高額品を購入する際は免税になるか購入店で確認してください。
滞在費のモデルケース(1人で1週間滞在した場合)
- 4つ星ホテルの料金(6泊):10万2000円
- 飲食費(飲料水、食事):4万円
- 交通費(空港間移動含む):7000円
- お土産・その他費用:2万円
合計:16万9000円
4つ星ホテルは1泊1万7000円で計算(通常の掃除、ベッドメイキングはチップ不要)。飲食費は1日45ポンド、最終日は少なめにして合計300ポンドで計算。交通費は42ポンド(1日上限金額7ポンド✕6日)、ヒースロー空港とロンドン中心部の往復10.2ポンド(オイスターカード利用)の合計52.2ポンドで計算。お土産・その他費用はロンドン・パス(2日間)の99ポンド、お土産代50ポンドの合計149ポンドで計算しています。
なお、ホテルのグレードや飲食費、お土産などの費用を削減すれば、もっと安く滞在することも可能です。これからホテル代、飲食費などを紹介しますので、そちらから滞在費をイメージしてみてください。
ロンドンのホテル代について
ランク | 1泊あたりの料金(目安) |
5つ星ホテル | 2万円台前半〜 |
4つ星ホテル | 1万円台後半〜 |
3つ星ホテル | 1万円台前半〜 |
2つ星ホテル | 7000円前後 |
ホステル | 1500円前後 |
※料金は宿泊するホテルやシーズン、予約時期によって異なります。上記は一つの目安として参考にしてください。
ドミトリー形式のホステルは1泊1500円前後で、都市の規模を考慮すれば割安。共有バスルームの個室なら1泊4000円台から泊まることができます。ホステルは中心部より外にあるものが多いですが、治安を考慮するとできるだけ中心部、もしくは駅に近いホステルを選ぶといいと思います。3つ星、4つ星ホテルは中心部でも上記の価格ほどで宿泊することができます。
5つ星ホテル(早期予約)は1泊2万円台で泊まれるホテルが多い印象です。マリオット系のル・メリディアン・ピカデリー、コンラッド・ロンドン・セント・ジェームズ、ヒルトン・ロンドン・バンクサイドなど有名観光地に近い人気ホテルも早期予約なら2万円台で泊まることができます。そのほか、ザ・リッツ・ロンドン、マンダリン・オリエンタル・ハイドパーク・ロンドンは6万円台から、写真のフォーシーズンズ・ホテル・ロンドン・アット・パーク・レーンは1泊7万円台からになります。
ロンドンの飲食費について
品目 | 料金 |
飲料水(2L) | 0.45ポンド |
コカ・コーラ(1.5L) | 1.95ポンド |
オレンジジュース(1L) | 1.10ポンド |
ハイネケンのビール(650ml) | 2.00ポンド |
プリングルス(200g) | 2.50ポンド |
バナナ(5本) | 1.00ポンド |
ミックスサラダ(150g) | 1.00ポンド |
ビッグマックセット(M) | 4.69ポンド |
イングリッシュ・ブレックファスト(写真) | 10ポンド |
レストラン | 30ポンド |
※1ポンド=137.55円(2020年12月12日現在)
ビッグマックセット(M)、イングリッシュ・ブレックファスト、レストランを除く、全品目はスーパーマーケット「テスコ」で調査した価格になります。店舗により価格が異なる場合があるため、あくまで目安として考えてください。
飲料水(テスコブランド)は2リットルで0.45ポンド(約60円)、ヴォルビック(1.5L)は0.70ポンド(約93円)、エビアン(1.5L)は0.75ポンド(約100円)でした。日本との比較では割安感がありますが、フランスなどその他ヨーロッパ都市と比較した場合、水の値段は若干高い印象を持ちました。
ビッグマックセット(M)の価格については4.69ポンド(約620円)。イタリア・ローマは約810円、フランス・パリは約950円になるため、ヨーロッパ都市では割安だと言えます。特にローマより安いのは本当に驚きです。レストランについてはピンキリですが、30〜50ポンドほどを目安に考えておけば大丈夫だと思います。イスラム系レストランなどでは10ポンド以下で食事ができるほか、スーパーマーケットでは2ポンド前後でサンドイッチを購入することができます。
マーケット巡りで食費を節約!
ロンドンは移民の流入によって多国籍感が強まっています。そのため、マーケットではヨーロッパ、アジア、アフリカ、イスラムなど世界中の料理を味わうことができます。写真はバラ・マーケットで撮影したスペイン料理のパエリアですが、1人前7ポンド(約930円)で販売されていました。
マーケットで売られている料理の多くが6ポンド前後になるため、レストランより安く食事ができます。また、実際に料理が見れること、試食ができる店舗が多いことから、ハズレを引く可能性が低いこともマーケットで食事をするメリットになります。ロンドンのおすすめマーケットについては以下の記事をご覧ください。
■ロンドンのおすすめマーケットはこちら
ロンドンの主要交通機関の料金
ロンドンの主要交通機関は地下鉄、バスで、主な料金は以下の通りです。
■地下鉄料金表(片道)
ゾーン | 大人料金 | オイスターカード(ピーク) | オイスターカード(オフピーク) |
ゾーン1内 | 4.9ポンド | 2.4ポンド | 2.4ポンド |
ゾーン1〜2 | 4.9ポンド | 2.9ポンド | 2.4ポンド |
ゾーン1〜3 | 4.9ポンド | 3.3ポンド | 2.8ポンド |
ゾーン1〜4 | 5.9ポンド | 3.9ポンド | 2.8ポンド |
ゾーン1〜5 | 5.9ポンド | 4.7ポンド | 3.1ポンド |
ゾーン1〜6 | 6.0ポンド | 5.1ポンド | 3.1ポンド |
ゾーン2〜6 | 5.9ポンド | 4.4ポンド | 3.0ポンド |
※ピークは祝日を除く、月〜金の6:30〜9:30、16:00〜19:00になります。観光客の移動については基本的にゾーン1内になるため、ゾーン1内の料金を参考にしてください。
■バス料金(オイスターカード)
- 乗車料金(1回):1.5ポンド
※1日に引き落とされる上限料金「4.5ポンド」が設定されているため、1日に何度バスに乗車(ロンドン市内)しても4.5ポンド以上になることはありません。
オイスターカードは購入すべし!
オイスターカードはロンドン市内の公共交通機関で利用されている非接触型ICカードです。日本のSuica(スイカ)、PASMO(パスモ)のようなものになります。駅の窓口などで購入することができ、購入時にはデポジットの5ポンドが必要になります。そちらの5ポンドはカード返却時に返金されます。
上記の地下鉄料金のようにゾーン1内の移動では通常料金が4.9ポンドですが、オイスターカードを利用すると2.4ポンドになります。差額は2.5ポンドになり、短期滞在でも利用しない手はないほどお得なカードになります。さらに、利用ゾーンに応じた上限金額が設定されているため、1日に何度乗車しても上限以上の金額が差し引かれないようになっています。ゾーン別の上限金額は以下の通りです。
■地下鉄の上限金額(オイスターカード)
- ゾーン1内:7ポンド
- ゾーン1〜2:7ポンド
- ゾーン1〜3:8.2ポンド
- ゾーン1〜4:10.10ポンド
- ゾーン1〜5:12ポンド
- ゾーン1〜6:12.8ポンド
※ゾーン1内の場合、1日に何度利用しても7ポンド以上になることはありません。1日乗車券の価格が7ポンドといったイメージです。
なお、チャージ方法は、チケット販売機のセンサーにカードをあてると、現在の残額が表示されるので、「Top up pay as you go」を押すとチャージする金額が表示されます。そして、チャージする金額を指定し、現金もしくはクレジットカードで料金を支払い、再度オイスターカードをセンサーにあてて完了です。
ロンドンの主要観光地の入場料
観光地 | 料金 |
バッキンガム宮殿 | 25ポンド |
ウェストミンスター宮殿(ガイドツアー) | 26.50ポンド |
●ウェストミンスター寺院 | 23ポンド |
●セント・ポール大聖堂 | 20ポンド |
●タワー・オブ・ロンドン | 24.70ポンド |
●タワー・ブリッジ | 8.80ポンド |
ロンドン・アイ | 27ポンド〜 |
●ザ・シャード(展望台) | 27.2ポンド〜 |
●ロンドン動物園 | 22.91ポンド〜 |
ロンドン水族館 | 24ポンド〜 |
上記の通り、ロンドンの観光地はかなり入場料が高くなっています。日本円ではバッキンガム宮殿が約3300円、ロンドン・アイ(観覧車)が約3600円〜、ロンドン動物園が約3000円〜になります。これら3つの観光地を巡るだけで約1万円の出費になります。その一方、大英博物館やナショナル・ギャラリー、ロンドン自然史博物館などは無料で入ることができます。
なお、ウェストミンスター寺院やタワー・オブ・ロンドン、ロンドン動物園などを巡りたい方には「ロンドン・パス(THE LONDON PASS)」がおすすめ。上記リストでは黒丸(●)の付いた施設に入ることができます。また、テムズ川ボートクルーズ(19ポンド)、ホップオンホップオフバス(34ポンド)、チェルシーFCの本拠地「スタンフォード・ブリッジ」のセルフガイドツアー(24ポンド)なども含まれています。気になる料金は以下の通り。トラベルカード付きを選ぶと、地下鉄やバスなど公共交通機関が乗り放題になります。
■ロンドン・パスの料金
種類 | 通常料金 | トラベルカード付き料金 |
1デイパス | 75ポンド | 90ポンド |
2デイパス | 99ポンド | 119ポンド |
3デイパス | 125ポンド | 155ポンド |
6デイパス | 169ポンド | 214ポンド |
10デイパス | 199ポンド | 254ポンド |
お土産の値段について
大英博物館、ナショナル・ギャラリーなどでは展示物に関連した商品が多く販売されており、ナショナル・ギャラリー(写真)ではゴッホのひまわりをプリントしたお土産などを購入することができます。ゴッホ関連ギフトの主な料金はマグネットが3.5ポンド、マグカップが7.5ポンド、トートバッグが20ポンド、テディベアが25ポンドになります。
大英博物館ではキーホルダーが2.99ポンド、マグネットが2.99ポンド、マグカップが9.99ポンド、カレンダーが9.99ポンドほどで販売されています。葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」をプリントした商品もあります。定番のロンドンTシャツ(6ポンド)などもありますが、博物館などで一味違ったお土産を購入するとプレゼントした人にきっと喜ばれると思います。
総括
- 物価高は過去の話!円高傾向が日本人の味方に
- ビッグマックセットの価格はパリ、ローマより安い!
- 大英博物館、ナショナル・ギャラリーなど無料で入れる博物館が多い!
筆者は1ポンド190円台の時にもロンドンを訪問したことがありますが、その時は全てのものが高く、ある種の絶望感を感じたことを覚えています。ポンド・円は130円台まで円高が進み、日本人観光客にとっては非常に滞在がしやすい水準になっていると思います。“今ロンドンに行かなくていつ行くんだ”といった具合です。
レストランの料金は日本人にとって高く感じる水準ですが、ロンドンはマーケットが充実しています。至るところにマーケットがあり、多国籍料理を6ポンド(約800円)前後で食べることができます。そのようにして様々な文化に触れることができるのもロンドンの魅力だと思います。ぜひ、上記を参考にロンドン旅行を計画してみてください!