ニシン漁、石炭の積み出し港とした栄えた小樽で歴史的建造物巡りをしてみませんか?
多くの銀行が軒を連ねた「北のウォール街」で注目すべき建物は?観光客に人気の小樽オルゴール堂本館、小樽浪漫館が入る建物はいつ建設された?レンガ造りが目を引く建物など20ヵ所を紹介しています!
※記事最後に各歴史的建造物の場所をマークしたグーグルマップを掲載しています。小樽観光の際はぜひご活用ください。なお、各歴史的建造物は概ね北から南の順に紹介しています。
小樽の歴史的建造物20ヵ所
1.旧日本郵船小樽支店
建物名:旧日本郵船小樽支店
建築年:明治37年~39年(1904年~1906年)
様式:近世ヨーロッパ復興様式
設計者:佐立七次郎
1969年3月に国指定重要文化財として指定され、筆者が訪問した際は大規模な保存修理工事が行われていたため、建物を見ることが出来ませんでした。
旧日本郵船小樽支店残荷倉庫
建物名:旧日本郵船小樽支店残荷倉庫
建築年:明治39年(1906年)
設計者:佐立七次郎
用途(建設当時):倉庫
旧日本郵船小樽支店の隣に位置しています。
2.旧大家倉庫(小樽市指定歴史的建造物第1号)
建物名:旧大家倉庫
建築年:明治24年(1891年)
構造:木骨石造
用途(建設当時):倉庫
石川県出身の海産商「大家七平」によって建てられたため、建物上部に「七」のマークを見ることができます。小樽市には多くの歴史的建造物がありますが、こちらの建物が小樽市指定歴史的建造物第1号になります。
■小樽市指定歴史的建造物第1号
3.旧安田銀行小樽支店
建物名:旧安田銀行小樽支店
建築年:昭和5年(1930年)
構造:鉄筋コンクリート造
4.旧塚本商店
建物名:旧塚本商店
建築年:大正9年(1920年)
構造:木骨鉄網コンクリート造
用途(建設当時):店舗(呉服太物商)
現在は蕎麦屋(小樽北勝庵)、和菓子店などとして利用されています。
小樽北勝庵
筆者は2021年7月に訪問し、えび天せいろ一枚(税込み990円)を注文。十割そばということでしたが、蕎麦はコシが強く、蕎麦の香りを感じることは出来ませんでした。イメージとは異なる麺でしたが、天ぷらを含め美味しく頂くことが出来ました。
ホテル・トリフィート小樽運河
旧塚本商店近くに位置するホテル。今回の小樽出張取材では、こちらのホテルに滞在しました。部屋に樽が置いてある点を除けば普通のビジネスホテルといった印象を受けましたが、部屋はきれいに清掃されており、快適に滞在することができました。小樽においては値段も手頃で、ぜひおすすめしたいホテルです。
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5.旧篠田倉庫
建物名:旧篠田倉庫
建築年:大正14年(1925年)
構造:木骨煉瓦造
用途(建設当時):倉庫
観光客に人気の小樽運河沿いに位置しています。
6.旧三井銀行小樽支店
建物名:旧三井銀行小樽支店
建築年:昭和2年(1927年)
設計:曾禰中條建築事務所
施工:竹中工務店
現在は小樽芸術村として利用されています。
7.旧通信電設浜ビル
建物名:旧通信電設浜ビル
建築年:昭和8年(1933年)
構造:鉄筋コンクリート造
小樽運河沿いに位置するモダンな建物です。アールデコ様式が意識されたような建物は、歴史的建造物が多く残る小樽においても印象に残る良い建物でした。
北のウォール街
8.旧北海道拓殖銀行小樽支店
建物名:旧北海道拓殖銀行小樽支店
建築年:大正12年(1923年)
構造:鉄筋コンクリート造
現在は似鳥美術館として利用されています。
9.旧北海道銀行本店
建物名:旧北海道銀行本店
建築年:明治45年(1912年)
設計:長野宇平治
設計者の長野宇平治は多くの日本銀行本支店のほか、台湾総督府庁舎などを設計した人物です。
10.旧三井物産小樽支店
建物名:旧三井物産小樽支店
建築年:昭和12年(1937年)
構造:鉄筋コンクリート造
設計:松井貴太郎
施工:大倉土木
11.旧向井呉服店支店倉庫
建物名:旧向井呉服店支店倉庫
建築年:明治40年(1907年)
構造:煉瓦造
用途(建設当時):倉庫
12.旧日本銀行小樽支店
建物名:旧日本銀行小樽支店
建築年:明治45年(1912年)
構造:煉瓦造
設計:辰野金吾
設計者は東京駅などを設計した辰野金吾とされていますが、実質的な設計を担ったのは長野宇平治になります。なお、現在は金融資料館として利用されています。
13.旧第一銀行小樽支店
建物名:旧第一銀行小樽支店
建築年:大正13年(1924年)
構造:鉄筋コンクリート造
14.旧三菱銀行小樽支店
建物名:旧三菱銀行小樽支店
建築年:大正11年(1922年)
構造:鉄筋コンクリート造
堺橋、堺町本通り付近
15.旧名取高三郎商店
建物名:旧名取高三郎商店
建築年:明治39年(1906年)
構造:木骨石造
用途(建設当時):店舗
名取高三郎は山梨県出身の銅鉄金物商。現在は小樽大正硝子館本店として利用されています。
16.旧百十三銀行小樽支店
建物名:旧百十三銀行小樽支店
建築年:明治41年(1908年)
構造:木骨石造
現在はアクセサリー、ガラス雑貨などを手掛ける小樽浪漫館が入っています。
17.旧第百十三国立銀行小樽支店
建物名:旧第百十三国立銀行小樽支店
建築年:明治28年(1895年年)
構造:木骨石造
現在はオルゴール堂海鳴楼が入っています。
18.旧木村倉庫
建物名:旧木村倉庫
建築年:明治24年(1891年)
構造:木骨石造
用途(建設当時):倉庫(ニシンの中継倉庫)
現在は北一硝子三号館として利用されています。
19.旧戸出物産小樽支店
建物名:旧戸出物産小樽支店
建築年:大正15年(1926年)
構造:木造、煉瓦造
20.旧共成株式会社
建物名:旧共成株式会社
建築年:大正4年(1915年)
構造:煉瓦造
建設当時は米穀商の共成株式会社の建物でしたが、現在は小樽オルゴール堂本館として利用されています。
番外編
手宮線跡地
手宮線は日本国有鉄道(国鉄)が運営し、小樽市の南小樽駅、手宮駅間を結んでいた路線。明治13年(1880年)に開業、昭和60年(1985年)に廃止されています。小樽、北海道の発展を支えた路線で、今でも線路などが残されています。
最後に
今回紹介した歴史的建造物を時代別に見てみると、明治時代に建てられたものが9件、大正時代に建てられたものが7件、昭和に建てられたものが4件になります。これらの歴史的建造物を訪ねることで、明治から昭和初期にかけてニシン漁や石炭の積み出し港とした栄えた当時の小樽の勢いを感じることが出来ます。そしてその多くが、堺町本通りや日銀通り、小樽運河沿いに位置しています。
今回はあまり紹介していませんが、倉庫として利用されていた歴史的建造物の多さには驚かされました。日本は戦争被害や耐震の問題などで古い建物がほとんど残っていませんが、行政の協力などで現存する歴史的建造物が守られていくことを願っています。きっとそれが建物を通した歴史の勉強、物を大切にするという価値観を育むために役立つと思うからです。
以上、小樽には多くの歴史的建造物があります。ぜひ上記及び以下のグーグルマップ(赤色)を参考に、歴史的建造物を巡ってみてください。