マカオの世界遺産30ヵ所を写真付きで一挙に紹介します!
街のシンボル「聖ポール天主堂跡」に隠された秘密とは?マカオの名前の由来になった寺院があった?16世紀半ばにイエズス会が最初の拠点とした教会って?
マカオ半島の旧市街は「マカオ歴史地区」として2005年に世界遺産登録されています。22の歴史的建造物、8ヵ所の広場からなり、ポルトガル植民地時代の面影を感じることができるおすすめスポットになります。
今回は「観光客必見の名所」「キリスト教系施設・寺院」「ポルトガル植民地時代の建築物など」「要塞系」「広場」のカテゴリーに分けて合計30の世界遺産を紹介していきます。ぜひマカオ観光の参考にしてください!
観光客必見の名所
1.聖ポール天主堂跡(Ruínas de São Paulo)
1602~1640年に建設された教会跡。イエズス会によって建設され、建設当時はアジア最大のカトリック教会でした。1835年の火災で建物はファサード(正面壁)だけを残して焼失し、現在のような姿になりました。その際、宣教師「ルイス・フロイス」著の「日本史」の原本も焼失したと言われています。
聖ポール天主堂は迫害から逃れてきた日本人キリスト教徒も建築に関わっており、キリスト教を弾圧した徳川幕府とも言われるドラゴンを踏みつける聖母がファサードに彫刻されています。なお、ファサード下部の左右にはイエズス会を表す「IHS」のマークも彫刻されています。そのほか、聖ポール天主堂跡の裏側には天主教芸術博物館があるので、そちらも忘れずに訪れてください。
■後ろから見た聖ポール天主堂跡、聖母に踏まれるドラゴン
2.セナド広場(Largo do Senado)
歴史的建造物に囲まれたマカオ観光の中心地。ポルトガルの職人が手掛けた美しい石畳が特徴的で、夜になると写真のようなライトアップが行われています。広場にはこれから紹介する世界遺産「民政総署」と「仁慈堂」があり、近くには「聖ドミニコ教会」と「三街會館(関帝廟)」もあります。
■民政総署側
3.媽閣廟(Templo de A-Má)
15世紀に建設されたと言われるマカオ最古の中国寺院。都市形成がなされる前から存在し、マカオの地名の由来になったとも言われています。正門、中国式鳥居、4つのお堂で構成されており、境内にある建物の多くは19世紀に復元されたものになります。なお、道教の神、仏教の観音などが祀られています。
キリスト教系施設・寺院
4.聖ローレンス教会(Igreja de São Lourenço)
16世紀半ばにイエズス会が建設したマカオで最も古い教会の一つ。現在の建物はマカオ生まれのポルトガル人「トマス・アキノ」によって1846年に修築されたものになります。爽やかさのある内装、ステンドグラスが見所です。
5.聖アントニオ教会(Igreja de Santo António)
16世紀半ばに建設されたマカオで最も古い教会の一つ。イエズス会の修道士が最初に拠点とした場所になります。1638年に石造りの教会として再建された後、現在の建物は1930年に再建されたものになります。現地在住のポルトガル人が結婚式を挙げていたことから、花王堂と呼ばれていたことでも知られています。
6.聖ドミニコ教会(Igreja de São Domingos)
ドミニコ修道会が1587年に建設した教会。17世紀にバロック様式の建物に改修されています。ロザリオを持つ薔薇の聖母が祀られています。なお、隣接する鐘楼は博物館になっており、キリスト教関連の展示物を見ることができます。
7.聖オーガスティン教会(Igreja de Santo Agostinho)
スペインから来た聖アウグスチノ修道会の修道士によって1591年に建設された教会。現在の建物は1874年に修築されたもの。四旬節の最初の日曜日にマカオ独特の宗教祭事「パッソス聖体行列」が行われることでも知られています。
8.聖ヨゼフ神学院及び聖堂(Igreja e Seminário de São José)
聖ヨゼフ神学院は1728年にイエズス会によって設立され、バロック様式の聖堂は1746〜1758年に建設されたものになります。主祭壇には聖ヨゼフ像が祭られ、ドーム型の天井にはイエズス会を表す「IHS」のマークが刻まれています。なお、教会のみ訪問可能です。
■聖ヨゼフ神学院
9.大堂(カテドラル)(Igreja da Sé)
17世紀前半に建設された大堂(カテドラル)。建設当時はレンガ造りの建物でしたが、1835年の台風によって破壊されています。現在の建物は1937年に再建された建物になります。
10.プロテスタント墓地(Cemitério Protestante)
カーザ庭園に隣接している墓地。イギリス人宣教師「ロバート・モリソン」、イギリス人画家「ジョージ・チネリー」、東インド会社高官などがこちらで眠っています。そのほか、敷地内には「モリソン礼拝堂(※写真右)」などもあります。なお、墓地を撮影することに抵抗があったため、今回は入口(※写真左)及びモリソン礼拝堂の写真のみ掲載しています。
11.仁慈堂(Santa Casa da Misericórdia)
初代マカオ司教「ドン・ベルキオール・カルネイロ」によって1569年に建設されたアジア最古の慈善施設。1498年にポルトガル王妃「レオノール・デ・ヴィゼウ」が設立した慈善団体のマカオ支部として設立されました。現在は仁慈堂博物館として一般公開されています。
12.三街會館(Pagode Sam Cai Vu Cun)
18世紀後半に建設された道教寺院。三国志で有名な「関羽」が祀られているため、関帝廟とも呼ばれています。関羽は商売繁盛の神様として信仰を集めており、現地の商工会議所などと密接に結びついています。
ポルトガル植民地時代の建築物など
13.民政総署(Edifício do Leal Senado)
1784年に建設された新古典主義様式の建物。セナド広場の名前の由来にもなっている建物です。マカオ特別行政区の行政を司る「民政総署」の本庁舎として利用されています。
14.カーザ庭園(Casa Garden)
1770年に建設されたポルトガルの豪商「マヌエル・ペレイラ(Manuel Perreira)」の旧邸宅。その後、邸宅は東インド会社に貸し出され、幹部の住居として利用されました。現在は東方基金会の事務所になっています。
15.ドン・ペドロ5世劇場(Teatro Dom Pedro V)
1860年に建設された東アジアで最も古い西洋式劇場の一つ。ポルトガル国王「ペドロ5世(1837〜1861年)」が名前の由来。現在も公共イベント、祝賀会などの会場として利用されています。
16.港務局(Quartel dos Mouros)
1874年に建設された旧兵舎。イエズス会の拠点があったインドのゴアから派遣された連隊の宿泊施設として利用されていました。そのため、ムーア様式が取り入れられた建物になっています。現在は海事水務局として利用されています。
17.ロバート・ホー・トン図書館(Biblioteca Sir Robert Ho Tung)
19世紀後半に建設された建物。1918年に香港の実業家「ロバート・ホー・トン」が購入し、マカオ滞在時の住居として利用していました。彼の遺言により建物は政府に寄贈され、図書館として改装されています。図書館は1958年にオープンし、貴重な古書など約5000冊が所蔵されています。
18.鄭家屋敷(Casa da Cheang)
1869年以前に立てられた中国人実業家、文豪の「鄭観応」の旧住居。4000平米の大邸宅には複数の建物と中庭があり、中国式建築と西洋の影響を受けた建築技法が混在しています。なお、写真右の円になっている場所が記念撮影場所として人気です。
19.盧家屋敷(Casa de Lou Kau)
1889年頃に建設された中国人貿易商「盧華詔」の旧邸宅。建物は伝統的な中国式住居になっており、2階建てで、3つの中庭があります。2005年に一般公開されています。見学している人はまばらで、ゆっくり中国式の歴史的建造物を見たい方におすすめです。
20.ナーチャ廟(Templo de Na Tcha)
1888年に建設された民間伝承で伝わっている神童「哪吒(ナーチャ)」を祀っている寺院。19世紀後半にマカオで疫病が流行った際、1人のマカオ住民の夢にナーチャが現れ、山の水に薬草を煎じて飲むようにと伝えられました。指示通りにすると疫病が鎮まったため、ナーチャに感謝するためにこちらの寺院が建てられています。
要塞系
21.モンテの砦(Fortaleza do Monte)
1617~1626年にイエズス会の協力によって建てられた要塞。要塞には大砲や兵器工場、貯蔵庫、軍宿舎、井戸などがあり、長期戦にも耐えられるようになっていました。現在は大砲のレプリカが設置されているほか、頂上からはマカオの景色を見ることができます。
■モンテの砦から見たマカオの景色
22.ギア要塞(Fortaleza da Guia)
17世紀前半に建設された要塞。要塞には1622〜1638年に建設された教会、1865年に建設されたギア灯台があります。ギア灯台は中国沿岸初となる近代的灯台になります。教会はフレスコ画が見所です。なお、マカオで最も標高が高いところにあり、要塞からはマカオの景色が一望できます。
■ギア要塞から見た景色
23.旧城壁(Troço das Antigas Muralhas de Defesa)
1569年に建設された城壁。ポルトガル人が侵入者を防ぐ目的として建設し、オランダからの襲撃を受けて17世紀前半に防御壁は強化されました。その後は時間と共に崩壊し、聖ポール天主堂跡付近にあるものが現存する唯一のものになります。
広場
24.リラウ広場(Largo do Lilau)
鄭家屋敷近くに位置する広場。天然水が湧き出る水源があり、ポルトガル人が居住し始めたエリアの一つ。広場周囲にはパステルカラーの洋風建築物が現在まで残されています。
25.聖オーガスティン広場(Largo de Santo Agostinho)
聖オーガスティン教会に隣接する広場。上記で紹介した聖ヨゼフ神学院及び聖堂、ドン・ペドロ5世劇場、ロバート・ホー・トン図書館もこちらの広場にあります。
26.バラ広場(Largo do Pagode da Barra)
媽閣廟前に位置する広場。広場にはマカオ海事博物館(Museu Maritimo)などもあります。写真の通り多くのベンチが設置してあるため、休憩場所としても最適です。
27.大堂広場(Largo da Sé)
大堂近くに位置する広場。広場の壁にはアズレージョ(タイル)が貼られており、ポルトガルの雰囲気を感じることができる場所の一つ。広場にはゴミ箱が設置してあるので、大堂街などで購入した食べ物を食べる場所としておすすめです。
28.聖ドミニコ広場(Largo de São Domingos)
聖ドミニコ教会前にある広場。セナド広場に隣接しているほか、周辺は飲食店が多いため、夜でも多くの人で賑わっています。セナド広場から聖ポール天主堂跡方面に向かう際はぜひこちらの広場を通ってみてください。
29.イエズス会紀念広場(Largo da Companhia de Jesus)
聖ポール天主堂跡前に位置する広場。階段が記念撮影場所になっています。広場から伸びる通り「大三巴街」にはお土産屋さんなどがあり、時間帯次第ですが身動きができないほど混雑している場合があります。念のため、手荷物には注意するようにしてください。
30.カモンエス広場(Praça de Luís de Camões)
聖アントニオ教会やプロテスタント墓地、カーザ庭園に隣接している広場。広場の先にあるカモンエス公園ではおじさん達がボードゲームで楽しんでいる姿など、現地の人達の時間の過ごし方を見ることができました。のんびりと過ごしたい方に訪れていただきたい場所になります。
最後に
今回はマカオの世界遺産30ヵ所を紹介しました。ギア要塞を除く全ての世界遺産は媽閣廟〜カーザ庭園の間(徒歩30分)にあります。30ヵ所と聞くとものすごく多い印象を受けますが、半日観光でも全ての世界遺産を訪問することができます。
マカオはポルトガルの旧植民地であり、1500年代から大きな影響を受けています。そのため、旧市街を歩いていると洋風建築の建物を多く目にします。もちろん中国式建築、香港のような少し歴史を感じるコンクリート造りのマンションなどもあり、異文化のミックスされた街並みは本当に魅力的です。
マカオは街歩きを楽しみたい都市になります。ぜひ上記を参考に、徒歩で世界遺産巡りを楽しんでみてください。きっといい思い出になると思います。なお、上記の世界遺産の場所は以下のグーグルマップ(緑色)にまとめていますので、こちらも合わせて参考にしてください。