登山未経験の筆者が剱岳に登頂できた理由とは?
登山決行日はまさかの視界不良!しかし、悪天候が幸いした?!?!登山で役立った幼い頃の経験とは?
■剱岳登山について
筆者は2021年9月1日~2日にかけて、日本のアルピニスト憧れの山「剱岳」(標高2999メートル)への登山に挑戦しました。初めての本格的な登山でしたが、悪天候の中、無事に登頂することができました。今回は、登山未経験の筆者が剱岳登頂を果たせた3つの理由について紹介していきます。
なお、登山の様子は以下の記事をご覧ください。
※当記事は初心者による単独登山及び悪天候時の登山を推奨するものではございません。予めご了承ください。
登山未経験の筆者が剱岳に登頂できた3つの理由
それでは、登山未経験だった筆者が剱岳に登頂できた3つの理由を紹介したいと思います。それは以下の3点です。
- 山で遊んだ経験が豊富だった
- 最小限の荷物しか持って行かなかった
- 自分のペースで登ることができた
これからその「3つの理由」について説明したいと思います。
1.山で遊んだ経験が豊富だった
筆者は広島県出身で、山を切り開いた住宅地(広島県ではそのような住宅地を「団地」と呼びます)で育ちました。3歳くらいの頃から年上の子達と山で「探検ごっこ」などをして遊び、小学生の頃になるとセミ捕りをしたり、秘密基地を作ったり、遊び場と言えば「山」でした。
また、都会の方には考えられないことだと思いますが、小学生時代は片道約1時間掛けて歩いて登校していました。一山越えて通学するため、山にある近道を通ったり、コンクリートの法面(のりめん)に登って遊んだりしながら登下校をしていました。ビジネス登山家より、山で過ごした時間は長いと自負できるほど、少年時代は常に山の中で遊んでいました。
それでは、どのような場面で上記のように遊んだ経験が活きたか、以下の2つのポイントで説明したいと思います。
- 法面や岩場で遊んだ経験
- ルート作成能力
■法面や岩場で遊んだ経験
写真の「カニのたてばい」は剱岳登山で難関とされている場所になります。
こちらではコンクリートの法面や山の岩場で遊んだ経験が活きたと感じています。筆者が遊んでいたコンクリートの法面は角度があり、足場は滑りやすく、もちろん鎖や人口的な足場はありませんでした。そのような場所で、手足の使い方が自然に身に付き、手(足)を掛けて良い場所・悪い場所の判断もできるようになっていたのだと思います。
なお、登山について調べていると、「三点支持」の重要性について説明しているものがありました。三点支持という言葉は知りませんでしたが、法面や山の岩場ではそのようにしないと危険だったため、自然と身に付いていました。ただし、「足で登る」という点には注意が必要だと思います。もちろんその通りだと思うのですが、岩場を登る際は「指」できちんとグリップできているかを確認して登った方が良いと思います。そうしないと、足が滑った時に指で体を支えきれず、滑落する危険があるためです。
■ルート作成能力
写真は剱岳の登山道ですが、白いペンキで丸が2つ書かれています(写真左の中央、やや上)。それが進むべき道の目印なのですが、目印が遠い、もしくは動いている場合があり、どのように行けば良いか分からない場面も多々ありました。
筆者が遊んでいた山には当然ですが目印などありませんでした。そこで、A地点に行くにはどのルートを進むべきか、自分自身で考える必要がありました。子供ながらにどのルートを通れば安全にA地点に行けるかを考えていたわけです。そのようなルート作成能力が剱岳登山では大いに役立ちました。逆に、ルートを作成できない方は遠回りによる体力消耗リスク、危険な方向に進んでしまうリスクがあると思います。
2.最小限の荷物しか持って行かなかった
続いて、2つ目の理由「最小限の荷物しか持って行かなかった」についてです。筆者が剱岳登山で持って行ったものは以下の5点です(衣服除く)。
- ヘルメット
- トレッキングポール
- セルフビレイ用のコードとカラビナ
- ウォーターキャリー
- カロリーメイト
盗難リスクを考え、テントや寝袋などを入れたバックパックを持って行くことも考えましたが、8キロほどの荷物を背負って登山をするリスクの方が高いと判断し、荷物は置いていくことにしました。
これからカロリーメイトを除く、持ち物について紹介したいと思います。
■DICプラスチックの超軽量ヘルメット「軽神」
値段は4000円前後で、重さは何と270g!
落石などから頭を守るためにヘルメットの装着は必須とのことで、筆者はこちらのヘルメットを購入、携行しました。登山用のヘルメットは値段が高く、こちらより軽いものが少なかったため、厚生労働省の保護帽規格「飛来・落下物用」及び「墜落時保護用」の検定に合格していることも考慮し、こちらのヘルメットを選択しました。
ツバ付きですが、視界が遮られていると感じることはありませんでした。また、ツバ付きの方が岩が顔に当たるリスクを軽減してくれると思います。重さは270gと軽く、装着時の違和感はありませんでした。そのため、筆者はこちらの超軽量ヘルメット「軽神」をおすすめします。白以外にも様々な色があるので、ぜひAmazonでご覧ください。
■モンベルのU.L.フォールディングポール120
膝の負担軽減のためにも、トレッキングポールは携行すべきだと思い、持って行きました。比較的コンパクトに畳むことができるため、岩場など使用しない場面ではポケットの中に入れて登りました。163gと軽いですが、剱岳・立山登山では壊れることなく、活躍してくれました。グリップ感も良いのでおすすめです。なお、筆者は120cmのものを使用していますが、購入する場合は店舗でご自身に合ったサイズを購入してください。
■セルフビレイ用のスリングとカラビナ
「カニのたてばい」などでの使用を想定していたセルフビレイ用のスリングとカラビナ。商品名は上からカラビナ「ネオクラシック ストレート」、スリング「15mm ナイロンスリング 60」、カラビナ「カーム HMSスクリュー」、スリング「15mm ナイロンスリング 120」になります。使用することはありませんでしたが、安全対策として持って行きました。
■ウォーターキャリー
筆者はエバニューのウォーターキャリー(1.5L)を購入し、携行しました。購入の理由は、価格面及びAmazonでベストセラーになっていたためです。
実際に使用してみると、そのタフさに驚かされます。岩場に置いても破れることはなく、置き場所の面で神経を使うことはありませんでした。また、キャップから水が漏れることはなく、これがないと登山ができないと思わせてくれたほど信頼度の高い道具になりました。
なお、剱沢キャンプ場から剱岳は往復約6時間ほど掛かり、剣山荘より先には水場がないため、1.5Lもしくは2Lのウォーターキャリーを持っておくと安心だと思います。
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3.自分のペースで登ることができた
最後に、3つ目の理由「自分のペースで登ることができた」についてです。登山日は小雨が降ったり止んだりする天気で、視界も良くありませんでした。そのため、2人の登山者にしか会わず、自分のペースで登ることができました。
剱岳登山について調べると、「カニのたてばい」などで渋滞が発生すると書かれているものがあります。きっと居合わせた人は「自分のペースで行っていいよ」などと声掛けをしてくれると思いますが、早く行かなければならないという静かなるプレッシャーに襲われることは想像に難くありません。
「カニのたてばい」など足を踏み外すと命に関わるような場所では、やはり自分のペースで登れるか否かがとても重要だと思います。筆者はそのようなプレッシャーを感じやすいため、筆者にとっては悪天候が幸いしたと言えます。ただし、天気の変化などに細心の注意を払う必要があることは言うまでもありません。
なお、小雨で登っている際にとても役立ったのが、以下の登山用手袋になります。
■ミレーの登山用手袋
薄手ですがグリップ力は高く、濡れた鎖や岩などもしっかり掴むことができました。また、乾きやすい素材のため、濡れても不快感を感じることはありませんでした。ミドリ安全の作業手袋などでも代用は可能だと思いますが、登山用の手袋を購入しておけば間違いはないと思います。
最後に
登山における初心者には二通りあると思います。「山に慣れている人」、そして「山に慣れていない人」。筆者は山で遊んだ経験が豊富だったため、初めての本格登山でも剱岳登頂を果たすことができたのかもしれません。もちろん、自分自身の能力を過信することなく、常に慎重に行動した結果とも言えます。
筆者はスタート時に小雨が降っていたため、雨対策は万全でしたが、晴れている場合でも念のため雨具を持って行くなどの対策が必要だと思います。さらに、事故が起こらないとは限らないため、モンベルの山岳保険、もしくはYAMAPの登山保険などに入っておくと安心です。
なお、運動不足の方、都会育ちで山で遊んだことのない方は、いきなり剱岳の山頂を目指すのではなく、立山の室堂周辺の散策から始められても良いと思います。
以上、剱岳登山は初心者でも可能ですが、安全面には十分注意してください。