イタリア第4の都市「トリノ」のおすすめ観光地を紹介!
サヴォイア家が王宮として利用した建物は?トリノのランドマークは世界で最も高い博物館だった?イタリア王国の首相が通った老舗カフェとは?
今回は「世界遺産」「おすすめの観光地」「おすすめの博物館」「おすすめの教会」「老舗カフェ」「夜景スポット」のカテゴリーに分けてトリノのおすすめ観光スポットを紹介。筆者が撮影した写真も合わせて掲載しますので、トリノ観光の参考にしてください!
世界遺産(サヴォイア王家の王宮群)
1.トリノ王宮(Palazzo Reale di Torino)
16世紀に建設された司教の邸宅が起源。サヴォイア公「ヴィットーリオ・アメデーオ1世」に嫁いだフランス王アンリ4世の娘「クリスティーヌ・ド・フランス(Christine Marie de France、1606〜1663年)」の命により、1600年半ば頃に建物は再建されています。
その後、イタリア王国の王家「サヴォイア家」が1865年まで王宮として使用しています。アメデオ・ディ・カステッラモンテ(Amedeo di Castellamonte)などが設計を担当。栄華を極めた黄金時代に造られた豪華絢爛な金装飾、ヤン・ミエル(Jan Miel、1599〜1656年)によって描かれた天井画などが見所。チケットはサバウダ美術館や王立武器庫、考古学博物館などと共通になり、トリノ観光では外せない観光スポットになります。
料金:15ユーロ(第1日曜日は無料)
住所:Piazzetta Reale, 1, 10122 Torino
アクセス:トラム4・7番線「Duomo-Musei Reali」駅から徒歩3分
2.トリノ市立古典美術館(Palazzo Madama)
ローマ時代に建設された門、要塞が起源。14世紀初頭にサヴォイア=アカイア家(Savoia-Acaia)の所有物になり、城へと拡大。サヴォイア=アカイア家が断絶した後はサヴォイア家のゲストハウスなどとして利用されました。
その後、クリスティーヌ・ド・フランスなどが居住し、1600〜1700年代に改修されています。なお、バロック様式の特徴的なファサードはフィリッポ・ユヴァッラ(Filippo Juvarra、1678〜1736年)が設計し、1718〜1721年に建設されたもの。豪華な内部装飾に加え、アントネロ・ダ・メッシーナの絵画などが見所になります。
■15世紀に拡張された城の名残り
料金:10ユーロ
住所:Piazza Castello, 10122 Torino
アクセス:トラム13・15番線「Castello」駅からすぐ
3.カリニャーノ宮(Palazzo Carignano)
エマヌエーレ・フィリベルト・ディ・サヴォイア=カリニャーノ(Emanuele Filiberto Amedeo di Savoia-Carignano、1628〜1709年)の命により、1679〜1685年に建設された宮殿。グアリーノ・グアリーニ(Guarino Guarini)が設計を担当。1848〜1861年には議会下院として利用されました。
また、マリー・アントワネットの女官長「マリー・テレーズ・ルイーズ・ド・サヴォワ=カリニョン(1749〜1792年)」、イタリア王国の初代国王「ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世(1820〜1878年)」が生まれた場所になります。現在は一般公開されており、こちらの建物についても内部装飾が見所です。
料金:5ユーロ
住所:Via Accademia delle Scienze, 5, 10123 Torino
アクセス:トラム13・15番線「Castello」駅から徒歩2分
■イタリア統一国立博物館(Museo Nazionale del Risorgimento Italiano)
イタリア統一国立博物館はカリニャーノ宮に併設された博物館。写真はカルロ・アルベルト広場(Piazza Carlo Alberto)から撮影したカリニャーノ宮になります。議場が一番の見所で、イタリア統一の歴史を記録文書や絵画などを通して学ぶこともできます。
料金:10ユーロ
住所:Via Accademia delle Scienze, 5, 10123 Torino
アクセス:トラム13・15番線「Carlo Alberto」駅から徒歩3分
おすすめの観光地
4.モーレ・アントネリアーナ(Mole Antonelliana)
1863〜1889年に建設されたトリノのランドマーク。アレッサンドロ・アントネッリ(Alessandro Antonelli、1798〜1888年)が設計を担当。高さは167.5メートル(尖塔部分含む)で、世界で最も高い博物館とも言われています。
もともとはユダヤ教のシナゴーグとして建設が始められましたが、首都移転などでユダヤ人コミュニティが縮小、トリノ市が買収し、完成後は博物館などとして利用されています。2000年には国立映画博物館(Museo Nazionale del Cinema)がこちらに移転されています。なお、展望台に登ることができ、見晴らしの良さから観光客に人気の場所になっています。
料金(展望台):8ユーロ
住所:Via Montebello, 20, 10124 Torino
アクセス:トラム16(CD)番線「Palazzo Nuovo」駅から徒歩3分
5.カステッロ広場(Piazza Castello)
トリノ観光の中心地とも言える広場。上記で紹介したトリノ王宮、トリノ市立古典美術館に加え、トリノ王立図書館、サン・ロレンツォ教会などが位置しています。そのほか、広場にはヴィンチェンツォ・ヴェラ(Vincenzo Vela、1820〜1891年)作の彫刻「Monumento all’Alfiere dell’Esercito Sardo」、ピエトロ・カノーニカ(Pietro Canonica、1869〜1959年)作の騎馬像「Monumento ai Cavalieri d’Italia」もあります。なお、広場の噴水は夜になるとライトアップされています。夜も観光客で賑わっているので、気になる方は以下の記事を参考に訪れてみてください。
6.サンカルロ広場(Piazza San Carlo)
トリノ中心部に位置する1600年代に整備された広場。双子と呼ばれるサン・カルロ・ボッロメオ教会(Chiesa di San Carlo Borromeo)、サンタ・クリスティーナ教会(Chiesa di Santa Cristina)が位置しています。
また、広場中央にはカルロ・マロケッティ(1805〜1867年)作のサヴォイア公「エマヌエーレ・フィリベルト・ディ・サヴォイア(1528〜1580年)」の騎馬像があります。トリノは老舗カフェが多いことで有名ですが、こちらの広場にはCaffè San Carlo(1822年創業)、Caffè Torino(1903年創業)があります。
7.パラティーナ門(Porta Palatina)
ローマ時代、紀元前1世紀頃に造られた門。同時代に造られたローマ時代の門で最も保存状態の良い門の一つ。特徴的な2つのタワーは高さ30メートル超。写真では見切れていますが、入口付近にはガイウス・ユリウス・カエサルの銅像があります。また、門近くには守衛所の一部が残されているなど、トリノでも古代ローマ時代の雰囲気を存分に味わうことができます。
料金:無料
住所:Piazza Cesare Augusto, 10122 Torino
アクセス:トラム4番線「Porta Palazzo Sud」駅から徒歩2分
おすすめの博物館
8.エジプト博物館(Museo Egizio)
古代エジプトを専門にした世界最古の博物館。古代エジプトのコレクション数は3万点超で、世界2位の規模を誇ります。考古学者「ヴィタリアーノ・ドナティ(Vitaliano Donati、1717〜1762年)」がカルナック神殿などから発掘調査を通じてトリノへ送った数百点の遺物、カルロ・フェリーチェ・ディ・サヴォイア(1765〜1831年)がフランス領事「ベルナルディーノ・ドロヴェッティ」から購入した膨大なコレクションが展示物の中心になります。
パピルスに書かれた「死者の書」、ラムセス2世やセティ2世、ホルエムヘブ、エジプト神話に登場する神などの像、イシス神殿の祭壇などが見所。コレクション数が多いため、古代エジプト文明が好きな方はぜひ訪れてみてください。その一方、大英博物館でも同様の問題が発生していますが、コレクションの多くが盗品、略奪品のようなものであり、将来的にはエジプトに返還されるべきものだと言えます。
料金:15ユーロ
住所:Via Accademia delle Scienze, 6, 10123 Torino
アクセス:トラム4・15番線「Bertola」駅から徒歩4分
9.サバウダ美術館(Galleria Sabauda)
1832年に設立された美術館。サヴォイア家が3世紀に渡って収集した美術コレクションが展示されています。ジョヴァンニ・ベッリーニ、ティントレット、パオロ・ヴェロネーゼといったヴェネツィア派を代表する画家の作品に加え、レンブラント・ファン・レイン、ピーテル・パウル・ルーベンス、アンソニー・ヴァン・ダイクなどの作品が見所になります。トリノ王宮との共通チケットになるほか、第1日曜日は無料で入場できるため、気になる方はぜひ訪れてみてください。
料金:15ユーロ(トリノ王宮などと共通)
住所:Piazzetta Reale, 1, 10122 Torino
アクセス:トラム4・7番線「Duomo-Musei Reali」駅からすぐ
おすすめの教会
10.サン・ジョヴァンニ・バッティスタ大聖堂(Cattedrale di San Giovanni Battista)
4世紀に建設された3つの教会を起源に持つ1491〜1498年に建設された大聖堂。キリストの遺体を包んだとされる聖骸布が保管されている場所として知られています。特徴的な鐘楼は1468〜1470年に建設されたもの。ルネサンス、バロック様式が混在した建物はアメデオ・ディ・フランチェスコ・ダ・セッティニャーノ(Amedeo di Francesco da Settignano、1430〜1501年)が設計を担当。サヴォイア公国の王室関係者が埋葬されています。
料金:無料
住所:Piazza San Giovanni, 10122 Torino
アクセス:トラム4・7番線「Duomo-Musei Reali」駅から徒歩1分
■聖骸布のレプリカ
11.サン・ロレンツォ教会(Real Chiesa di San Lorenzo)
1668〜1687年に建設された教会。12世紀以前に建設された教会が起源。バロック様式の建物はグアリーノ・グアリーニ(Guarino Guarini)が設計を担当。アンドレア・ポッツォ(Andrea Pozzo、1642〜1709年)が手掛けた祭壇画などが見所になります。
料金:無料
住所:Via Palazzo di Città, 4, 10122 Torino
アクセス:トラム4・7番線「Garibaldi」駅から徒歩1分
12.サン・フィリッポ・ネリ教会(Chiesa di San Filippo Neri)
1675〜1730年に建設されたトリノ最大の教会。長さは69メートル、幅は37メートル。バロック様式、新古典主義建築の建物はフィリッポ・ユヴァラ(Filippo Juvarra、1678〜1736年)などが設計を担当。カルロ・マラッタ(Carlo Maratta、1625〜1713年)作の祭壇画などが見所になります。
なお、その他トリノの教会については以下の記事をご覧ください。
料金:無料
住所:Via Maria Vittoria, 5, 10123 Torino
アクセス:トラム13・15番線「Castello」駅から徒歩4分
老舗カフェ
13.カッフェ・フィオリオ(Caffè Fiorio)
1780年に創業した老舗カフェ。イタリア王国初代首相「カミッロ・ベンソ(Camillo Benso、1810〜1861年)」、イタリア王国第3代首相「ウルバーノ・ラッタッツィ(Urbano Rattazzi、1808〜1873年)」など政治家、貴族が通ったカフェとして知られています。また、トリノ滞在中にドイツの哲学者「フリードリヒ・ニーチェ」も訪れています。トリノ名物のビチェリン(Bicerin)、ジェラートが有名。カフェですが、食事も楽しむことができます。
予算:10〜25ユーロ
住所:Via Po, 8/C, 10124 Torino
アクセス:トラム13・15番線「Carlo Alberto」駅から徒歩1分
14.カッフェ・サン・カルロ(Caffè San Carlo)
1822年に創業した老舗カフェ。ジョヴァンニ・ジョリッティ、フランチェスコ・クリスピといったイタリア王国の元首相、イタリア共産党創設者の一人「アントニオ・グラムシ」などが通った場所。ムラーノガラスの大きなシャンデリアなど宮殿のような内装が特徴。こちらのカフェのおすすめもビチェリン。ビチェリンはホット・チョコレート、エスプレッソ、生クリームの3層からなる飲み物。老舗カフェでトリノ名物をいただくと観光の良い思い出にもなりますよ。
予算:6ユーロ〜
住所:Piazza San Carlo, 156, 10121 Torino
アクセス:トラム4・15番線「Bertola」駅から徒歩2分
夜景スポット
15.パノラミコ・モンテ・デイ・カップチーニ広場(Piazzale Panoramico Monte Dei Cappuccini)
サンタ・マリア・デル・モンテ教会(Chiesa di Santa Maria del Monte dei Cappuccini)前にある広場。小高い丘になっているため、トリノの街並みが一望できる場所になります。トリノ中心部に近く、夜景スポットとしておすすめ。筆者が訪れた際は雨が降っていましたが、天候の良い時でも観光客は少ないと思います。写真右側に見えるのがトリノのランドマーク「モーレ・アントネリアーナ」になります。訪れて損はありませんので、トリノ観光の際はぜひ訪れてみてください。
最後に
今回は紹介していませんが、トリノ中心部には世界遺産「ヴァレンティーノ城(Castello del Valentino)」もあります。トリノはサヴォイア公国(1562〜1714年)、イタリア王国(1861〜1865年)の首都だった場所であり、サヴォイア家を中心とする貴族文化が花開いた都市でもあります。
世界遺産や美術コレクションなど、サヴォイア家にまつわるものを見ることがトリノ観光を楽しむコツになります。また、通りの多くには回廊があるため、急な雨でも雨宿りをしながら移動できる点もポイントです。回廊の街を歩きながら宮殿などの歴史的建造物を巡る旅もおすすめです。
観光スポットは少ないですが、歴史的に重要なトリノの街は内に秘めた探究心がくすぐられる、そのような場所だと言えるかもしれません。ミラノから電車1本で気軽に行くことができ、日帰り観光でも十分楽しめます。ぜひ、当記事を参考にトリノ観光を楽しんでみてください!