北欧の玄関口として知られるデンマークの首都「コペンハーゲン」は、美しい運河沿いの街並みと歴史的建造物、豊かな文化が調和する魅力的な都市です。観光地としての見所も多く、色彩豊かな港町「ニューハウン」や、アンデルセン童話で知られる「人魚姫の像」など、デンマークらしい風景が点在しています。
さらに、王室の気品漂うアマリエンボー、市内を一望できるクリスチャンスボー城の塔など、建築美と歴史を体感できるスポットも充実。美術館や博物館も豊富で、アートや歴史に触れたい旅行者にも最適です。
こちらの記事では、初めての旅行者からリピーターまで楽しめる、コペンハーゲンの観光地を10か所厳選して紹介します。街歩きをしながら、デンマークの文化や暮らしに触れる旅をぜひお楽しみください。
THE コペンハーゲンの観光スポット
1. ニューハウン(Nyhavn)
ニューハウン(Nyhavn)は、デンマーク=ノルウェー王「クリスチャン5世」の命により、17世紀に建設された人工の港。もともと軍艦や商船が発着する交通の要所で、船乗りや労働者が集う酒場街として知られました。現在は、色とりどりの歴史的建物が並ぶ人気観光地に生まれ変わっています。童話作家のアンデルセンが暮らした場所としても有名で、彼が住んだ家(Nyhavn 67)は今も残されています。
運河沿いにはカフェやレストランが並び、食事を楽しみながら美しい景色を眺められるのが魅力です。夏には観光船が行き交い、冬にはクリスマスマーケットも開かれるなど、季節ごとに異なる雰囲気が味わえます。絵になる風景が多く、コペンハーゲンらしさを満喫できる代表的なエリアの一つです。
- Nyhavn 67(写真中央の細い建物)
- ニューハウンの建物
2. 人魚姫の像(Den Lille Havfrue)
人魚姫の像(Den Lille Havfrue)は、1913年に公開されたコペンハーゲンを代表する観光名所の一つ。人魚姫の像は、カールスバーグ創業者の息子カール・ヤコブセンが「人魚姫」を題材にしたバレエに感動し、彫刻家「エドヴァルド・エリクセン」に依頼して制作されました。
ブロンズ製の像は高さ約1.25メートルと小柄ながら、静かに海を見つめる姿が印象的です。日本では「世界三大がっかり名所」として扱われていますが、観光の定番ルートとして多くの人が訪れています。近くにはカステレット要塞があるほか、アマリエンボーから徒歩で行くことができるため、一度は訪れておきたい観光スポットです。
■人魚姫の像を訪れる観光客
定番の観光スポット
3. アマリエンボー(Amalienborg)
アマリエンボー(Amalienborg)は、デンマーク王室の冬の居城として使われている宮殿。18世紀半ばにロココ様式で建設されました。フレデリクス教会と軸を成すように、八角形の広場を囲むように4つの宮殿が配置されており、王族の公邸と迎賓館として利用されています。
現在も実際に王室が居住しているため、国家の象徴として高い格式を保ちつつも、広場では衛兵の交代式が毎日公開され、観光客に開かれた存在でもあります。華やかな宮殿建築と衛兵の姿を見ようと多くの観光客が訪れる人気スポットです。なお、広場中央にはデンマーク王「フレゼリク5世(1723〜1766年)」の騎馬像があります。
- モルトケ宮殿(Moltke’s Palace)
- フレデリクス教会(Frederiks Kirke)
4. コペンハーゲン市庁舎(Københavns Rådhus)
コペンハーゲン市庁舎(Københavns Rådhus)は、イタリアのシエナ市庁舎にインスピレーションを受けて1892〜1905年に建設されたナショナル・ロマンティシズム建築の建物。設計はデンマークの建築家「マルティン・ニューロップ」が担当しています。
レンガ造りの外観と約105メートルの塔が印象的です。歴史的建築に興味のある方は必見です。なお、市庁舎横にはアンデルセンの像が、市庁舎前の広場には1923年に完成したドラゴンの噴水(Dragespringvandet)があります。
- アンデルセンの像
- ドラゴンの噴水(Dragespringvandet)
5. ローゼンボー城(Rosenborg Slot)
- ローゼンボー城(Rosenborg Slot)
- 王の庭園(Kongens Have)
ローゼンボー城(Rosenborg Slot)は、1606年にデンマーク王「クリスチャン4世」によって建設されたルネサンス様式の美しい城。当初は王の郊外の離宮として使われていました。赤レンガの優雅な外観と尖塔をもつデザインは、デンマーク王室の栄華を今に伝える貴重な建築物です。
内部は豪華な装飾が施された部屋が連なり、17世紀から19世紀にかけての王室コレクションが展示されています。なお、美しい庭園「王の庭園(Kongens Have)」にも隣接しており、散策にも最適。歴史と美に触れながらゆったりと過ごしたい旅行者におすすめの観光地です。
6. クリスチャンスボー城(Christiansborg Slot)
クリスチャンスボー城(Christiansborg Slot)は、コペンハーゲンの中心地のスロッツホルメン島に位置する宮殿。現在の建物は1928年に完成した3代目で、以前の城は火災により失われました。デンマーク議会、内閣府、最高裁判所が同居する世界でも珍しい建築で、王室の公式行事にも使われるため、政治と王室文化が交差する場所になっています。
豪華な王室のレセプションルーム、歴代女王のタペストリーが飾られた謁見の間、地下の中世の城跡や遺構が公開されています。また、入場無料の塔からは市街地を一望でき、観光スポットとしても人気です。
7. 王立劇場(Det Kongelige Teater)
- 王立劇場(Det Kongelige Teater)
- コンゲンス・ニュートー広場(Kongens Nytorv)
王立劇場(Det Kongelige Teater)の本館は、1874年に建設された歴史的建造物で、ニューハウン近くのコングンス・ニュートー広場に位置しています。この建物は、バレエ、オペラ、クラシック演劇の上演を目的に建てられ、現在でも「ガメル・スカウスピルフス(旧舞台)」として親しまれています。壮麗なネオ・ルネサンス様式の外観と、金箔装飾が施された豪華な内装は、デンマークの芸術文化の象徴ともいえる存在です。公演以外でも、英語のガイドツアーなどで中に入ることができます。
8. カステレット要塞(Kastellet)
カステレット要塞(Kastellet)は、デンマーク王「クリスティアン4世」の命により建設が開始され、17世紀中頃に完成した星形の稜堡式要塞。五角形に広がる独特の構造と堀、風車、赤レンガの兵舎などが当時の軍事建築の面影を残しており、デンマーク軍の施設として今なお一部が使用されています。
カステレット要塞は一部を除いて観光客に開放されており、城壁の遊歩道を歩きながら歴史ある景観と静かな雰囲気を楽しむことができます。近くの公園には多くの桜が植えられており、春になると多くの人達が花見を楽しんでいます。人魚姫の像を見た後、のんびりと観光を楽しみたい方におすすめの場所です。
- 海軍士官協会の本部
- カステレット要塞内
博物館
9. コペンハーゲン国立美術館(Statens Museum for Kunst)
コペンハーゲン国立美術館(Statens Museum for Kunst)は、1896年に設立されたデンマーク最大の美術館。ニコライ・アビルゴール、クリストファー・ヴィルヘルム・エッカースベルグ、クリステン・コブケなどデンマーク美術の巨匠たちの作品に加え、クラナッハ(父)やルーベンス、レンブラント、エル・グレコ、マティス、ピカソなどのヨーロッパ絵画も数多く収蔵。中世から現代アートまで幅広い時代の作品を展示しています。ミュージアムショップも併設されており、アートに興味のある方におすすめの美術館です。
※金曜日が無料になるSMKフライデーが年に数回開催されています。
10. デンマーク国立博物館(Nationalmuseet)
デンマーク国立博物館(Nationalmuseet)は、1807年に設立されたデンマーク最大の文化・歴史系博物館。先史時代から現代までのデンマークと世界の歴史を網羅する充実した展示が特徴。特に有名なのは青銅器時代の「太陽の馬車」、紀元前1世紀頃のものとされる「グンデストルップの大釜」、ヴァイキング時代の武具・装飾品など。歴史や考古学、文化人類学に興味のある方におすすめです。
最後に
コペンハーゲンには、歴史的建造物や美術館、自然と調和した都市空間など、多様な魅力が凝縮されています。港町らしい開放感と、王室文化に象徴される格式、さらには現代的な感性が同居する都市だからこそ、観光のスタイルもさまざま。徒歩で巡れるコンパクトさもあり、効率的に観光地を楽しめるのも大きな魅力です。
短期滞在でも充実した時間を過ごせる一方で、じっくりと美術館や庭園を巡る深い旅も可能。訪れる季節によって異なる表情を見せてくれるのも、この街の奥深さです。今回紹介した観光スポットを出発点に、ぜひご自身のペースで街の魅力を発見してみてください。
なお、今回紹介した場所は以下のグーグルマップで確認してください。