早速ですが、モナコの物価についてみなさんはどのようなイメージをお持ちですか?
世界中から富裕層が集まり、港には大きなクルーザーが停泊する、そんな豪華なイメージによってモナコは物価が高いと思われています。しかし、実際の物価はどうなのでしょうか。
今回はモナコに何度も滞在した筆者が物価について調査を行い、飲食費やホテル代を中心に観光客向けに特化した物価情報をお届けします。ぜひ、モナコ観光を計画する際の参考にしてください。
物価の定義について
モナコの物価を紹介する前に、物価の定義について紹介します。
モナコには多くの富裕層が移住しているため、クルーザーや高級車、ハイブランド製品が街に溢れています。しかし、それらはモナコでなくても高級品です。よって、高級品が売られている=物価が高いとはならないはずです。
当記事における物価の定義は、マクドナルドのビッグマックのような世界中で提供されている商品の価格が「高い」か「安い」かになります。その定義に照らし合わせると、モナコの物価が高いというのは大嘘ということになります。
これから筆者がスーパーマーケット「カルフール」などで調査したデータを踏まえ、モナコの物価について解説していきます。
モナコの物価について
■物価の高さ(5段階評価):★★★
モナコは物価が高いと言われていますが、物価水準はその他ヨーロッパ都市とあまり変わりません。むしろ安い場合も多々あります。
上記の定義で挙げたマクドナルド・ビッグマックセット(M)の料金は7.3ユーロ(約860円)になります。これはフランス・パリの8.1ユーロより安く、モナコ近くに位置するフランス・ニースと同じ価格です。その他ヨーロッパ都市のビッグマックセットの価格は7ユーロ前後になり、モナコの価格は高額とは言えません。
また、飲料水の価格については、安いもので1.5リットル0.25ユーロ(約30円)。日本でも知られている飲料水は、エビアン(1.5L)が0.64ユーロ(約75円)、ボルヴィック(1.5L)が0.8ユーロ(約95円)で売られていました。これらは「カルフール」で確認した価格になります。
■付加価値税について
付加価値税(消費税)はフランスと同じ20%(標準税率)になります。商品によっては軽減税率10%、5.5%が適用されます。食料品は軽減税率の5.5%が適用されるはずですが、筆者が購入したレシートには税金の項目がありませんでした。税込み価格の可能性はありますが、税金が課せられていない可能性もあります。
滞在費のモデルケース(1人で1週間滞在した場合)
- 4つ星ホテルの料金(6泊):13万円
- 飲食費(飲料水・食事など):3万5000円
- 交通費(ニース空港間移動含む):6500円
- お土産・その他費用:1万円
合計:18万1500円
算出方法については、4つ星ホテルは1泊2万円で計算(チップ等も考慮)。飲食費は1日45ユーロで計算(最終日は少なめ)。交通費は空港間移動の33ユーロ(往復バス)、4日分の1日乗車券(バス)の22ユーロで計算。お土産・その他費用は予想される許容範囲の金額で計算しています。
なお、上記の金額は比較的ゆとりを持ったプランになります。ホテルのグレードや飲食費、お土産などの費用を削減すれば、もっと安く滞在することも可能です。ここからホテル代や飲食費について紹介していきますので、滞在費を考える際の参考にしてみてください。
モナコのホテル代について
ランク | 1泊あたりの料金(目安) |
5つ星ホテル | 4〜6万円 |
4つ星ホテル | 2〜3万円 |
3つ星ホテル | 1万8000円 |
※宿泊するホテル、シーズンによって料金は異なります。上記は一つの目安として参考にしてください。
3つ星ホテル「ノボテル・モンテカルロ」は1泊1万8000円ほど、4つ星ホテル「ル・メリディアン・ビーチ・プラザ」は1泊2万円ほど、5つ星ホテル「オテル・エルミタージュ・モンテカルロ」は1泊4万円ほど、5つ星ホテル「オテル・ド・パリ・モンテカルロ(※写真)」は1泊6万円ほどになります。
F1シーズンなどを除き、ホテル代についてもその他ヨーロッパ都市と比較して高いという印象は持ちませんでした。ドミトリー形式のホステルはありませんが、ホテル代を節約したい方は隣接するフランス側のホテルがおすすめです。フランス側「ボーソレイユ(Beausoleil)地区」では7000円台(3つ星ホテル)で宿泊することができ、もちろんカジノ広場までは徒歩圏になります。
モナコの飲食費について
品目 | 料金 |
飲料水(1.5L) | 0.25ユーロ |
ペプシコーラ(1.5L) | 1.47ユーロ |
オレンジジュース(1L) | 0.99ユーロ |
ハイネケン(330ml缶✕6) | 5.49ユーロ |
ポテトチップス(130g) | 1.44ユーロ |
日清カップヌードル | 1.96ユーロ |
フォカッチャ | 1ユーロ |
サンドイッチ | 3~6ユーロ |
ビッグマックセット(M) | 7.3ユーロ |
レストラン | 30〜50ユーロ |
※1ユーロ=123.95円(2020年11月27日現在)
飲料水はカルフールで購入した場合、1.5リットル0.25〜0.8ユーロほど、その他の場所では500mlで1ユーロほどになります。飲料水の値段はその他ヨーロッパ都市とあまり変わりません。ペプシコーラ(1.5L)はやや安めといった印象。ハイネケンは1缶(330ml)1ユーロ以下で売られているほか、ポテトチップスやその他つまみになりそうな食べ物も2ユーロ前後で売られています。
レストラン系では上記の通り、マクドナルドのビッグマックセット(M)は7.3ユーロで、フランス・パリの8.1ユーロより安い水準です。一般的なレストランの予算については30〜50ユーロほどになります。旧市街の安めのレストランでは10〜15ユーロほどで食べることができます。そのほか、スーパーマーケットではサンドイッチが2ユーロ台から販売されているため、滞在費を抑えたい方はスーパーを積極的に活用してみてください。
モナコの公共交通機関の料金
モナコの主要交通機関はバスで、主な料金は以下の2つになります。
- 1回券:2ユーロ
- 1日券:5.5ユーロ
モナコのバスは1~6番線まであり、8~11分間隔で走行しています。チケットはバスの運転手、ネット経由で購入することができます。1日乗車券はどちらで購入しても5.5ユーロになるため、バスの運転手から購入する方がおすすめです。
そのほか、モナコにもタクシーはありますが、日本のように流しのタクシーは基本的に走っていません。そのため、タクシー乗り場に行くか、電話・専用ボタンで呼ぶことになります。なお、モナコは坂の街ですが、各所に無料のエレベーターがあります。それらを有効的に利用することで、上手に観光を楽しむことができます。
ニース・コート・ダジュール空港からモナコへ
ニースのコート・ダジュール空港からモナコへはシャトルバス(※写真)が出ています。
料金は片道22ユーロ、往復33ユーロ。運行スケジュールについては、コート・ダジュール空港からモナコへは午前8時から午後10時まで大体30分間隔、モナコからコート・ダジュール空港へは午前6時35分から午後7時40分まで大体30分間隔でバスが出ています。なお、詳しいスケジュール、最新情報はバス会社の公式サイトで確認してください。
なお、イタリア側からもモナコに行くことができます。筆者はイタリア・トリノから電車に乗り、ジェノバ乗り換えでモナコへ行ったことがあります。ローマやその他都市から行く場合もジェノバやミラノなどで乗り換えて行くことができます。ローマから行く場合はジェノバ乗り換えで9時間弱の時間が掛かります。料金は片道40ユーロ以下、安いもので30ユーロ以下で行くことができるので、イタリア各都市を周遊しながらモナコに行くのもおすすめです。
モナコの主要観光地の入場料
観光地 | 料金 |
カジノ・ド・モンテカルロ | 17ユーロ |
大公宮殿 | 8ユーロ〜 |
モナコ海洋博物館 | 11ユーロ〜 |
モナコ外来植物園 | 7.2ユーロ |
モナコ新国立美術館 | 6ユーロ |
切手とコインの博物館 | 3ユーロ |
モナコ大公の自動車博物館 | 8ユーロ |
カジノ・ド・モンテカルロはモナコの象徴のような場所ですが、ドレスコードがあるため注意が必要です。また、大公宮殿は訪問可能時期が限られています。各主要観光地の詳しい情報は以下の記事を参考にしてください。
番外編
豪華過ぎるクルーザー、お値段は200億円超?!
ここまでモナコの物価は言われているほど高くないと言ってきましたが、これぞモナコという話題も提供したいと思います。
エリキュール港には多くのクルーザーが停泊しています。F1シーズンになると、セレブがクルーザーからレースを見ることが風物詩のようなものになっています。見るからに高そうなクルーザーが多く停泊していますが、筆者の目を引いたのが写真を掲載した巨大クルーザーになります。
クルーザーの名前は「ロイヤル・ロマンス(ROYAL ROMANCE)」で、価格は2億1400万米ドル(約230億円)。長さ92.5メートル、5階建てのクルーザーにはエレベーターはもちろん、プールなどもあります。モナコのクルーザー販売店では高いもので600万ユーロ(約7億円)ほどだったため、いかにロイヤル・ロマンスがずば抜けて高いかが分かります。
また、所有者はウクライナの親ロシア派の政治家「ヴィクトル・メドヴェドチュク(Viktor Medvedchuk)氏」になります。同氏はロシアのプーチン大統領と親密で、プーチン大統領が彼の娘の名付け親になるほどです。何気なく撮影したクルーザーでも、所有者を調べてみると興味深い事実が浮かび上がってくるのもモナコの面白いところだと思います。
総括
- モナコの物価は高くない!
- スーパー「カルフール」を活用すれば節約可能!
- フランス側のホテルを利用するとホテル代は安くなる!
上記の通り、その他ヨーロッパ都市と比較した場合、モナコの物価は高くありません。
モナコには「カジノ(※写真左)」、「カルフール」という2つのスーパーがあります。エリキュール港近くにある「カジノ」はあまり安くありませんが、サンドイッチは5ユーロほど、クロワッサンは0.9ユーロで購入することができます。フォンヴィエイユ・ショッピング・センターにある「カルフール(※写真右)」は巨大で、何でも安く揃います。さらに、カジノ広場から徒歩9分の場所にも「カルフール」があります。滞在費を抑えたい方はこれらのスーパーマーケットを上手に活用してみてください。
また、ホテル代については、フランス側「ボーソレイユ(Beausoleil)地区」にあるホテルに宿泊すると費用を抑えることができます。1泊7000円台の3つ星ホテルがあり、モナコよりお得な値段で宿泊することができます。ボーソレイユ地区にある多くのホテルがカジノ広場まで徒歩圏にあるため、フランス側と言っても場所はほぼモナコです。
なお、上記の料金については筆者が現地で確認したもの、各ホームページで確認したものを掲載しています。F1開催時などシーズンによって各料金は変動する場合があります。その上で当記事を旅行計画の参考にして頂ければ幸いです。